いちばん好きなお寺、と言ってもいい。
浄土真宗・東本願寺のお堂に座ると、
すぅっと心が洗われる。
母方の祖父の家が、東本願寺派だった。
二十歳のお盆に祖父が亡くなり、
翌月の月命日に、私は一人でお東さんを訪れて
お参りした。
門前では、絵のついたロウソクとお花を売っている。
静かな境内を通ってお堂に上がり、
仏さまの前に正座する。
時間が過ぎるのを忘れて、ただそこにある空気の一部になるような
そんな気持ちになったのを覚えている。
以来、お東さんは、私の中に強く残るお寺となり、
身近にそんなお堂がないかと、探している。
お寺をあとにして、お昼を食べに行く。
ガイドブックに載っていたうどん屋さん「ダイヤ」。
入ると、80歳くらいのおばあちゃんが一人でやっていた。
近くに「大弥」という旅館があったから、
きっと女将だったおばあちゃんが、引退して
この「ダイヤ」をやっていたのだと思う。
先客が一人いた。
注文をきかれないので、厨房に向かって
「注文いいですか?」ときくと、
「これ作ったら聞くから待ってて」と言われる。
なるほどね。ゆっくりしていいね。
壁には、どこのやらわからないお土産の人形が
たくさん並んでる。
いろんなうどんがある。
一番高いのは、鍋やきうどん450円。やすい~
作り終わったおばあちゃんが聞きにきてくれたので、
おすすめを聞くと、
甘いきつねが乗ってるよ、と言ってくれたので
きつねうどんをお願いする。
甘い甘いきつねがたくさん乗っていて、
出汁もぜんぶいただいた。
社会人になってから訪ねてみたら、
お店はあれど、娘さんくらいの年齢のおばちゃんがおられた。
うどんはもう出てしまっていて、食べられなかった。
数年前、また訪ねてみたら、
お店は閉じていた。
旅館「大弥」は、開いていた。
お東さんとダイヤ。
記憶の中の、ふと帰りたくなる場所。