火曜24時55分~
TBS系
□今回のあらすじ(ネタバレ有り)
□感想
の順番。
□テレパシー家政婦の七瀬(木南晴夏)がやってきたのは根岸家。
夫の新三(眞島秀和)は心理学者であり学生と浮気をしていた。
一方、妻の菊子(井村空美)はそんな夫の浮気に気付きつつも、「できた妻」を演じる事に命をかけていた。
七瀬は新三が心理学者である事を知り、
「何で私はテレパシーなんだろう」
という謎を解くため、新三の書斎に忍び込む。
が、忍び込む姿を見られた七瀬は逆に新三に部屋に一時軟禁されてしまう。
新三は、昔に七瀬の父親のテレパシー実験をした事があり、七瀬にもテレパシー能力が遺伝されていないか実験しようとする。
危険を察知した七瀬は何とか新三から逃れようとする。
間一髪で、軟禁を逃れ書斎を後にした七瀬。
しかし、書斎から出てくるところを菊子に見られてしまった。
「新三が七瀬に手を出した」
と誤解した菊子は怒りを心で呟く。
そこに、新三の実験から逃れるために根岸家を去ろうとする七瀬は菊子に
「新三が他の女とホテルから出て来た。2人は菊子を"他人にどう思われるかばっかり考えてるバカな女"と言っていた」
と嘘を言い、根岸家を後にする。
しかし、七瀬のその一言は菊子の逆鱗に触れ、
菊子は七瀬が去ったその晩に、新三を刺してしまう。
□七瀬に聞こえる「心の声」が最高に面白かった回。
とにかく面白くて、
「どうやったら面白さが伝わるんだろう」
と考えて「セリフそのまま載せよう」って事で、セリフを大まかに載せてみた。
面白かったのは主に2つのシーン。
1つ目は七瀬が家にやってきて、菊子が七瀬に家の事を説明するシーン。
菊子が自分の赤ん坊を七瀬に抱かせる。
菊子「ちょっと赤ちゃん抱いてみる?」(満面の笑み)
七瀬「あっ、はい」
赤ん坊を抱く七瀬。
菊子心の声「何か言う事あんだろ。人様の赤ん坊を抱いたら言うべきことあんだろ。」(声は低め)
七瀬「あっっつ、本当に可愛いですね」
菊子「えーホント?まだ10ヶ月でお猿さんみたいだけどね~」
七瀬「・・・」
菊子心の声「なに、その間は?」(ヤンキーが因縁つけるような口調で)
七瀬「あっつ、いいえ、猿なんかじゃないです。なんて言うか、その・・猿、じゃ無いです」
菊子心の声「猿じゃないのは私が一番良く分かってるわよ!」(やや早口)
七瀬「ものすごく、とてつもなく、可愛いお子さんだと思います」
菊子「そうかしら~」
菊子が家の中を七瀬に案内する。
菊子「ここが主人の書斎。主人は父が学長を務める私立大学で心理学の助教授をしているの」
七瀬「すごいですね~」
菊子心の声「よし、生まれたばかりの赤ちゃんに、大学の助教授。絵に描いたような幸せな家庭。あとは~」
おもむろに書斎のドアの脇を見る菊子。
そこには夫の下着(しかもブリーフ)が落ちていた。
菊子「あら、やだもう~また脱ぎっぱなし。しょうがない人ね。主人はほら、学者肌っていうか、研究以外にはまるで無頓着でね」
菊子心の声「賢い妻のイメージがこれで際立つ!」
七瀬心の声「・・・まさかパンツわざとそこに置いといた???」
七瀬「大変ですね」
菊子「ホント大変、でもまあ~旦那様がやりたい事を思う存分やれるようにしてあげるのも妻の役目でしょ」
菊子心の声「近所に言いふらして!”賢い奥さんだ”って。自分で言いふらす訳にはいかないだろ。そのために必要もないのに家政婦雇ったんだから。この小娘、ちゃんと近所に宣伝しろよな」
何が面白いかって、
それは現実のよくある本音を徹底的にデフォルメしているところ。
「女友達とかの赤ちゃん抱いたら、とりあえず”可愛い”って言わなきゃダメだよな」
「この人こんなに”頑張ってますPR”してんだから、とりあえず何か褒めなきゃな」
とかの非常に面倒な
「あるある、こういう暗黙の了解って」
という部分をセリフとしているところ。
「あるある~」って共感できるし、
セリフにされてることで面白さも際立つ。
2つ目は根岸夫妻が夕食を取るシーン。
納豆を無言で練る新三。
菊子心の声「いま、いま女の事、女の事考えてる!」
新三心の声「ああ、今コキっていった。腕がコキって。まあ大丈夫か」(←大学の研究室のデスクで学生との情事にふけっていて体が痛い)
菊子心の声「女の温もりに浸りながら納豆混ぜてやがる」
菊子「あなた、このお芋さんと~っても美味しく出来たから、召し上がって下さいな」
七瀬心の声「奥様、ある意味スゴい演技力」
菊子「ほ~ら~、あなた、召し上がって、お・い・も・さん」
芋をたべる新三。
新三心の声「”お芋さん”って、芋に借りでもあるのかこの女」
新三「うん、うまい」
菊子「でしょ?嬉しい~~~」
菊子心の声「わかんのか?芋の味?女の味に浸りながら、芋の味わかんのか?」
菊子「ほら、このレンコンさんも、しいたけさんも、美味しく出来たのよ」
新三「わかったわかった」
新三心の声「たくさんだ、”さん付け”はもうたくさんだ」
新三「食べるから、ね、後で食べるから」
菊子「怒られちゃった。。」
「エヘッ」って感じで、舌をベロリと出す菊子。
新三心の声「なんだ?今の”ベロっ”てなんだ?娘か?お前は小娘か?うっとおしい!!」
菊子心の声「悔しい~!!毎日のように若い女と!!」
2本の箸で思わずしいたけをブスリと刺す菊子。
そのままにこやかにしいたけを食べる菊子。
菊子「う~ん、おいしい~。ありがとう、しいたけさん」
こっちが面白いのは
ブリブリの上っ面とヤンキーばりの心の声
優しい夫の上っ面とシュールなツッコミをしている心の声
の見事な対比。
「あるある」って感じよりは、
「こんな事考えてるんだったら、かなり面白いかも」
って感じに仕上げている。
そんでもって、このドラマ全体のスゴいところは
「テレパシー」というありがちな設定をシュールで笑える作品に昇華しているところ。
ただ単に「テレパシー」だと、
「サトラレ」のような悲劇入りヒューマンドラマや
「世にも奇妙な物語」のようなよくわからない不思議系ドラマになりがち。
「なぜ笑えるのか」ってところは視覚効果が大きい。
実は、七瀬は心の声が聞こえるときにはその人の姿が普段とは違って見えるのだ。
今話の根岸家の場合は水着姿で七瀬の目に映る。
ビキニ姿で「わかんのか?芋の味?女の味に浸りながら、芋の味わかんのか?」と言ったり
海パン姿で「”お芋さん”って芋に借りでもあるのかこの女」
とか画面上で言っちゃってる。
・・・面白すぎる。
ありえないその設定が面白すぎる!!!
おそらく、原作がすごく面白いんだろうけど、
映像化した時にその面白いクオリティのまま出せるのは本当にスゴい。
深夜枠ってやっぱ面白い。