死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実 | ほぼほぼ 映画依存症

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映画のあらすじや感想を、個人的見解から評価。
男前俳優 or マッチョ俳優が出演している場合のみ、
ちょっと甘めの評価になるのが、
たまに傷かな。

★★★★★
公開:2010年
製作:アメリカ
監督:バリー・レヴィンソン
出演:アル・パチーノ、スーザン・サランドン、ダニー・ヒューストン、他
原題:YOU DON'T KNOW JACK

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あらすじ:
ミシガン州に住む医師のジャック・ケヴォーキアンは、自分の意思で死を選ぶことが出来る「安楽死」を医師が幇助できるように提案する。彼は友人たちの協力を得て、死を選ぶ患者に「安楽死」を施す。しかし、「安楽死」が認められていないアメリカでは、彼が「自殺を幇助した」として警察が介入してくる。

感想:
実際のジャック・ケヴォーキアンを元に作られた作品。

安楽死に使われる装置は、
医師が手を下すのではなく、患者自らがスイッチを押すことが出来るもの。
尊厳死に手を貸すジャック・ケヴォーキアンは、
「死の医師」と呼ばれるのも構わずに、100人以上に手を貸した。

「安楽死・尊厳死」を求める患者たちは、
薬や装置で生かされており、痛みや苦痛から楽になりたいと思う人達。
彼らへのインタビューを、映像に残す医師だが、
その映像には、目を逸らしたくなるような現実がある。

苦痛の為に、涙ながらに「死にたい」という人々。
彼らに死んでほしくないと思いながら、
彼らの意思を尊重して「安楽死」を受け入れる家族。
自殺を悪とするキリスト教文化のアメリカでは、
到底受け入れられることはないような現実が、
実際、目の前で起こるのだ。

反対するキリスト教団体の気持ちは分るが、
それよりも、
自分の宗教に反しながらも、自殺を選ぶ人の辛さは、
よっぽどのものなんだろうと、
心が痛くなる。

末期治療をしないという選択はあるが、
そうすると、患者は栄養もとることが出来ず、
痛みと苦痛の中、餓死をする。
それなら、自分の死を選択する権利が持てる方がいい。
といったような医師の言葉がある。

私の祖父が病院に入れられている時、
実際に同じようなことを思った。
チューブは可哀そうだけど、取ったら餓死するよな・・・、
と子供心に思った覚えがある。

そんなジャック・ケヴォーキアン医師を、アル・パチーノが演じているのだが、
アル・パチーノの老け具合に驚いた。
メイクや演技で老人に見せている分もあるが、
本人も老人の域なんだよね。
あっという間に時間は過ぎてしまう。

他人事として観ることも出来るが、
自分ごとに置き換えて考えると、
かなりへヴィーな作品だ。