2023.9/25
スプリセル(再)20mg5日目
もうかれこれ20分くらい机の上のスプリセル(抗がん剤)を前に葛藤してる自分がいる…。
一日置きで治療していくことが決まって、ちょっとほっとしたのに、飲まない日があるだけで飲む日はものすごく気が重くなる。
あーやだな…
この一粒のせいで今日はつらくなるんだろうし…
飲まないで治す方法ないのかな…
そんなことまで頭に浮かんできて、冷静にそんな自分に呆れてる自分もいる。
意を決して8時半、今日も抗がん剤を服用する。
1時間もすると予想通り気持ち悪くなってきそうで、今日も先手必勝作戦を実行⚔️🔥
吐き気止めの点滴(グラニセトロン)を早々に開始して、そのおかげで午前中はなんだか身体がだるいだけで座っていられた。
「あと何回吐き気止め使えますか…?」
点滴の様子を見に来てくれた看護師さんに聞いたら、グラニセトロンはかなり強い薬で、これ自体は1日に1回しか使えないらしい…。
でも、先生がこれ以外にもたくさん吐き気止めを出してくれてるって聞いてちょっと安心した。
グラニセトロンが効いてるうちにお昼ご飯も食べれたけど、それからすぐに吐き気がしてきてベッドに横になる。
口の中はタイヤみたいな、排気ガスみたいな匂いがして臭いし不味いし、頭が痛くて、身体が重くて…具合悪い…。
ちょうど看護師さんが巡視に来てくれて、結局もう我慢せずに追加で吐き気止めの点滴をしてもらった。
頓服のロキソニンも飲んで、頭を冷やすより温めた方が落ち着く気がしてホットパックをもらった。
そのおかげで、しばらくして割と回復すると、ベッドに座って音楽を聴きながら窓の外の景色を見て、雲の形がどんなものに見えるか想像したりしてのんびり過ごした。
産まれたばっかのチワワとか、だれかの入れ歯に見えるのもあって一人で笑ってた。
変な人みたい笑
体が楽になって、すごく気持ちが楽で穏やか☺️
「なんかこの前より調子よさそうだね。一昨日の看護師さんの記録見たら結構大変だったみたいだけど…今日はどう?」
先生がやってきてびっくり。
抗がん剤を連日にするのは自信がついてからでいいって言ってくれた
「本来はみんな副作用に身体が慣れていって働けるようになるんだけどね…。あなたの場合、いつもその逆だもんね…」
入院は伸びるけど、しばらくこのまま増薬せずに一日置きで様子を見ていこうって。
「…先生、わたしずっと聞きたかったことあるんですけど…」
「ん?なに?」
「新患さんはみんな先生が担当するの…?」
全然知らなかったんだけど、先生ちょっとお偉いさんみたいだし、初めて外来に来た患者さんはみんな先生が担当するのかなってふと思った。
「ううん、曜日によって担当する医師が違うから、どの日に当たるかで違うよ」
「じゃあ…わたしはたまたま、先生になったの?」
「たまたまというか…そうだよ、あなたが僕が担当する日に来たから僕だったんだよ」
和歌山の病院にはさすがに紹介先に東京の病院はなくて、色々調べる中、父が近所の内科でこの病院を教えてもらって、ここならどの先生にあたっても大丈夫と思って転院を決めたけど…
「そっか、じゃあわたしラッキーだ」
「…ラッキーなのかなぁ、そんなことないと思うよ。そんなことないと思う…」
いつもだったら、食い気味に「そうだね」みたいに言うところなのに。
ガチのテンションじゃん…。
治療がうまくいってないから…?
先生の悲しそうな顔を見て、なんだかわたしまで悲しくなった…。
「わたし、先生が主治医じゃなかったらもうとっくに治療やめてた」
そう言ったら、びっくりしてさすがにそんなことないでしょうって笑ってたけど、
ほんとだけどね。
必ずどれか副作用もなく続けられる抗がん剤があるからって、変薬を繰り返す主治医の方針に最初ずっと疑問を感じてたし、不安に思ってたけど…
これでよかった…。
そうじゃなかったら、わたしはいつか必ず身体的にも精神的にも限界が来て病院には行かなくなってたし、勝手に治療をやめてたと思う。
もう治療なんかやめたいって思う度に無駄に主治医の顔がチラつくくらい最低限の緊張感を持ちながら続けてこれたし…
かと言って、うまくいかないことの連続で心が折れそうになる度に、元気付けてくれたからここまでやってこれた。
人口の0.1%未満とかっていう代謝酵素のバグが起きて、それでいて年間10万人に1人の割合の慢性骨髄性白血病の患者って…
多分わたしみたいな症例を経験したお医者さんって先生ぐらいじゃない?
論文だって、文献だって存在しないんだし。
だから、今までの治療がうまくいってなくても、たとえ今後の治療がうまくいかなかったとしてもそれは絶対先生のせいじゃない。
そう思えるくらい、色々考えて、頭を悩ませて、試行錯誤してくれてるのがよく分かるから…
誰のせいでもないと思う。