安土さん目当てで借りた『秘神界 現代編』。
アンソロなんで3選すると、安土さん以外になってしまいました。安土さんも結構良かったんだけど…。
オチばれネタばれあります。あとグロ注意。
平山夢明『ある彼岸の接近』
生理的に嫌悪感を感じさせるグロで印象的な方ですが、今回はグロは抑えめ。
丁寧な口調で、ささやかな日常を守ろうとする夫婦と、そこに否応なく訪れる亀裂が語られます。
ヒシヒシと高まる不安、映像化したらさぞかしと思われる異形。
絶対平山氏なら殺すだろ~~~というこちらの予想を裏切って、最後の一線がぎりぎり守られ、
代わりに悲しくも優しいラスト。
夢幻紳士の『老夫婦』の質感と似た、悲しいけど読んだ甲斐のある短編でした。
妹尾ゆふ子『夢見る神の都』
都市伝説・民俗学・そしてもちろんクトゥルー神話。
と、ギュッと諸々詰め込みつつ、スマートにまとまっておりしかも怖い。上手い!
野川さんの若々しい感じの良さと、ナナミの子供らしくない湿っぽさが対称的で、
主人公は湿っぽい方にいくんだろうな~~~と分かっていつつも、
男の友情を感じさせるラストでウルっと来ました。
友成純一『インサイド・アウト』
はあ???!!!という驚愕で顎が落ちそうだった作品。
主人公が裏返ります。こう、腕を口と肛門から突っ込んで、中からグリっと。
その裏返った姿を見て正気を失った人々が、殺しあったり食べあったりします。
はあ???!!!
え、ピンちゃんいらんくなかった?この食人中、主人公はずっと裏返ってウゴウゴしてただけ?
シャーマンが表返したの?破れたとこ縫ったの?日本に帰ってきてからも裏返ったの?
シャーマンいないのに表返れたの?
クトゥルー部外者が言うのもアレですが、これクトゥルー関係あったの?クトゥルーってこんな感じ?
ラストの記者の一言も、上手いこと言ってなくて寒い。
など、疑問は尽きませんが、『主人公が裏返った』ということを思うと、考えるだけ無駄感がすごい。
「グロで生きるものが、必然性があったら裏返るみたいな、軟弱なことではいかん!!」という気迫は受け取った。インパクトで圧勝。