2023.7/28
アイクルシグ15mg(再)8日目
抗がん剤がどれも不耐容な理由について、昨日、文献やら資料を色々漁ってたら今までなんとなくでしか理解してなかったことがちょっと分かった
基本、内服薬の多くが肝臓で代謝(分解、排出の総称)されて、血液に入って全身をめぐる。
代謝をスムーズに行うために代謝酵素ってのが活躍してくれて、その酵素はめっっちゃたくさん、色んな種類がある。
その中でも、慢性骨髄性白血病の抗がん剤に対して活躍してくれる代謝酵素は肝臓の酵素で主に2つ。
セムブリックスに対しては主にCYP2C9という酵素、
グリベック、スプリセル、タシグナ、ボシュリフ、アイクルシグに対しては主にCYP3A4という酵素が活躍する。
薬剤師さんが以前、その酵素が『ごく稀に欠損や遺伝子変異を起こしてる人がいる』って教えてくれて実際調べてみると…
CYP2C9の遺伝子変異は日本人でわずか2〜4%で、欠損してる場合は0.1%
CYP3A4に関しては、遺伝子変異、欠損どちらの場合も『どの人種においても極めて稀』らしく、でも確かに存在して0.1%未満
まじで規格外の訳わかんない数字だった。
ちなみに今も研究段階らしいけど。
代謝酵素が欠損、遺伝子変異を起こすと、薬が分解されず血中の濃度が上がって本来の数倍〜数十倍に効きすぎてしまったり、排出されずにどんどん体内に蓄積されていってしまうみたい。
わたし自身、研究所みたいなとこで詳しく検査してもらったわけじゃないけど、薬剤師さんが教えてくれてから、今まで抗がん剤がどれも不耐容な原因はこれかもしれないと思った。
…というより、これしかないでしょ…。
原因がこれだとすると、不思議と今までの色んな謎が解けてきて…
抗がん剤は分子標的薬(TKI)といって、正常細胞はそのままに、がん細胞をピンポイントに攻撃してくれるという優れものなのに…
わたしの場合、副作用に慣れるどころかどんどんしんどくなる一方で、ひとつの抗がん剤に持ち堪えられた最長記録はたった2ヶ月。
慢性骨髄性白血病で同じ抗がん剤を使ってる人の多くは先生曰く、副作用があっても徐々に身体が慣れていって家事したり、働いたり…日常生活もそれなりに送れるらしい、
でも、わたしは成人が使う通常量の抗がん剤のたった12分の1の小児用タシグナでも2ヶ月で臓器に影響が出て中止になった。
このCYP3A4は世の中の医薬品の半数以上の代謝に関わってるらしくて、だからわたしは小さい頃から薬が飲めなかったのか、とか…。
さらに調べ進めると…
あまりにも悪夢が酷くて即終了した眠剤のゾルピデムもCYP3A4が主な代謝酵素だった。
今も使ってるけど、永遠に便秘になる吐き気止めのグラニセトロンもCYP3A4。
そのグラニセトロンでも抑えきれない程の吐き気と眠気で、起き上がれなくなったトラマール(準麻薬)もCYP3A4。
逆に、今まで副作用に対する薬で効果が感じられなかったのは全部、他の代謝酵素が関わってた。
きっとわたしの場合、抗がん剤はちゃんと代謝されないから効きすぎてしまって、正常に代謝される薬だと効きすぎた薬の副作用を緩和しようとしても歯が立たないんだと思う。
だから、CYP3A4やCYP2C9で代謝される抗がん剤に対抗するには、同じようにCYP3A4やCYP2C9が関わるものじゃなきゃダメみたい。
でも、てことは…結局、副作用のオンパレードであっという間に薬害パラダイスだし、どう考えても続けていけるわけがないってわかってしまった。
骨髄移植をすることになったら免疫抑制剤が使えないかもしれないって主治医の先生に前に言われたのを思い出して恐る恐る調べてみると…
免疫抑制剤もCYP3A4だった。
なるほどねってかんじ…。
そういうことか…。
知識をつけてもなんだか結局、打開策はないような気がして…残ったのは、やりきれない気持ちと虚しさだけ。
それでも、色々分かった今でも、最終手段の骨髄移植になるまで抗がん剤は諦めたくない。
どんなにリスクが高くても、わたしにはもう骨髄移植しかないって万が一なった時に抗がん剤に対して後悔がなければ移植に向けて諦めと覚悟がつくだろうし、
もしかしたらワンチャンこの抗がん剤治療で何かの奇跡が起きたりして、今までとは違う結果になるかもしれないって、たとえそれが0.1%未満でも可能性があるなら…