こんな相談を受けました。
数十年前に親戚から購入した土地、しばらく放置したままだったので売ることに決め、不動屋さんに依頼した。
すると暫くして不動屋さんから連絡があり、その土地には昭和の初期に付いた抵当権があった、このままでは売ることはできないので抹消して下さいとの事でした。
それを聞いて相談者のAさんはとてもびっくりしたみたいです。
土地の登記簿の写しを持ってきてくれたので、私も見たのですが、
確かに良く見ると「抵当権設定」に×がついていないものが一か所ありました。
でもこの登記簿所有者も数回変わっているし何回も抵当に入っていてごちゃごちゃと見にくい。しかも古いものは手書きでとても読みにくい。
いままでAさんが見逃してしまったのも無理もないかも…。
ところで、その抵当権を消すには…、
この土地を売ってもらった親戚に聞くのが一番なんですが、もうすでに他界してしまっていて聞くことが出来ない。
その抵当の内容ですが、その当時の土地の持ち主であるAさんの祖父が従兄弟の借金の保証人になっていた模様、何度かその従兄弟の名前が登記簿内に出ていました。しかしすでに祖父もその従兄弟もすでに他界していて話も聞けない状態なんです。
借りた金額はなんと400円!!
まあ、当時にしたら大金なんでしょうね…。
どう考えても返済していないとは思えないので、ただ消し忘れていただけのようなんです。
借りた先は「信用販売購買利用組合」という金融機関。
この金融機関が今でもそのまま存在していて、すんなりとそちらで書類を出してもらえれば何の問題もないのですが、この利用組合かなり前に解散してしまっていて現存していない…。
なのでどうしようかと相談があったわけなんです。
司法書士に依頼すれば簡単に解決するのでしょうが、お金がかかってしまいますからね、安く済ませるには出来るところまでは自分でやってみたいとの事で、
Aさんはインターネットが使えないので代わりに私の方でちょっと調べることになったんです。
こういった抵当権の未抹消というケースは良くある事みたいですね。
この利用組合はのちに農協や漁協に変更されていることもあるので、まずそちらで聞いてみることから始まり、それで関係がないとなったらまた別の手段で考えていくしかないです。
債権証書や完全な弁済証書があれば法務局に提出すれば簡単なんですが、その所在の手がかりすら無いのでこれは出来ません。
なのでその他の対処法としては
裁判所に、「非訴事件手続法148条の公示催告の申し立てをし、除権判決を得て抹消する」方法。これには時間や手間がかなりかかるみたいです。
あとは供託を利用する方法。
債権の弁済期から20年を経過しているし、金額も少額なのでこの手続きも可能です。
どちらにしても余計な出費は免れないわけで
土地を持っていると言ってもいろいろ大変ですね。。。
不動産の売買は慎重に、そして人任せではなくある程度の知識も必要だと感じました。