2022.7/4



お母さんと一緒に病院に行ってきた。



先生が言いにくそうにしてるから、『あーこれだめなやつかな…』って内心ちょっと思ったけど、それでもまだ何かに期待してた。




「非常に言いにくいんですが…慢性骨髄性白血病です」




目をまっすぐ見て言われた。




『まぢか…』と『やっぱりか…』が入り混じってた。




それから病気と治療の説明を受けた。
 

  • 発症は10万人に1人の割合
  • 若い世代は稀(好発は50代〜男性に多い)
  • フィラデルフィア染色体陽性(染色体異常だということ)
  • 遺伝ではない
  • 今後妊娠、出産は難しくなる
  • 医療費が高額になる
  • 今までの自覚症状は全て慢性骨髄性白血病の症状



淡々と説明されて、何か質問はある?って聞かれても頭がついていけてなかった。



ショックだった…。



隣で話を聞いてるお母さんもかなりショックを受けてるみたいだった。



原因は不明だから自分を責めないでって言われた。



今病気に気づいてなかったら、あと数年あるかどうかだったって…。



今はいい抗がん剤が出来たらしく、その薬が出来る2001年までは5年生存率は10%以下だったらしい。



治療をして自分に合う薬が見つかれば “長期生存” は望めるらしいけど、完治は今の医療では難しいとのこと。




急に色々そんなことを言われても… “長期” っていつまで…?



わたし、まだ25歳なんだけどな…。




死ぬまで抗がん剤を使って進行を遅らせることしか治療法はないって言われた。


だから白血病細胞を確実に減らせて副作用の少ない自分に合った抗がん剤を見つける必要があるって。




スプリセルという飲むタイプの抗がん剤を1日2回で治療を始めることになった。



必ず飲み忘れないように釘を刺された。



正直、薬を飲む習慣も朝ごはんを食べる習慣もない。



グレープフルーツは食べちゃダメらしい。


最悪すぎる、大好きなのに…。



薬は早速今晩からって言われたけど、先生にお願いして明日からにしてもらった。



「もう一生食べれないなら最後にグレープフルーツ食べたい」



そう言ったら、いいよって言ってくれた。




最後にがん相談支援センターの紙を渡された。


直接言いにくいことがあったら、ここに相談したらいいって。



こんな紙なんか、いらないよ。



なんでよ…。



『あなたはもう癌です』『白血病です』って念を押されたみたいできつかった。



一番きつかった。




そのあと、心電図と胸部レントゲンを撮りに行くように言われた。




心電図の検査室の前でしばらく待ってた。



診察室を出てから一切母と会話はなかった。



何も考えられなかった。



景色も音も全部ただの無機質なものだった。




なんでだろ…。



なんでこんなことになっちゃったんだろう…。



がん?白血病?なんで?なんでわたし?



お願いだから悪い夢であってほしい…。



早く目を覚ましたい。



お母さんは今何を思ってるんだろう…。



お母さん、ごめんね、ごめんなさい…。




そう思って隣を見て、目があった瞬間お互い泣いた。


声をあげて泣いた。



「ごめんね、あやごめんね。つらい思いばっかりさせて」



そう言われたのしか覚えてない。

 
一番言わせたくない言葉だった。




心電図の人が検査室から出てきて、「大丈夫ですか?検査、後に回しましょうか」って言ってくれたけど、絶対夢だって信じてる自分がいて、「大丈夫です」って泣きながら心電図を撮りに行った。



そのあとはレントゲンを撮りに行った。



お母さんとの会話はなくて頭の中は “ 無 ” だった。



もう泣かなかった。



本気で現実じゃないと思えてたから。




でもお母さんかなりショック受けてる。



大丈夫…?って聞くと、



「ごめんね、本当はお母さんがあやに大丈夫?って言わなきゃいけないのにね…」



また泣かせてしまった。




検査が終わってお会計を済ませる。


相変わらず高いな。




そのあと高額療養費制度の説明を聞きに、がん相談窓口に行った。
 

すごく冷静だった。


自分の話じゃないみたい。


終始、他人事のように、誰かの代わりで説明を受けてる感覚だった。




その足で薬局に行って、1週間分の抗がん剤をもらった。



薬剤師さんが「びっくりしたね」って声を掛けてくれた。


「心配やから数日経ったら電話していい?」って言ってくれた。



やさしいな…。




帰り道も泣かなかった。



本気で夢だって思ってたから。




お母さんが和歌山にいるのも非日常。


わたしが医大に行くのも非日常。



白血病なんてそんなことありえない。




絶対夢だって思った。



だから本当にもういつも通りの自分だった。