おっさんずラブーリターンズーの第4話に登場した秋斗と和泉。

張り込みシーンのインスパイアSS。


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俺のこと、いっつもガキ扱いしてるアイツ…

いい加減に一人前だって認めればいいのに。






それは車で張り込みに徹してた夜だった。

動きが全く無かったその夜は、

珍しく俺のバディの相手、和泉さんが夜食を買ってきてくれた。


「あ、このパン…」

「それがいいんだろ?いっつも同じパンばっかり食って」


ビニール袋の中からは、俺が好きなイチゴジャムのパンと牛乳が出てきた。

…この真っ暗な状況下で、いつも俺のこと、観察してたのかよ…




暫く2人してアジトを見張っていたが、

ただ時間だけが流れていた。


「パン、今のうちに食っとけ」


和泉さんに促されて、パンの袋を開けた。

それと同時に、俺が座る助手席のシートをおもいっきり倒した。


「和泉さんも今のうちに食っといた方がいいよ」


いつだって夢中で張り込んで、ろくにメシ食ってないじゃん。

少しは身体の事も考えろよ…。



パンを一口頬張ると、張り込みの疲れを忘れさせる甘さが口いっぱいに広がった。




この仕事は嫌いじゃない。

そう思えるのは、隣にこの人がいるから…。


俺が教わってた立場の頃から、

ずっと何かが…こう…ざわざわしている。


気付いたらいけないと言い聞かせてきたざわつきの真相…

いつまで自分に嘘をついていられるだろう…。



この人は俺よりも図体がデカいクセに実は繊細で、

年上なだけあって、本当は包容力が半端ない。

だけどすぐに俺をコントロールしようとする。

なんでだよ…

俺だってもう一人前なんだよ。

いつまでも子供扱いしやがって。

俺一人でだって手柄上げてやるよ。



「はぁ……。和泉さぁん、コレいつまで待つの?俺に行かせてくださいよ…」


「黙れ、ガキ」


「あんなの5分あれば片付けますって」





相変わらず俺の意見は無視かよ…。

すぐ黙りやがって。

俺の事、信用してないの?

なんで任せてくれないんだよ…。

俺がサッサと終わらせてやるのに。


俺は我慢の限界が近づいてきてきて、

この人を説得しようと起き上がった。



「だいたいアイツらさ」


「伏せろ!」



デカい図体が俺の上に覆い被さって来た。

相手の車のライトが俺たちを掠めて流れて行く。

光が通り過ぎる束の間、

俺の限界は作戦の我慢から、あの胸のざわつきに変わった。


ほんの僅かな時間なのに、

どうしてこんなに長く感じているんだろう…

その原因は心拍数…

これは俺のか?この人のか?

それとも…



深い呼吸と共に、俺の身体にかかる圧力がゆっくりと解放されていく…

そして一定のところで、動きが止まった。


こんなに近い位置でこの人を見た事なんて…

今までなかった…

僅かな街頭に照らされた瞳、

その瞳は確かに俺を捉えている。


勤務中…?

そんなの関係ない。

アジトなんかいつでも乗り込める。

でもこの人とこんな風に近付くことは…

この先あるか分からない…



「ジャムなんか付けて、子供かよ」


俺の鼻先に付いていたらしいイチゴジャムを、

この人な簡単に指で拭った。


そうじゃねぇよ…


アンタ、俺より年上だろ?



「和泉さん…」



俺はこの人の胸元を右手で掴んだ。

そして、今だ。

俺はそう判断した。



「ジャムはこうやって取るんだよ」



色々と限界の俺はその後の事なんてなにも考えずに、

ただ本能でこの人の唇を手繰り寄せ、

俺の唇でジャムを拭った。


コレ、年上のアンタが普通やるんだぜ。

年下にやらせるなんて、ダセェことすんなよ。

お前の方がよっぽど子供だろ。


「クソガキ」


軽く拭った感触に、

完全に動揺してたこの人は、

嫌がる訳でもなく、かと言ってそれ以上何かを求めるでもなく、

黙ったまま運転席に座り直した。



ジャムパンをその辺に放り出すと、

今度は俺の番だ。

この人の上に覆い被さって、おもいっきりシートを倒す。

急にシートが倒れたからか、

普段冷静な人とは思えない慌てた表情をしていた。



「なにビビってんだよ」


「…ビビってなんかねぇよ」



顔を近付けると、瞳の中にうっすら俺が映っている。



「和泉さぁん、…いい加減に気付けよ」


「……」


「俺の事じゃねぇよ。和泉さんのココだよ」



俺は2、3回この人の胸を叩いて様子を伺う。

俺はまだ、何も確信は話していない。

この人の出方次第でどうにでもなる。

少しズルいけど、それでもどこかで俺は自信を持っていた。



「……言わねぇだけで……気付いてるよ…」



俺の求めてた答えが返ってきた。

そう、それでいいんだよ。



「随分、素直だな」



俺は口元の、見えないジャムを拭った。







ーーーーーENDーーーーー








秋斗の登場が衝撃的過ぎて、

しばらく頭からこのシーンが離れなくなりましたラブラブラブ

ドラマの中ではほんの4分くらいで秋斗は消えていますが、

あの和泉さんのロケットにあった秋斗の笑顔、

どうやったらこの2人から生まれたんでしょうねぇ〜笑い泣き


そして和泉さんも、天空不動産にいる弱々しい感じでは全くなくて、

ちょっと別人では!?というくらい強そう(笑)

秋斗を失った事でそれくらい変わってしまったんですね…。



なーんて事を思っていると、

妄想が膨らんでしまって…勝手に書いてしまいましたニヤニヤ

あのシーンの前後。


これ以上は…

頭の中にはあるんですけどね、

ここに書いたらおそらくバーーーン!!って感じなので、

載せられませんwww



まぁね、張り込みそっちのけで、

お車でねニヒヒ

色々とお楽しみだったのではないでしょうかw




初めてが車って…

現実的ではないですが、

まぁ、おはなしですから!!(笑)





秋斗×和泉に翻弄されているもえぞうでした酔っ払い