「んー…」


「あっ、わりぃ。起こしちゃったか?」


「…ん…。…何の匂い…?」


「え?」


「なんか…あまぁーい…いい匂いする…」


「あぁ、シャンプーの匂いか?」


「シャンプー…変えたの?」


「ちょうど切れたから、知り合いに勧められたやつを開けたんだよ」


「ふーん。…いい匂いだね」


秋斗は寝ぼけ眼で、ベッドから俺に手を伸ばしてきた。


「どした?」


「んー…」


まだ乾かしていない髪から、雫が落ちそうだ。

目を瞑ったまま、ふわふわと手探りで秋斗は俺を探している。


「なぁに、どうした?」


「んー…。来て。こっち」


「なんだよ。まだ髪が濡れてるんだって」


「いいから。来て」


秋斗の顔の近くに腰を下ろして振り返り様に見下ろすと、秋斗は腰の辺りにまとわりついてきた。


「なぁんだよ」


「んー」


「お前さっきからずっと『んー』ばっかりだな」


寝ぼけているのか受け答えがおかしくて、俺は少し笑ってしまった。


「…ちょ、…こっち」


「もう近くにいるよ」


「こっち」


「なんだよ」


しきにり俺を近くに寄せようと、あちこちを掴んでは引っ張りだす。何がしたいのかよく分からないが、仕方なく顔を近づけてみた。


「どぉした?寝ぼけてるのか?」


すると勢いよく深呼吸をし始めた。

どうやら、俺の匂いを嗅いでいるようだ。


「ん、いい匂い」


「それだけかよ」


おかしな事をやってるな、と思っていたら、秋斗はこすりながら目を開けた。


「俺がシャワー浴びた時は違うシャンプーだった」


「…うん…、まだ入ってたんだろ?前のやつが」


「そうだけど…」


「じゃ、いいだろ」


「…俺はぁ…和泉さんとぉ…同じ匂いが良かった…」


「明日入れば同じになるよ」


「そうだけど…ちょっとでも同じ匂いにしてたい」


「なんでだよ」


「…マウント」


「え?」


「だからぁ、マウントだよ」


「何にマウントするんだよ」


「和泉さんは、俺のだって、…マウントするの」


「なんだよそれ。そんなマウントしたって誰も」


「いるんだよ、狙ってるやつ」


「いるわけな…」


「いーるーの!」


「……」


「だから、俺と同じ匂いにしておかないとダメ」


「えぇ…そんな…」


「俺のモノだって、周りに見せつけておかないと」


「なん…なんだ…よ…そんな…」



秋斗はまるで、誰かが俺の事を好きでいるような、そんな話をしていた。そんな、まさか。俺みたいな年上、物好きの秋斗くらいなもんだよ。でも何かそんな疑いがあったのかもしれないな、あんな風に言うなんて…。



「そんな噂でも聞いたのか?」


「…言わない」


「そこまで話しておいて?何だよ、言えよ」


「ヤダ。言わない」


「何なんだよ、言えよ」


「言ったら、意識し出すかもしれないから。だから絶対に言わない。和泉さんのことは、誰にも渡さない」


やたらと力が入った言い方に、俺は何も言えなくなった。


「もし…意識して…好きになったら困る」


「バカだなぁ…」



秋斗もこんな風に、ヤキモチ妬くことなんてあるんだな。なんだか少し、照れくさい気持ちになった。



「俺も同じシャンプー使いたいけど…さっき入ったばっかりだし…」


「明日の朝でいいだろ」


「…じゃあさ…、…今から汗かくこと、しよっか」



年下の猛獣の罠に、まんまとかかってしまった夜だった。





ーーーーENDーーーー





秋斗と和泉さんのちょっと甘い感じも描きたくて、書いてみました照れ

秋斗、年下で俺様気質丸出しの映像ばっかりですが、実は甘える時もあるんじゃないかと。

何しろ和泉さんはかなり年上ですもんね酔っ払い

和泉さん、今はぽやぽやになってますが、公安の頃はバリバリだったわけで、大人の頼れる感じがすごかったんじゃないかな。

そして秋斗もね、お若いので、猛獣にもなりますよね!!ニヒヒニヒヒニヒヒニヒヒ


和泉さんを好きな人、それは菊様ですね。

秋斗も菊様の気持ちに気付いていたと思うので、菊様にマウント取りたいお年頃。そして、菊様の名前なんか出しちゃったら、妙に意識して…万が一和泉さんが好きになっちゃったら…なんて怖がっちゃう感じも、ちょっと若い感じがするかな?と思ってます。



さて、ここに出てくるシャンプーの匂いですが、

私のイメージではKruhiのシャンプーです(笑)

ハイ、和泉さん役の井浦新さんのブランドのシャンプーとトリートメントですね!

私、本当に気に入ってしまいまして、朝から晩まで匂い嗅いでますw

クンカクンカが止まりませんw

なので、

井浦さんが使っているんだから、当然和泉さんからは同じ匂いするよね?

ってところからの、スタートで書きましたデレデレ


もちろんね、決して安く無いシャンプーとトリートメントなのですが、

いい成分なのはお墨付きだし、環境にも優しいし、そしていい匂い…井浦さんとお揃いだよチュー

って事を考えると、全然高く無いと思います!

美容院で施術してもらう事を考えたらね!高くないよ!


使用感はまた改めて書きますが、

お気に入り商品なので、ストーリーにも登場させましたデレデレ


おっさんずラブリターンズ、6話どうなるのでしょうね…


秋斗がいない今、菊様と和泉さん、くっついて欲しいけどなぁー泣くうさぎ

…と、秋斗との甘い夜を書きながら言うという(笑)




それでは私、コロナ患者っぽい(母が陽性)ので、

寝まーす!

バイバイ笑い泣き




おしまい