ノートを読み返すようになる4つのポイント - 書評 - 人生は1冊のノートにまとめなさい | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

ノートを読み返すようになる4つのポイント - 書評 - 人生は1冊のノートにまとめなさい


1年前の今日、何をしていたか思い出すことはできますか?
僕は…よほど特殊な日でもない限り、まったく思い出すことができません(汗)
手帳に予定が入っていれば、それくらいは記憶の片隅から引っ張り出すことはできます。
とはいえ、「ああ、そういえばあれから1年経ったんだなあ…」なんて思うくらいが関の山。
思い出す情景は自分風味に大きく脚色されているのが常なので、どこまで当時の空気を覚えているのか甚だ怪しいかぎりです。

しかし僕の場合、1年前といえば(今でもそうですが)予定で手帳が埋まるという日の方が珍しいくらいです。
つまり、手帳を見ても記憶を引き出すフックすらないということになります。
「確かあの案件を手掛けていて忙しかった時期だよな…」程度の思い出し方にしかなり得ません。
当時は間違いなくその案件に真剣に打ち込んで、色々な感情が渦巻き、それらの一つひとつが僕の中に根付いていくんだと思ったはずなのに、たった1年でまともに思い出すこともできないなんて!

仕事だけではありません。
昨年の12月、2歳前だった息子の様子はどうだったでしょう。
そして、その息子を見て僕は何を思い、息子とどのように接していたのでしょう。
妻に何を言い、何をしてあげられ、何をしてもらったのでしょう。

こういうことを思って後悔したくないから、堀さんの「ユビキタス・キャプチャー」という考えに共感し、モレスキンに色々と綴るようになってきました。
※ 参考: 官能的な魅力に魅せられて人生が変わるかも!? ■書評■ 『モレスキン 「伝説のノート」活用術』 (2010年9月16日)
まだまだ頭で思い描くような形には近づいていませんが、少しずつノートに人生を書き残すことの心地よさを実感しています。

奥野さんが本書で提案されていることは「ライフログを紙のノートに残そう」ということですので、基本的には僕も堀さんに感化されて実行し始めていることと同じです。
しかし、僕がモレスキンに色々なことを書き残そうとするようになっても(GTDのin-boxとしての役割も与えています)、まだ今ひとつな感じがしていました。
奥野さんは、僕のように今ひとつな人に対して、こう指摘しています。
どうしてノートをつけても効果が出ないのでしょうか。
僕は、理由のひとつとして「書きっぱなし」にしていることがあると思います。
言い換えれば、「読み返し」で、体験を本当に自分のものにして、活用することができていないからではないでしょうか。(p.21)
そうなのです。
これまでもノート術やGTDの本でも散々に読み返すことの重要性が指摘されてきたにもかかわらず、どうしても「書く」という行為に囚われてしまい、ノートを「読む」という習慣が根付きにくかったのです。

奥野さんは、そんな僕のような人のために「読み返し」に重点を置いて本書を書いてくれています。
「読み返し」を習慣化するためにはどうしたらいいのでしょう…。
そんなことを思いながら本書を読み解くと、「読み返し」を習慣化しようと意識するのではなく、ノートに書く段階に鍵があるようです。
そこで「「読み返し」を定着させるために、「書く」段階で気をつけたい4つのポイント」をまとめておきます。

Point1 まずはサイズから
僕がいちばん大事だと思うポイントは、「持ち歩いて使い倒せるか」です。(p.76)
何でも記録していこうと思ったとき、記録したいタイミングで記録すべきノートがなければお話になりません。
そのために、ノート自体を「いつでも持ち歩ける」ものにしておく必要があります。
以前はA6版の100円ノートを強く推されていた奥野さんも、ライフスタイルや記録内容の変化に伴ってA5版に移行されたようですし、僕はモレスキンのポケットサイズにしています。
僕がモレスキンを持ち歩こうと思ったのは、「常に持つものならば持っていて気持ちのいいものを持ちたい」という考えからですが、この辺は各自の好みでいいでしょう。

