火曜 22時~
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少しずつ変わり始めた阿部寛たち
長野から帰って来た阿部寛は「クーナ祭り」のスポンサー探しに必死になり、その姿は周囲を驚かせる。また、長野から帰ってきたことで、蒔田彩珠、山口智子との関係性も少しずつ変わり始める。

「クーナ」に必死になる阿部寛
◎あらすじ(ネタバレあり)
父・栄輔(夏八木勲)が小康状態になったので、休暇を終え、東京に帰った坪井(阿部寛)。
だが、「クーナ」や菜穂(宮崎あおい)、父(夏八木勲)の故郷のことが頭から離れない。
何となく東京での生活に違和感を感じる。
それは娘の萌江(蒔田彩珠)も同じだった。
そして坪井は長野での「クーナ祭り」のスポンサーを探すのに必死になる。

父のくれた「お小遣い」の1,000円で何となく必死に「クーナ祭り」開催を目指す阿部寛
また、山口智子は母の再婚を機に、母と2人で話をし、「昔、母にお弁当を作ってもらえなかったことが仕事に没頭するあてつけだ」と話す。

でも、「母へのあてつけ」の集大成を食べさせられるのは娘の蒔田彩珠
一方、長野では栄輔はリハビリを開始していた。妻の敏子(吉行和子)に菜穂の事を探られ、うっすら「久美」の事を感づかれてしまう。


菜穂のことを「母親(久美)似なんだ」と笑顔で話し、吉行和子に勘付かせてしまう
本気で「クーナ」を信じて探し、「クーナ祭り」を開催しようとする坪井の姿は周囲を驚かせる。
また、坪井の周囲も少しずつ変わり始める。
◎みどころ
少しずつ変わり始めた阿部寛たち
◯おもしろポイント
少しずつ変わり始めた阿部寛たち
長野から東京に帰って来た阿部寛(坪井)と蒔田彩珠(娘・萌江)。
長野での余韻を残し、その象徴に「クーナ」の話で何となく盛り上がる。
そんな姿を見た山口智子は「私、邪魔かな?」みたいな雰囲気を感じ取る。

「私、(夏八木勲の見舞いに行かないほうが良い感じ?」と聞いてしまう山口智子
口では否定するけれど、脳裏に浮かぶのは長野での生活と宮崎あおい(菜穂)。
その脳裏に浮かんだ思いを否定したくて、阿部寛は自分に言い聞かせるためにも、「いや、そんなことはないよ」と言う。

長野で出会った宮崎あおいが脳裏をかすめる

脳裏によぎった思いを自分に言い聞かせるためにも否定する阿部寛
そして、山口智子の「仕事の成果」であり、「母へのあてつけ」である弁当を持って学校にいく蒔田彩珠(萌江)は、自分への気持ちが全くこもっていない弁当を「食べない」という意思表示をする。

一度開けた弁当箱の蓋を閉じた蒔田彩珠
そして、阿部寛は「クーナ」を探し始めて、本気で「クーナ祭り」のスポンサー探しに必死になる。
今まで「まあまあ~」とか言いながら仕事に「正面から」向き合ってこなかった阿部寛が、「クーナ」をきっかけに本気になった(仕事じゃないけど)。

真剣すぎて部下に引かれてる阿部寛
今まで「山口智子の仕事の成果」である弁当を、「売って」斜めから反抗してきた(弁当箱は一応カラになるから、山口智子には「食べたくない」という本心はバレにくい)蒔田彩珠は「弁当を食べない」という、山口智子への真っ向勝負を仕掛けてきた。
長野という夢のような世界から帰って来たことで、東京の現実と向き合うことになる。
その現実には「長野が良かった」という感情も込められていて。
「夢の長野」の象徴である宮崎あおいと「東京の現実」の象徴である山口智子の真っ向勝負が中盤戦に仕掛けられた。
オープニングを見る限り、この対立構造は変化していきそうな気もするが、どういう着地点を用意しているのか、是枝裕和。
◯是枝ポイント
「本音はセリフでなくて行動で」
好きな人の間では有名だけど、是枝裕和はドキュメンタリー出身である。(で、文章書くのも好きらしく、ドキュメンタリーを書籍化したりもしてる・笑)
さすが、ドキュメンタリー畑出身だけあって、人の細かい仕草や動きを非常に丁寧に描写する。
でも、ドキュメンタリーは「本音を語る(語れない話も当然あるけど)」けど、ドラマでは「本音を言わない」のが鉄則。
その鉄則を押さえて、本音を真っ向勝負であまり言わせない是枝裕和。
今回も、「私はお見舞い行かない方がいい?」と言う山口智子に「いや、そんなことはない」と言う阿部寛。脳裏に浮かんだ「夢」のような宮崎あおいの残像を悟られまいと、また、その夢を「汚されない」ために。
蒔田彩珠も何も言わない。山口智子に真っ向と「気持ちのこもってない弁当なんかいらない」と言わずに今まで弁当を売ってきたが、今回「食べない」という真っ向勝負に出た。
でも、「弁当いらない」とかは言わない。黙って弁当箱の蓋を閉じる。
セリフで「言わせない」のは脚本の基本でありながら王道の効果
基本を押さえて、「本音を言わせず」話を勧めていく技術は是枝裕和の巧さの極み。
脱帽する。
◎雑感
舞台を「東京」という現実に移したことで、今までの問題へ真っ向勝負の予感を感じさせた今回
激突させるのか、他に逃がす形なのか、正直着地点が全く見えない。
ドラマを見る時、「こうなるのかな」ってある程度は想像がつくのだけど(当たってるとは限らないが)、本作は着地点の予想が着かない。どうなるのだろうか。
それはそうと、今回カメラワークが前回までと比べてややアップが多めに感じた。
阿部寛たちの感情の変化を際立たせるための演出なのか、是枝裕和がテレビに慣れてきたのか、局(プロデューサーとか)から何かの指示が入ったのか。どうなのだろう。