[紹介] マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~
2010-07-06 15:00:00

[紹介] マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎

テーマ:人生論・人物伝

今回、R+(レビュープラス)様よりゲラ刷りの段階で(全体の一部を)献本いただいたので、取り急ぎ発刊前に感想をお伝えしておきたい。
※ R+(レビュープラス)様には貴重な機会を提供いただき、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。

本書は米国の人気ビジネス本作家であるマルコム・グラッドウェル氏が、かつて『THE NEW YORKER』で発表したコラムをテーマに沿って編纂したもの。
翻訳は『天才! 成功する人々の法則』も手掛けた勝間和代さん。

誰が邦題を決めるのか知らないけれど、なぜ『What The Dog Saw』という原題(これは第6章から取られているものと思われる)を第2章のケチャップの謎に変えることにしたのかが気になるところ。
今回戴いたゲラは全6章のうち第1章から第3章までであり、肝心の第6章は読んでいないのだが、個人的には第6章の内容の方が惹かれるタイトルなのだが…。
第2章の内容の方が「ビジネス」に近い内容だからなのかな。

ちなみに、原著は19章で構成されているようであるが、本書はタイトルにも示されているように分冊形式で刊行される第1巻という位置づけになっている。
分量的には第3巻までいくことが予想されるけれど、そのあたりを踏まえたタイトル付けなのかもしれないな。


本書のテーマは、マルコム・グラッドウェル氏がコラムを執筆してきた上で根底に置いてきたテーマでもあるのだが、「他人の仕事上の内面的生活に対する好奇心は、私たちの最も基本的な衝動のひとつである(p.2)」という考え方に基づき、ある「問題を、誰かの目を通して、他の人間の頭の中から眺めてみたらどうなるだろう?(p.4)」という経験を読者に提供することだ。

氏を衝き動かすこの種の欲求は相当に強いもののようだ。
例えば、今回刊行される日本語版には収録されていないが(第2巻に収録予定とされている)、ケネディJr.が操縦する小型飛行機の墜落事故を受けて書いたコラムでは、ケネディの体験を理解するために、わざわざ墜落時に似た悪天候下で”きりもみ降下”を体験してくるほどだ。
外面的にケネディJr.の行動を知るだけではなく、実際に彼がどのような気持ちがしただろうかを知りたかったという理由だけで。

しかし、だからこそ、それを読む僕らにとっては氏の文章、コラムが魅力的であるのだろう。
氏はまえがきにおいてこう書いている。

優れた文章: 優れた文章かどうかは、読む者を引きずりこみ、何かを考えさせ、誰かの頭の中を”垣間見せる”力によって決まる(p.9)

僕は、自分ではできない誰かの体験・人生を疑似体験できることが読書の魅力であり効用の一つであると思っているので、こうした考えで書かれた氏の記事は好きだ。
勝間さんの日本語訳もこなれていて、そうした氏の意図するところは損なわれていないと思う。

ゲラは思わず引き込まれて3章分をあっという間に読みきってしまった。
さすがに読ませるなと思わされたが、詳しい内容は本書に当たっていただきたい。

なお、本書に収録されているコラムは、氏のウェブサイトで無料公開されているようである。
正確に言えば、1996年以降に『THE NEW YORKER』で発表した記事がアーカイブされているのだが(全てかどうかは確認できないが、恐らく全てだろう)、手元にある3章までをざっと読み比べてみたところ、当時から特に加工されて収録されたわけでもなさそうなので、英語が苦にならない人はそちらをどうぞ。
また、英語をお勉強したいなんて思っている人は、本書の助けも借りながらアーカイブを読んでみるといいかもしれない。

しかし、日本的にはこうしてまとめて書籍化されたらウェブでの公開を取り止めそうなものなのに。
それでも売れてしまうところが氏の人気なのか、ウェブとは違う本の魅力なのか。
英語の出来ない僕は、この第1巻だけでなく第2巻、第3巻と邦訳を待ち焦がれることになるのか…。
あらためて英語を勉強しようと思った(笑)


■ 関連リンク

GLADWELL.COM
 ― THE PITCHMAN(第1章: TVショッピングの王様)
 ― The Ketchup Conundrum(第2章: ケチャップの謎)
 ― Blowing Up(第3章: ブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学)

■ 基礎データ

著者: マルコム・グラッドウェル
訳者: 勝間和代
出版社: 講談社 2010年7月
紹介文:
昨年のベストセラー『天才! 成功する人々の法則』でおなじみ、“アイデアの魔術師”ことマルコム・グラッドウェル
『ニューヨーカー』誌掲載の歴史的名コラム6本を収録。
「グラッドウェル×勝間和代」のスーパー・プロジェクト第二弾!


■ 他の方の紹介記事

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