体重別の遠心力の負荷の違い


体の部位ごとにかかる負荷割合を
正確に導くには体の体積と密度による
積分での範囲決めをするなど
ややこしくなってきますが…

高校物理の範囲であっても
色々と数字遊びをしながら
ちょっとした研究になると思います。



遠心力の方程式

F=m×r×ω×ω

F: 遠心力(N)単位 ニュートン

m: 重量(kg)

r:  回転半径(m)

ω:  回転速度(rad/s)
※1秒あたりの回転数(角速度)


全て同じ回転数を条件とし、
変化するのは体重と回転の半径。



まず回転半径の決定から。

上半身で一番広くなる
肩幅を回転直径に定義すると

成人男性平均 45cm→ 0.45m
成人女性平均 40cm → 0.4m
小学校高学年平均    30cm→0.3m
小学校低学年平均 25cm→0.25m


それぞれ直径なので
2で割ると回転半径は

成人男性平均 0.225m
成人女性平均 0.2m
小学校高学年平均    0.15m
小学校低学年平均 0.125m



次に体重決め


成人男性  60kg
成人女性       50kg
小学校高学年 40kg
小学校低学年 25kg

人間のパーツごとの体重内訳は
以下のデータを使用。

・頭部7%
・胴体43%
・片腕6.5%
(上腕3.5% 前腕2.3% 手0.8%)
・下肢18.5%
(大腿11.5% 下腿5.2%  足1.8%)


上半身の片腕を
一つの重りと仮定すると…

遠心力の方程式にパーセンテージ
0.065を乗じて計算。

F=m×r×ω×ω×0.065



次に回転数

2回転ジャンプに統一

滞空時間0.5秒で2回転するとし、
男性、女性、小学校高学年、低学年
を同じ条件で固定

1秒間の回転数 4rps
1分間の回転数  240rpm

1秒当たりの角速度の場合は
回転数に2πを乗じてラジアン変換。
(πは円周率)

4×2π= 25.13(rad/s)


これら全てを方程式

F=m×r×ω×ω×0.065

に当てはめると…




成人男性 554.2N   
成人女性 410.5N     
小学校高学年 246.3N     
小学校低学年 128.3N   


ニュートン単位だと
実感が湧きにくいので

重量(体重)換算してみると…



成人男性 56.5kg
成人女性 41.9 kg
小学校高学年  25.1 kg
小学校低学年 13.1 kg


片腕分の重りだけでもこれだけの
遠心力が回転中に生じる。

成人だとほぼ自分の体重レベルの
遠心力が片腕当たりにかかってくる。



小学校低学年なら
成人女性の4分の1



しかも肩幅という最小半径なので
脇の締めが緩んで肘が広がると
もっと遠心力は強く発生する。




もっとバラバラになりやすいのは
下半身。


片脚あたり体重の18.5%を占めるため、
腕より遥かに重くなる。

しかも、靴の重り1.5kgが
足にはプラスされる。


下半身の場合なら一番広い骨盤が
部位的には大きくなってくる。

最小回転半径である骨盤に
近づける意識を先に持たないと
回転が爆発して制御不能に陥りやすい。

回転半径の大きい状態から
小さく締めていくというのは
数値で表すと難しさがわかる。



「スケートは小さい頃に始めろ」
というのも数値的に納得できる。


遠心力の少ない安全な幼少期に
技の動きを体に浸透させ、
筋力や反射速度は成長の過程の中
徐々に負荷が上がり鍛えられる。

成人体での開始の場合、

その過程が飛ばされているため、
ゲームとしては最初から
難しいモードでやることになる。



ちなみに成人体の1回転の遠心力は

成人男性  14.1kg
成人女性  10.5kg

1回転で小学低学年の2回転と
同等レベルの遠心力。

大人が2回転の習得に
苦労するのは必然とも言える。


RPGゲームで例えるなら…

レベルが育っていない状態で
なおかつ武器も初期状態のまま
ラストダンジョンで戦う感覚。

戦闘不能になりやすい。


軸が歪んだり捻れたりもするのも
体の遠心力に適した筋力と反射神経が
まだ適合できていない場合がある。

そんな時、

その力を抑え込む身体作り。
筋力と反射速度の開発。

筋力を作っていきながらも
体も軽量化して遠心力の増大を
最小限まで抑える。

強い武器やアビリティーは
徐々に増やしていく。

難しいゲームで挑む分、
日頃の刺激と積み重ねが
一層必要と感じています。


単純な力だけを比較するなら
大人は間違いなく強い

けれども…

発生する遠心力の強さは
自力を圧倒的に凌駕する。

そんな特徴を持っている。





ちなみに4回転する選手なら…

0.65秒で4回転回り切る計算で
1秒当たりの回転数は6.15回転

これをラジアン変換すると
38.64(rad/s)

体重を成人男性に仮定した場合
片腕にかかる遠心力は…

1310.25 N

重量換算すると
133.61 kg



これは等速回転の場合であり、

実際の回転は緩急があるため
MAXスピードの回転時は負荷が
更に大きくなると考えられる。