2022.11/14
セムブリックス休薬3日目



夜になって、今日主治医の先生の言った意味が、ようやく飲み込めてきた。



それと同時に押し寄せてきたのは、ショックと、不安と、悲しみ。



先生の言葉が頭から離れない。



新薬に懸けてたのにな…。




ひとつひとつ確実に治療手段が消えていってる。



まるで、吊り橋の上にいて目の前でじわじわ綱を切られてる感じ。



渡りきりたいけど、渡りきれるのかな…。




もう残りの抗がん剤は3つしかないって言われても、先生が言いたいのは一番副作用が軽くて治療効果の高いセムブリックスが継続出来ないなら、残りの3つだって望みは薄いってことなんでしょ…。



寛解後の断薬なんて、一体自分はどれほど高望みしてたんだろうって思った。
 


治療手段がなくなったら一体どうなっちゃうのかな…。




“ 死ぬ ”ということを一瞬だけ考えた。




以前、治療をやめると決めた時は、明るい将来なんてものは少しも見えなかった。


もう自分の運命を受け入れて、残りの人生、前向きに生きる自分を守るためにその選択をした方が幸せだとさえ思った。



だから、“ 死ぬ ”ということに恐怖はなかった。




けど…


今は悔しくて、不安で、とても怖い。



前向きに頑張ってきても次々に直面する厳しい現実。



“ 死ぬ ”ということは、あまりにも怖すぎた。





親にはもう、診察や症状、病気に関することは一部、かいつまんでしか話してない。



残念だけど、言ったところでわたしの気持ちに対して理解は得られないってもうわかったから。



さんざん懲りた。


自分がつらくなるだけ。




布団に入って今日のこの日記をつけながら、ものすごくやりきれなくなった。



頑張っても意味なんかないんじゃないかって思える。



抗がん剤が合うか合わないか、使えるか使えないかなんてわたしの頑張りで変わるものじゃないじゃん…。




もう、『なんで…』『どうして…』って思うことはやめようって決めたのに…、



なんでこんなことになっちゃったんだろう…。


どうしてこうなるのかな…。



そう思えてやりきれない。




悔しくて、やるせなくて、不安で、怖くて…頑張ろうって前向きな心を支える柱が次々折られて、いっぺんに押しつぶされる。



別に泣いたからってこれ以上状況が悪くなったりなんかしないでしょ…。




泣いたのは久しぶりだった。




でも、泣いたら少しだけスッキリした。




どんな薬でもまだ3つも残されてるならありがたいじゃん…。



何度も何度もぼんやりでも自分がそう思えるまで言い聞かせる。




大丈夫、大丈夫、大丈夫…。




やるだけやろう…。


それしかないんだから…。




やってもだめならもう仕方ないって思おう。


その時もきっとそうするしかないはずだから…。