力が回転に伝わらない場合

回転原理が頭で分かっていながら
体に染み付いてないとか
体が忘れ去っているとか

知識が感覚に追いつかない
ことはよくある。


スピンで初めてやることになる
スタンドスピン

体を細くして回転加速する感覚を
スピナー初心者の時に
感じられるかと言えば…

おそらく感じられない場合が多い。
(少なくとも自分は分からなかった)


これは初めてやるスピンポジションでも
スタンドと同様のことが起きて、
初速で勢いよく入っても
回転の力が維持できずにすぐ弱まる。



スケートの場合は
その加速の体験に行き着かないと
次第に限界を感じてくるので…

体が回転原理を体験するまで
思考の矛先を回転以外に切り替えて
入念にステップアップしていく
必要性が出てくる。



横にも縦にも前後にも
体に歪みがない真っ直ぐを探し
バランスを保って立つ。
軸の真っ直ぐを保ちつつも
惰性で2〜3回転ほど耐えられる
持久力がつき始める。
軸の真っ直ぐを崩さずないまま
腕と脚のテンションが回転に伝わり
5回転ほどキープ可能になる。
体のテンションはキープしたまま
回転途中から軸をすぼめても
崩れない余裕が徐々に出始める。
点で回転していたスピンが
やがてエッジで押さえる感覚に
シフトチェンジしていく。
エッジの押えによる
力の入れ具合が体に伝わり始め
締めによる回転調整ができ始める。



おそらく自分の場合
こんな感じのプロセスを辿りながら
スピンが体に馴染んだはずなのですが…
(細かく見ればもっとあると思う)

今でも

崩れた時どこの段階で崩れたか、
どこで躓いているかを振り返る。

大体は乗っているエッジの上から
体のどこかが外れている。

真っ先に疑い深いところで
エッジのスリップが起こる時も同様

エッジが擦り減ったせいではなく
どれかの体のパーツが倒れるエッジの
角度に対して逃げていることで
エッジの氷を掴む手応えがなくなる。

慣れた動きは特に
自分が無意識に起こしているズレに
気づきにくいので…

そこで一度原点に立ち戻ると
自分のおかしくなった部分に
気づけて修正がかけやすくなる。



成長の原理と原則は
シットスピン、キャメルスピン、
ジャンプになったとしても


おそらく同じと感じていて

ポジションや速さは変われども
そのほとんどの感覚は
スタンドスピンの進捗の過程に
近いものを感じる。



自分の真っ直ぐを探す意識。

腕、脚の緩みの根源は
体の中心部から緩みが始まって
脚や腕、手足の末端まで
順に広がるので…

軸が横方向に割れないように
お尻、お腹、背中の筋肉を
ギュッと強く内にしまい込む。

特にお尻は2つに分断されやすいので
1つにする意識を強く持つことで
細くなってスピードが出始める。


これがジャンプになると…

スピンの時のような冷静さを失い、
心理的に慌てやすい状況も出て

最初の頃のスタンドスピンみたいに
初速の勢いで回ろうという意識が
無意識にも働きやすい。


何か外れ始めたら原点に戻って

今の自分のジャンプは
スタンドスピンの中なら
「どの段階にいるのかな?」

と質問を問いかけると
今の問題点が見え始める。


①最初からバランスを崩して
トゥに引っかかった状態で跳んでいる。

②初速で回転を回り切ろうとして
低空飛行で上がりきっていない。
(跳び急ぎ・回り急ぎ)

③十分上がりきっていて
姿勢のキープができているが
締めるタイミングがズレている。

④姿勢・締める力が伝わり始め
回転の加速の感覚が出始め、
回転もクリーンな感覚に近いが
着氷で開くタイミングが外れる。


1番目や2番目の症状なら…

スピン初心者の時にやりがちな
入りの初速に頼りがちになる癖、
力みによる崩れが発生しやすい。

仮に回れて成功したとしても
偶然にタイミングがあったとか
一か八かになりやすいので…

とにかく慌てないこと。

丁寧さと体の真っ直ぐな
運び具合を入念に確認。

それをクリアしてきたら

上がってから締める力での
回転加速を意識。

ここらのパラダイムは
スピンの上達時に変化する感覚に
近いところがあるのかなと思います。



エッジに対して垂直に
真っ直ぐ体が積まれていく感覚。

真っ直ぐになっているか否かは
二次元より三次元の視点で

肩や腰のラインをX軸
身長のラインをY軸
体の奥行きをZ軸

どの軸で外れやすいかを確認


初速の回転よりも
上がってからの締めによる
1回転の意識


この2つは
必ず必要になってくるものの
成果としてすぐには実現しにくい。



だから、ある種の辛抱強さ。

意識の方向を変えれば必ず
よき変化に繋がるという確信。

僅か1%の迷いや隙や妥協が
体のキレに影響を与えるので、

100%のやり切る覚悟は
時として必要になるかと感じます。