私やあやたが、寝しなや明け方の咳に苦しんでる時、
「咳は我慢しろ。」
「咳をすると、余計、喉に炎症が起きて悪化するんだよ。我慢するか、減らす努力をしろ。」
「咳をする奴は愚か者だ。」
いかにも正論っぽく、理屈っぽく説いていた。
あやたなんかは、咳が出始めると
「おかあ、なんか咳出てきたんだけど、やだな・・・
またけんちゃんうるさいから・・・」
と小声で私にこっそり打ち明けてきて、不憫でならなかったし、
私自身も咳風邪を煩う度に説教され、軽く殺意を覚えていた。
それが、それがだ。
私の目の前に横たわるのは、
夜中じゅう、咳で悶絶してる彼の姿。
咳を、している!!
ここで沸き起こってくるのは、かわいそう、でも、うるさくてやだな、でもなかった。
反撃のチャンスを得た悦びだ。それしかない。今でしょ。
夜中、布団に包まって悶えている彼の背中をトントンとノックした。
「咳は、我慢出来るんだよ?」
何も返せずに悶絶していた。
楽しい。。
「咳をすると、喉を余計痛めるから、回数を減らす努力したらどうかな?」
腹の底から笑いがこみ上げてくるような感覚を得た。
愉快。。
「あのさ、どんなに眠くても夜中でも、起き上がってお湯沸かして飲むといいよ。」
グへへへへへ!!!
極めつけは、
「あのさ、教えてあげようか。咳をする奴は、愚か者なんだよ?」
彼はスックと立ち上がり、
「FUCK YOU(ファッキュー)!!!!!!」と叫んで、
部屋を出て行った。
その次の晩は、私が背中をトントンと叩いただけで、
咳まじりに近藤マッチの愚か者を歌いながら部屋を出て行き、別室で寝ていた。
その後は、水筒にお湯を入れてお守りのように携帯して、
その地道な効果からか、今は落ち着いた様子。
こうして彼も、少しずつ、一ミリくらいずつでも、
私たちと同じように経験を積んで学んでゆく。
自分が人にやったことは、遅かれ早かれ自分に返ってくるんだな、
大袈裟だけど、神様はいるのかもしれないな、と思った一件である。
そして今日、妻に向かってファッキューと叫ぶ愚か者も、
38という年の功を迎えたようだ。
38か。
愛憎の8年間。
相変わらず、良い時は最高で、悪い時は最低だけど、
助けられてることも、根底にある尊敬も勿論あるよ。
38歳、おめでとう。

▲本日午後出社のため、出勤前に下北のかつ良でお祝い御膳
