あるクライアントさんのお話。
その方はとても良い子で育った男性。
母親はとても愛して大事に大切に育てたそう。
良い子に、良い子にと。
その子供はお母さんの期待通りに良い子に育って、
勉強も良くできて、お母さんの言うことを何でも聞く良い子になっていました。
母親は、私と違ってとても頭の良い子だからと、
子供の将来に期待して、
小さい頃から塾や習い事に通わせ、中学校からは進学塾に。
学区内での有数の進学高校に行って、有名大学に入り、安定した企業に就職させる、
いつしか、それが母親の目的になっていました。
そして、そうすれば将来が安泰だからと子供に言い聞かせていました。
世間や社会をまだ知らない子供は、母親の言うことを信じて、一生懸命勉強しました。
そう、小さい頃から良い子に育った彼は、そうすることが良いことだと信じて。
勉強したくない、もっと遊びたいって、母親に抵抗したこともあったみたいですが、
そうすると、母親は怒るというよりは不安になって悲しい顔をしたそうです。
彼にとって、それは怒られるよりもっともっと辛いことだったのです。
お母さんのことが大好きだったから。
いつしか、そんなお母さんの顔を見たくないと思ったのか、
学校に行きたくないと思っても言えずに我慢。
勉強したくないと思っても我慢。
遊びたいと思っても我慢。
眠たいと思っても我慢。
中学校時代は試験前には徹夜で勉強したこともあったそうです。
そして頑張って勉強してテストで良い点を取ったら、
お母さんがほめてくれる。喜んでくれる。
我慢して頑張ったらお母さんが喜ぶし安心してくれる。
いつしか彼は、それが当たり前になって、我慢することがクセに。
でも本当はしんどい。
そして、その辛さを感じないようにするために、自分の欲求や感情を閉じ込めて、フタをしていった。
自分の欲求や感情を出すとお母さんは心配するし不安になる。
だから、彼にはそうするしかなかったのかもしれないです。
そんな彼は、頑張って勉強して、母親の期待通りの高校に入り、
高校でも一生懸命勉強して成績も上位に入り、
順調に大学にも進学して、
大手上場企業に就職して、、、
母親にとっては自分の期待に応えてくれる自慢の息子だったそうです。
一方、彼は。。。
母親の期待に応えて頑張ってきたものの、
何か物足りない。
友人と遊んでも、何か心の底から楽しめない。
何かいつも、つまらなさを感じている。
将来を想像しても夢がない。
人生って何だろう、
何のために生きていくんだろう、
このまま会社で働きながら、いつしか結婚して子供が生まれて、そして死んでいく。
そこに楽しさや幸せ感は全く感じられず、
ただ人生をやり過ごしていく。
それが自分の人生。
そう思って、人生を生きることに諦めてしまった状態。
でも、今日が終わればまた明日がやってくる。
起きて会社に行かなければいけない。
目の前には仕事があって、やらなきゃいけない。
帰りたいと思っても残業して頑張らなきゃいけない。
誰のためかわからないけど、仕事しなきゃいけない。
終わらせないと帰れない。
〆切に間に合わせないといけない。
真面目に頑張る彼だから、何とかやってしまうし、できてしまう。
周りからもできると褒められるし、
その分期待もされる。
上司から先輩社員から期待されるのは嬉しいし、
評価されると充実感を感じられる。
いつしか彼は、それを仕事のやりがいと思うようになり、
やりがいを求めて、ひたすら仕事に励むようになったのです。
充実感や達成感を求めて・・・。
(つづく)