緑ヶ丘ビーズ荘 -3ページ目

緑ヶ丘ビーズ荘

読書とビーズ。

東雅夫編。


現代モノに手を出すの久々かも…。

『幽』で活躍する9人の描きおろし短編集。




コレは全く私の手落ちだったんですが、香山滋の次に手を出したので…

文章が薄くてイマイチ印象に残らなかった…

いや、現代モノをあのノリで書いてたら不自然なんで、当然なんですよ!

私が読む順番間違えたな~~~ってだけで。



とは言え、

救いがあるのかないのか、何となく大自然の掟を感じさせる『弥勒節』(恒川光太郎)

ネチネチしたエロい描写がわりと好みの『聖婚の海』(長島槇子)

などいい感じの作品も。



特に印象に残ったのが『清水坂』(有栖川有栖)。

有栖川さんて…

本業(?)のミステリは、好みで言うと「外れんけど当たりって感じでも…」くらいの印象なんですが、

読み切り単発物で、「えっ」と思うほど印象に残る話がちょいちょいあるよな~。


幼なじみの淡い思い出…

優しい柔らかいエピソードで、怖い要素はない。ちょっといい話系の怪談。

…が、なぜかちょっと怖いんですよ。なんだろ、文章?


柔らかい関西弁。純朴な友情。完全プラトニックの異性への愛情。

オカルト現象なのかどうかすらあやふやな、一枚の花弁の鮮やかな色彩…

という、完成度の高いストーリーが、

「いや、なんかホントはまだあるっちゃね?!」とこちらの勝手な不安を掻き立てる感じ。

そして完成度の高さから、そこはかとなく感じられる変態度…なんでだ。



単発物って、キャラの人気に頼れない分、力が発揮される気がしますね~。

シリーズものだとキャラにノレないと、もう全体がアウトになっちゃうからな~。

(例えば金田一モノにだって、正直に言うと「ひっどいなコレ!」と思うようなストーリーはありますからね…

ソレ込みで、私にとっては大好物なわけですが…)


ちょっと単発狙いで探してみようかな~。






「何かに使えそう…白だと合わせやすいし…」
みたいなフワッとした感じで購入するため、
サイズや色味が微妙に異なる白が大量に存在するんですよね…

香山滋。日下三蔵編。

オチばれありです。



ゴジラの原作で名高い著者の「人見十吉」ものを網羅!!

…っていうかゴジラって原作あったんですか。ゴジラも縁薄いもんな~。

と、そんな、まっさらに縁のない状態で手を出した冒険小説。

凄かった…

何がすごいって、全編を通して繰り返し主張される熱きテーマ。


『秘境と美女』!!!


19編入っているんですが、毎回毎回、微塵の心の揺れもなく、

『秘境と美女』!!!

そんなに好きか…


もちろん「人見十吉」シリーズ外でその他のテーマを書いてるんでしょうが、

香山さん他に言いたいことないのかい…?

と気遣いたくなるほど『秘境と美女』オンリー。


しかも!

手を変え品を変える秘境と美女描写が、ことごとく好み…!!!

旧仮名とか旧漢字を直して読みやすくしてくれてるんでしょうが、

こう…時代がかってコッテリしたこの味わい!!!


これは…と思ってチェックしたら、この方明治37年生まれ。

横溝先生(明治35年生)と同年代か…!

平井呈一に続き、明治30年代生まれにまたしても好みの文章が…。

当時どんな国語教育だったのか気になってくるわ~~~。

 





『エル・ドラドオ』


想像を絶する秘境!財宝伝説!謎の男!謎の美女!意外なその正体!失踪!復讐!


…よくこれを短編小説でやろうと思ったな…!

この猛スピードの物語が、

「黄金郷探求の、最初の情熱は、最早私の何処にも見出されません。今はただ妖花コンチャ・ペレッツの跡を追う恋の痴者に成り下がった哀れな私のみすぼらしい姿!」

というような、バタークリームばりにコクのある文章で綴られます。

読んでてよだれが出てくるわ~…


ちなみに19編、すべてこのノリです。

私は好みなのでワンパターン大歓迎ですが、好みでない方は2編くらいでいいと思うよ!


冒頭からこの濃度、かつ血袋と化す軟体美女のインパクトがすごい。





『爬虫邸奇譚』


…と書いて「ジーラ・モンステル」とルビが振ってあります。

香山さんは語学に堪能でいらっしゃるのか、

大山猫に〈リンクス〉、食肉魔で〈カーニポーラ〉等々、何語かもわからんが字面も響きも文句なし!

ってルビが豊富でホント目の保養です。


ミステリの浅瀬も好む私ですので、館モノは当然好みます。

生きながら人体を剥製にする芸術家!

美しいものが醜く、醜いものが美しく見える秘薬マンドレーク!

脳内麻薬でも分泌してたんかと思うノリだよな~~~。

「過ぐる世紀、来るべき世紀、奴のごとき偉大なる芸術家は、もはや一人として見ることは許されないのだ」

と、悪役のセリフですらこの仰々しさ。


結局悪役は何がしたかったのか…?

と、読み終わった後でうっすら疑問に思いますが、些細なことは気にしない。

とにかく秘境と美女を、語彙を尽くして描写してくれてますんで満腹です。高カロリー!って感じ。



どの作品も目くるめく豪華絢爛さ!

山田章博の口絵がほしくなるわ~と思ってたら、

解説で実際に「大の香山ファンでもある山田章博さん」と紹介されてました。

ですよね!

表紙だけっぽいけど、山田章博表紙の単行本が出てるのか~、

文庫本派なんだけど心魅かれる…(またタイトルが『月ぞ悪魔』!!)


あとコレ、『怪奇探偵小説名作選10』となっており、

同時代の怪奇探偵小説を、まだまだまとめてくれてるってこと?!

もう買うべき?!

と思うんですが、第1の小酒井不木ってピンと来なかったイメージがあるんで、

もう2・3冊読んで考えよう…