そして、この「いつでも書ける」ために「持ち歩いて使い倒す」ということは「いつでも読み返すことができる」ということに繋がります。
読み返す機会が暮らしの中で生まれるよう、あらかじめ「こういうときに読み返す」というタイミングを決めておくのです。(p.191)
奥野さんはこうも書かれていますが、ふとした時間に「読み返すことができる」状態を実現しておくことが大事だと思います。
例えば僕のライフスタイルであれば、平日はデスクワーク中心なのであまり気にする必要はありませんが、家に帰ってから自室の鞄の中に置きっぱなしになってしまう時間がありますので、ここをちょっと改善すれば良さそうです。
休日の場合は、買い物中にトイレに行っている妻や子供を待っている時間など、見る必要のない携帯を見るよりは、ノートを読み返すほうがよほど建設的な時間を過ごすことができます。

Point2 趣向を凝らして書く
あとで見たときに、そのときの興奮や雰囲気がよみがえるようなメモの残し方、場の雰囲気がよくわかるような資料の残し方などを工夫しておけば、「今日のこの体験は、ノートにどうまとめようか」と考えるようになります。
こうしてできたノートは、ことあるごとにめくってみたくなる。読み返して考えたことを踏まえて、さらに記録に工夫を凝らすようになる。(p.95)
日常ネタ系のブロガーみたいで、ちょっとハードルが高いかなあと個人的には思いますが、「読み返したくなるように書く」というのは大事なポイントです。
自分のノートを読み返さない理由を考えると、その時の必要性だけを考えた「単語」の羅列になってしまっていたので、時間が経ってから読み返したときに意味が分からない、あるいは意味がないものばかりのノートになっているからということがあります。
もちろん、そういうその時限りの単語のメモがまったくいけないというわけではありませんが、ライフログを記録する醍醐味である「空気」を残すことを意識するようにしたいと思います。

Point3 読める字で、詳しく書く
ノートに行動記録を書く理由。
それは、あとで読み返してその日を追体験するためです。
だから、まずはあとでちゃんと読める文字で、できるだけ詳しく書いておくことが大切です。(p.100)
どうせ自分しか見ないから、自分の字くらい読めるだろう――そんな甘えで書き殴ってしまっていた自分に反省です。
(結局、数日後ですら読めない字の羅列になってしまっていたことも…)
読み返す際の「未来の自分」を、ノートに書いている「今の自分」と別の人格だとみなして、彼に僕の体験を伝えるつもりで書く意識が大切です。
(要は、堀さんが「未来の自分に向けてエッセイを書くような感じ」と書かれていたことですが、なかなか難しいもんですね。)
自分が死んだ後に子供に読んでもらう…ということも考えましたが、あまり恥ずかしいことを書けなくなってフィクションになりそうなので、それはちょっと考えものかもしれません(笑)

Point4 楽しかったことを書く
読み返すのが嫌になるようなことを書き残すよりは、周囲のことを多く記録しておきます。嫌なことより、楽しかったことを書くようにします。(p.182)
昔つけていた日記が出てきて死にたくなるほど恥ずかしい気持ちを味わった経験がありますでしょうか?
そのときは、自分の気持ちも盛り上がっちゃってるから恥ずかしくないんですよね。
でも、時間が経って冷静になると……orz(笑)
ライフログノートでは同じ轍は踏まないように、それでいて「空気」を残すという絶妙なバランスを意識することが大切です。
これは上のポイントとも繋がりますが、要はエッセイを書いて「未来の自分」という他人に読ませるんだ、という意識をもてば自ずとブレーキがかかると思います。


こうした「書く際に気をつける」というだけでなく、人によっては「読み返しを楽しくする道具」から入るほうが効果的な場合もあるでしょう。
個人的には本書で紹介されていたダーマトグラフが気になっていますが、お気に入りの道具を使う機会を読み返しでつくったり、読み返しによって充実していくノート作りを楽しんだり。
ライフログを書いて読み返す、という行為自体が、自分自身の人生を充実させてくれるような気がします。

僕も、本書を読んでから一週間ほど、モレスキンに記録されるライフログを意識的に増やしてきましたが、たくさん書いてあると読み返すのもそれだけ楽しくなってきました。
ぜひ、僕が味わうことができるようになった楽しさを感じて欲しいと思います。
本書は、そのためのよい指南書になるはずです。

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■ 関連リンク

著者ブログ: 奥野宣之の実験室
著者Twitter: @okuno0904

■ 基礎データ

著者: 奥野宣之
出版社: ダイヤモンド社 2010年11月
ページ数: 240頁
紹介文:
デジタルでは残せない世界でただ一つの体験記の作り方。100円ノート整理術第3弾



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