2023.10/3
スプリセル(再)20mg13日目
  


昨日、主治医の先生に飲み薬だけで副作用のコントロールが出来なかったら骨髄移植に移行するって言われた。



万が一、今の抗がん剤の量で効いてなかったら、増量して再び飲み薬でコントロール出来るか試してみて…出来れば退院、無理ならもう骨髄移植するしかないらしい。




…移植したくないな…。




将来いつかわたしも結婚してママになりたい。



当たり前にわたしにもいつかそんなタイミングがくるんだろうなって思ってた頃の自分は、こんなことを考えなきゃいけない時が来るなんて微塵も思ってなかった。




友達との会話も今は恋愛の話が多くてもだんだんそれが子供の話になっていくんだろうし…、わたしはその時、自分も、自分の子供の話をしたかったって思うんじゃないかな…。



きっとその時、こうやって必死に治療と向き合ってきた今の自分ですら否定したくなるような気がしてくる…。




…とかって、そんな考えはわたしが病気を克服して元気になってる前提の話であって…



そもそもそうなる可能性なんて、骨髄移植をしたら免疫抑制剤が使えないかもしれないって言われてるわたしにとっては低いみたいだし…。




骨髄移植はわたしがわたしらしく明るく前向きに生きていく選択肢になるのか分からない。




わたしがこれまで頑張ってきたのは抗がん剤を続けてそれまでの日常生活を取り戻すためで、これ以上何かを諦めるためなんかじゃない。



将来のためにって勉強したり、つらい思いしながら大事な20代の時間をこんな治療に割くこと自体もったいないことなんじゃないかってだんだん思えてくる。



一度もうまくいった試しがない治療、どうせこの先もうまくいかないって思っちゃう…。




今だって、こんな調子で働けるようになるなんて到底思えない。



この先ずっとこんなんじゃ自立も出来ないまま副作用と闘い続けて、断薬という限りなく少ない可能性にかけてやっていくの…?




うまくいくなんて思えない。




そんななら、将来のための勉強もなんの意味もないし、治療に充てる時間も今ならもっと楽しい有意義な時間に変えられるって思ってしまう。




そんな負のループに陥ってた。



わたしの話を看護師さんは、うんうんって聞いてくれて、そう思うことは当たり前だって言ってくれた。



同世代の看護師さんもみんな親切で、楽しい話したり、本当にみんないい人だし、それなのに…わたしもそうやって楽しく仕事してたなって思い出して勝手にやりきれなくなったり、羨ましくなったり…



病棟で患者さんのリハビリをしてるセラピストを見かけたり声が聞こえてきたりすると今の自分がたらまらく情けなくなってくる…。



こんなわたしとは違って、元気に働いてるのが羨ましい…。



こんなふうに自分の将来に泣きたくなるなんてことなかった、元気だった頃の自分が、羨ましい…。



いつまでもいつまでも同じことばっか繰り返して…何も進んでない。




悔しくて…、気付いたら看護師さんの前で泣いてた。




「たくさん我慢してるんだから薬効いてて欲しいよね。今度こそ上手くいって欲しいよね。弱音吐かないとダメだよ。泣きたい時は泣いて、涙の中にはストレス因子が入ってるんだよ。ただでさえ色んな人に気を遣ってストレス溜まってるはずだよ」




白血病になる前のわたしは、こんなネガティブでも卑屈な人間でもなかったんだって言ったってきっと誰にも信じてもらえないだろうな…。



こんな自分にはほんともううんざりする。




「治療していく中で現状は変わってくるかもしれないし、それによって考え方も変わってくるかもしれないよ。どうしても悪いところに目がいっちゃうし、それは当然なんだけどね。可能性はゼロじゃないんだから、低いかもしれないけどゼロじゃないならやってみる価値はあるよ」




…いつまでもこうやって泣いて、看護師さんを引き留めちゃダメだと思った。



気持ち切り替えなきゃ…。



いつまでもくよくよして、よくないこと考えてたらだめだ…。



よくない考えからいい考えなんて絶対生まれないんだから…。




けど、分かってるのに、そう思えば思うほど涙は溢れてきて、こんな自分をまた奮い立たせて頑張ろうって思うのが…もうつらかった。




看護師さんが言ってくれたみたいに、ゼロじゃないならほんのちょっとでも可能性があるなら、いつか元気になって、我慢してきた分やりたいこと出来る時がきっと来るはずだって、ほんとはそんなこともう思う元気も気力もないのに、そう思わないと今までつらかったこともたくさん泣いてきた分も全部無駄になると思えた…。




だから、今日泣いたら、これで泣くのはおわりにする。