ワンちゃん、限界か…

小さな小さな柴犬が家族に加わったのは15年前…。



いつも飛び跳ねたり、愛くるしい顔立ちで家族を幸せな気分にしてくれた。






家を脱走し、三日間、行方不明になり、あきらめかけた頃、近所の小学校から電話があった。校庭でサッカーボールを追いかけて走り回る姿…。名前を呼ぶと急いで走ってきて、皆が喜んだのを今も思い出す…。



真剣にお付き合いした人たちが名前を呼ぶ声も明確にのこっている。




二週間前、急にエサを食べなくなった。



歩く姿も力がない…。



立っているのがやっと…。


時に立ったまま寝てしまうのかグラッとなる。



膵炎との診断で座るのすらがつらい為か…。



毎日、点滴をうけているがほんの数時間だけ元気になり、エサも少しは食べていたが、三日前からは見向きもしなくなった…。



毛が抜けて点滴のあとも痛々しい…。






それでも皆がそろっているリビングにヨタヨタと歩いてきて、テーブルの下で眠る…。




今、父親がつぶやいた。



『もう頑張らなくていいよ』



『15年もみんなに幸せをくれたんだから…』



誰も口にはしないが家族の皆、涙が…。



点滴もつらいのだろうが、ほんの数時間、元気になるのがうれしくて…。



最近まで元気だったのだから必ずよくなる。



そう信じて…。