ダニング=クルーガー効果
という
言葉を聞いたことはあるでしょうか?
客観的に自己評価ができず自分の考えを
過大に評価しすぎて思い込みや先入観でしか
物事が見えなくなっていく。
誰もが陥る認知バイアスの一つであり、
決して他人事とは油断できない。
私自身も知っておいて良かったなと
心から思える人間心理の一つです。
これは人が途中半ばで挫けずに
成長して壁を乗り越えていくために
必要な心理現象ではあります。
ただ…
このダニング=クルーガー効果は
すごく危うい認知バイアスでもあり、
そういう存在があると知らない限りは
誰もが自覚しにくい症状でもあります。
問題になってくるのは2つ。
①にわか仕込みの人ほど
自信過剰な思い込みに陥る。
(断言や否定などの強い言葉を使いがち)
②その自信過剰な勉強し始めの人に
更なる初心者の人がその人の信者になって
誤解した知見が広がっていく。
本当に実力がある人が自信家なら
特に問題ないんですが…
ちゃんと真摯に学んでいる人は
何か発信する前に一度立ち止まって
客観的な自分の立ち位置を見るので、
あまり強い物言いはしないんですよね。
むしろにわか仕込みの人の方が
自信満々な発言や態度になりやすいのが
このバイアスの恐ろしさ。
ちょっと知識を付けたことで
自分は理解力の高い人間と思い込み、
自信満々な言動を繰り返してしまう。
それが後々に成長していくことで
客観的な自身の立ち位置が分かり始め、
自信が急降下し始めます。
その自信喪失の急降下の谷を
『絶望の谷』と呼ばれています。
この時に、過去の自分がぶちかました
数々の無礼な発言や態度を思い返しては
恥ずかしい気持ちになる。
多分、誰しもが一度は経験したことは
あるんじゃないかなと思いますが、
絶望の谷は順調に成長している証とも
取れます。
そのどん底を自信喪失の経験した後に
努力して実力を身に付けていった先には
自信に満ちた中に謙虚さを持ち合わせた
本物の自信に生まれ変わります。
馬鹿の山はなかなかの
辛口なネーミングだなと思うんですが…
自戒の念も込めてのこのネーミングは
自分自身を見直す良い機会になっていく
と思われます。
本当に学んで経験してきた人ほど、
発言や態度に関しては本当に慎重で
「それは違う」「これが正しい」と
無闇に批判や断言したりしないんですよね。
「自分が正しいとは限らない」と
過去の失敗を繰り返した上での
成長だと自分で認められているから。
問題になってくるのは
ずっと自信過剰の山に居続ける人の場合。
「これは間違っている!」
「これこそ正しい意見だ!」と
いつまでも自信満々に
主張し続ける人になってしまうこと。
驕らず真摯に自分を磨いている人は
すでに山を通り過ぎているので、
人の本質を看破できたりしますが、
更なる初心者の人の場合は
「この人こそ本当にすごい人なんだ」
と誤解して集まってしまう。
しかも、どの分野にしても
初心者の人数の方が圧倒的に多い。
そのためSNSが広まった現代では
自信満々の勉強し始めの人が、
慎重な発言を志す実力者より
強い影響力をもってしまうということは
よく起こります。
その分野で新しい人の場合は尚更
勉強し始めの自信過剰な人と
本当にその分野を極め続けた人とを
嗅ぎ分ける指標や術がないんですよね…。
ゆえに、
スキルが高く慎重で物静かな人よりも
知識も経験もスキルも不十分な
自信満々な人の方が魅力的に映ってしまう。
それは多分身近な人間関係や恋愛などでも
失敗経験する人は非常に多いと思います。
最初自信がある頼もしい人と思ったのに、
付き合ってみると中身スカスカで
騙された気分になったとか。
本当の実力者よりそういう人の方が
絶対数も多い上に目立つ場所にいるので
印象の逆転が起こってしまうのも
自然現象なのかもしれません。
ただ私自身は…
この心理現象が頭の片隅にあったことで
本当に助かったことがよくありました。
・人は必ず馬鹿の山を通るということ。
・自信満々に断言する人ほど無知で危険。
・内に秘めた謙虚さを持つ人こそ大切である。
という認識を持てていたこと。
自分は見る目や判断力が優れていると
驕っている場合が一番危ない。
「ん?待てよ…これ本当に正しいのか?」
「この人やたら強気なのはひょっとして…」
メタ分析する努力をすることで
自分や人の中にある偽りの自信を
疑うことに繋がります。
自分自身を悪影響から守る意味でも、
周りに自分が悪い影響を与えないためにも、
自身で気づきを得られるというのは
重要なことだなと心から思います。
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