オフィス移転が決まると、取引先にはたいてい同じ文面のお知らせを送ります。「このたび弊社は下記住所へ移転いたしました。電話番号に変更はございません。今後ともよろしくお願い申し上げます」。新しい住所と地図のリンクを載せて、それで完了です。
ところが移転後の数週間、こんな連絡がよく届きます。「ビルに着いたけれど受付がどこかわからない」「請求書を旧住所に送ってしまった」「宅配便が戻ってきた」「打ち合わせに来た人がエレベーターの場所で迷った」。お知らせは確かに送っていたのに、相手の仕事で実際に変わることまでは伝わっていなかった、ということです。
そこで、移転のお知らせメールに、担当者から60秒の動画を一本添えてみてください。新しいオフィスの入り口から会議室までを実際に歩いて見せながら、取引先が知っておくべきことだけを伝えます。
■ なぜ住所だけでは足りないのか
・移転のお知らせは、相手の受信箱で「あとで確認」に回されやすく、必要なときに見つからない
・住所は書いてあっても、「来訪するとき」「書類を送るとき」「請求に関すること」のどれが変わるのかは、読み手が自分で判断しなければならない
・初めて訪れるビルは、地図だけでは入り口や受付の位置がわかりにくい
相手が知りたいのは、新しい住所そのものよりも「自分の担当業務で何を変えればいいか」です。そこを短く、具体的に見せるのが動画の役割です。
■ 60秒の構成例
0〜10秒:あいさつと、この動画の目的
「〇〇さん、いつもありがとうございます。オフィスを移転しましたので、お手間をかけないよう変わる点を3つだけご案内します。」
10〜45秒:変わること3つ
1. 来訪するとき:最寄り駅の出口からビルの入り口、受付、エレベーターまでを実際に歩いて撮影したものを見せる
2. 書類や荷物を送るとき:新しい送付先と、旧住所に届いたものをいつまで転送できるか
3. 請求や契約に関すること:請求書の記載住所が変わる時期、取引先側で登録情報の更新が必要かどうか
45〜60秒:変わらないことと締めのあいさつ
「電話番号、メールアドレス、担当者は変わりません。新しいオフィスにもぜひお立ち寄りください。」
■ 撮るときのコツ
・取引先ごとに撮り分ける必要はありません。来訪の多い顧客向け、経理・総務担当向けなど、伝えたいことが違う相手ごとに一本ずつで十分です
・道順の部分は、スマートフォンを縦に持って歩きながら撮ると、相手が実際に来たときの目線に近くなります
・新しい住所と送付先は、動画の最後に画面に文字で出しておく。あとから見返したときに書き写しやすくなります
・移転日の2週間前と、移転の翌週の2回に分けて送るのがおすすめです。1回目は準備のため、2回目は「もう新しい住所です」という確認のためです
■ 社内の人にも同じ動画を
実は、この動画がいちばん役に立つのは、新しく入社する人や、移転後に初めて出社する人だったりします。社内向けには、ゴミの出し方や会議室の予約方法を30秒ほど足した版をつくっておくと、総務への同じ質問がぐっと減ります。
ちなみに私たちAxiom Labでは、手持ちの資料や画面録画・画像などの素材をもとに、見込み客や投資家、採用候補者向けの短い動画をつくるサービスを開発しています。現在は招待制のベータ版で、まず素材の無料分析を行い、その後は見積もりに基づいて前払い残高から制作を進める形です。興味があれば axiomlab.online をのぞいてみてください。
移転のお知らせは、取引先にとっては「やることが増える連絡」です。住所だけを並べず、「ここだけ変えてもらえれば大丈夫です」と顔と声で伝えてみてください。