Piano | のんびり田舎生活

Piano

私が子供の頃から続いている唯一の趣味はピアノです。

姉とヤマハの音楽教室に通っていましたが、小学校に上った頃から、仲の良い友達が皆ピアノを習っていたので、「ayaもピアノを習いたい」と両親にお願いしました。すると家を新築したばかりでピアノを買うのは大変だったはずですが、両親は娘二人の為にピアノを買ってくれました。姉は引き続きヤマハ音楽教室へ通いピアノも習いましたが、中学生になると吹奏楽部に入ってフルートに夢中になったのでピアノはやめてしまいました。私小学校の2年生からヤマハをやめて友達と同じ先生の所でピアノを習う事になりました。

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ところがこの先生はとても厳しい先生でした。レッスンの時に前回と同じミスをすると「来週はレッスンに来なくてもいいです。ちゃんと弾けるようになってから電話していらっしゃい」と言われ本を閉じられてしました。レッスン中「あなたは何を弾いているの?」とぴしゃっと手をはたかれる事もしばしばありました。悔しくて涙が出そうになりましたが、ぐっとこらえ先生の家を出てから道を歩きながらポロポロと涙を流したものです。大きくなってから母に聞くと先生から「お子さんが小さい間はお母さんは絶対付き添って下さい。私は厳しいですから帰り道お子さんが泣きじゃくりながら帰ると道を歩いていて車にはねられたら大変です。」とおっしゃっていたそうです。


 中学生の時は音楽の方に進学しようかとも思っていたので、先生もみっちりと厳しくレッスンしてくれました。結局、高校生になって普通の大学へ進学する事を選んだので、高校生の頃には半分楽しみのようにピアノを続けました。大学受験でしばらくお休みした後、同じ先生に習いたいと思いましたが、先生は子供のレッスンを見るのが専門だったので「大人のレッスンをしてくれる人に習った方が違う視野を広げられる」と言って下さいました。


 姉も中学生の時からずっとフルートを続けていました。大学生になってからはオーケストラ部でフルートを続けながら、大フィルでフルートを吹いていらした先生に習いに行っていました。その先生のつてで大阪音大を出てピアノ伴奏をしたりアンサンブルでピアノを弾いている先生を紹介してもらい「趣味のピアノ」を始めました。小学生の時から習っていた先生は完璧に弾けるまで妥協を許さなかったのですが、この先生は基本となる練習曲(チェルニー40番,50番)やバッハ(フランス組曲や平均律)は必要だけれど、完璧に弾けなくてもどんどんと新しい曲を弾くように指導してくれました。テクニック的に多少背伸びしてもショパンの「スケルツオの2番」やシューマンの「謝肉祭」等も弾かせてくれました。


 社会人になってからもピアノを続けたくて月1-2度位のペースでこの先生のお宅へレッスンに通いました。ところが、社会人3年目位から「私のしたい仕事はこれでいいのだろうか?」と悩み始めました。社会人になってから4年と少し経ったところでステップアップをしたくて、会社を辞めてイギリスへ約1年語学留学をしました。当然ピアノは続けられませんでした。「1年間でなんとか語学を物にして次の仕事に生かすぞ」と無謀な事を考え気負いすぎ「理想と現実」のギャップに苦しみました。頑張りすぎて自分を追い込んでしまい半分挫折した状態で帰国しました。帰国した後、半年位は仕事がみつからず最悪の時期を過ごしました。ピアノを弾きたいという気持ちすら起こりませんでした。なんとか木材関係の商社に仕事をみつけたものの「女性は補助」という考えの強い会社でなかなか「英語を生かして仕事をしたい」という理想とはほど遠いものでした。


 ある日テレビを見ているとBGMにショパンの「子守唄」が流れてきました。大学生の頃に練習した事がある曲でとても美しい曲です。曲のあまりの美しさに私の中で忘れていた「ピアノを弾きたい」という気持ちが蘇りました。もう一度イギリスへ行く前まで習ってた先生に習おうと思いましたが、ちょうど先生はアメリカへ留学していて不在でした。とにかく何かのきっかけが欲しいと思っていたところにちょうど高槻市の小さなコンサートホールで「リレーコンサート」というのがあり、誰でも参加できるようでした。


 ラヴェルの「ソナチネ」の3楽章を3ヶ月間自己流で練習して本番に臨みました。結果はボロボロでした。やはり独学では限界がある事を痛感しました。ボロボロだったリレーコンサートですが良い事もありました。私の前に弾いた方となんだか意気投合しておしゃべりをしました。その方は「音大は出ていないけれどずっと趣味でピアノを続けていて、音大の教授に習っている」そうでした。「その先生は趣味でピアノをする大人の為のレッスンをしている」と聞き彼女に先生を紹介してもらう事にしました。


 紹介した頂いた先生は音大の教授なので、レッスンは趣味であっても「一つの演奏を完成させる」為の指導をして下さいます。だからテクニック的に背伸びをする曲にはなかなかチャレンジさせてもらえません。何よりも「余裕をもって自分の演奏を耳で聞く事」と「テンポを守る事」を大切にしなければならないと常に指導されます。テクニックが追いつかない曲を無理やり弾いても難しいところにとらわれて、曲全体をとらえる事ができず「演奏」として成り立ちません。それともう一つ大切なテンポですが、得意なところは早く弾いて苦手なところは遅く弾くという事はありがちですが、これも曲全体で考えるととてもバランスの悪い事です。


 先生を紹介してもらってから8年位経ちました。結婚してしばらくはブランクがありましたが、今でも月1度大阪へ2時間以上かけてレッスンに通っています。来週の土曜日には先生の門下生ばかりの発表会があり、私も出演します。今年私が弾く曲目はショパンの「子守唄」です。昔、私に「もう一度ピアノを弾きたい」と気持ちにさせてくれた曲です。あと1週間、あの時の気持ちを思い出しながら、最後の追い込みです。