先日書かせていただきましたとおり、今回の木馬館の特別公演は4公演中3公演を拝見することができたわけでありますが、私が見た3回とも、第一部の舞踊、第三部のショーにおいては群舞による演目はすべて同じで、ソロの楽曲が毎回変わるという印象でした。

 

そんなわけで、今回は、早乙女兄弟のソロと第二部お芝居を中心に書き残していこうと思います。

 

まずは
 

2月16日 夜の部
【第一部】
 

1曲目は、太一くんと翔太郎さんで「色が舞う」。昼よりもお二人の距離感などが自然で、本当に、この曲は見れば見るほど、という印象が残りました。

ゆっくんのソロは変更なしの「月」。昼の部で大人のゆっくんの魅力を知ってしまったので、実はこの曲を待ちわびたりしていました。うっとり。

第一部ラストは太一くん女形ソロの「朱夏」からの「百花繚乱」で、季節外れの夏を呼び込んだ太一くんのお茶目さに、ちょっとニヤニヤしてしまいました。百花繚乱もお祭りな曲ですもんね。

【第二部 お芝居】『清水の小政』

こちらのお話は以前、岐阜の旧葵劇場の劇団朱雀公演で見たことのあるお芝居でした。

その時の模様はこちら。

 

 

 

今回は、小政を翔太郎さん、政吉が太一くん、そして三吉(三公)がゆっくんでした。

 

とある茶屋で、時太郎さん、智也さん、市之丞さんと劇団BRATSの安田桃太郎さんが、飲み食いのお代を支払わずに帰ろうとしています。そこに、茶屋の主人である姫之介さんが「お代を払ってくださいよ」と、追いかけますが、彼らはこのあたりを仕切っている笹屋一家の子分で、「ここで商売できているのは誰のおかげだ」と、茶屋の主人を相手にもしません。それでも負けずに食い下がる茶屋。そこで、桃太郎さんが茶屋の長椅子に足をかけ、ドスを抜こうとしたのですが、そこですってんころりん。長椅子にかけてあった緋毛氈がつるりと滑って足を取られてしまったようなのです。まるでマジックのように姿を消した桃さんでしたが、すぐに態勢立て直し、ちょっと恥ずかしそうに笑いながらドスを構えなおしたのですが、そんな美味しい場面に姫之介さんが食いつかないわけがありません。

「びっくりしましたよ!急にいなくなるから。それもなにかのワザなんですか?」とかなんとか、突っ込んでいたような。

結局自爆したような形になった桃さんたちが、逃げるように退散(でもお代は払ってないけど)すると、そこに太一くん扮する笹屋の代貸と、昼に引き続きブサメイクをしたゆっくん扮する三公が現れます。件の茶屋でひと休みするふたり。代貸は主人に最近困ったことはないかと尋ねますと、

「それが…」

と、姫之介さん。

「先ほど代貸さんのところの若い衆がやってきて、呑むは食べるは、それはいいんですけどね、お代を払ってくれないどころか、そこでひっくり返って…」

と、さきほどの桃さんのいきさつを報告w

代貸は、「それはすまなかった」と、お金を渡して「釣りは要らないから、次に来た時にまた若い衆に飲み食いさせてやってくれ」と頼みます。

そのあと、茶屋の主人が笹屋のことを悪く言わないようにと心づけを渡して、代貸がお茶を飲んでいるところへ、武家の姉妹が現れます。

「持病の癪が…」

と、しゃがみ込む妹役のありさちゃん。

その場に居合わせた代貸さんは、姉妹に声をかけ、妹は笹屋で休ませることにし、姉には薬屋に薬を買いに行くようにと、助け舟を出します。

誰もいなくなった茶屋に、翔太郎さん扮する清水の小政がやってきます。小政は、自分の親分である清水の次郎長が、以前笹屋の親分に貸した三十両の金を返してもらいに来たのです。茶屋の主人に声をかけ、笹屋一家の評判を聞きますと、つい先ほど代貸から言われた通りに良いことばかりを言おうとするのですが、ちょっと顔が苦々しい。そこで、小政が心づけを渡すと「実を申しますと…」と、手のひらをころっと返して本音を吐露してしまいます。「やっぱり」と、納得する小政。そもそも借りた金を返さない時点で良くない相手、この先長くなりそうだと考え、小政はここで一休みすることになりました。と、そこへやってくる先ほどのお武家の姉。不用心に脇に置かれた小政の札入れにそっと手を伸ばし、盗もうとします。気づいた小政が取り押さえ、わけを聞けば、妹のために薬を買いに行ったがお金がなく困っていたところへ、あなた様のお金が目に入り、ついつい出来心で…とのこと。そこで小政はそのお嬢さんに、自分は顧みず、手持ちのお金を全て分け与えてしまうのでした。(そのあと、小政は飲み食いしたお金を払えずに困っていたのですが、どうやって無罪放免になったのでしょうね)

ところ変わって笹屋一家。代貸の太一くんと三公のゆっくんが三和土に腰かけて話をしています。

「いやぁ、いろんなことが起きるもんだなぁ」と、太一くん。

「どうしたんです?」とゆっくん。

「さっきの姉妹な、本当は姉と妹が逆になるはずだったんだって」と。

本当は姉役のありさちゃんが急にしゃがみ込んだので、本当は妹役だった姫乃さんが突然姉役をやることになってしまったんですって。

「しかも、妹役はもう衣裳脱いじゃってるらしいんだよ。姉役はこの先のセリフを覚えてないからって、さっき必死になって録音聞いてた」と。

「何が起こるかわからないですね」とゆっくん。

たぶん、桃さんがすっころんでしまったことも思い出してのことだったと思います。

ありささん、本当にお腹痛くなっちゃったのかなぁ。昼の部の太一くんといい、お腹はお大事に。

さて、そんな雑談のあと、代貸は「ちょっと奥にいるから、誰かが訪ねてきたら呼んでくれ。お前はよくわかっていないんだから、勝手に仁義なんか斬るんじゃないぞ」と言い残し、去ります。一人残される三公。そこへ、小政がやってまいります。

小政「お控えなすって」

三公「おっ?お控えなすって」

小政「そちらさまこそ、お控えなすって」

三公「いやいや、そちらさまこそお控えなすって」

と、わけもわからず小政のマネをする三公。どんどんあとずさっていって、へんてこなことに。そこに代貸がやってきて「なにをやってるんだ。それを仁義を切るというんだ」と叱りつけ、改めて小政と仁義を切り合います。

そして訪ねてきたわけを聞くと

「親分はちょっと留守にしておりまして」

と、嘘をつきます。「なんで?」という顔をする三公。

代貸さんは、親分がきっと借りた金を返さないだろうということを見越しており、小政が旅人部屋で休んでいる間に親分を説得しようとします。

ここで、三公が親分を起こしにいくくだりも、ゆっくんらしいキレ方で面白かったです。

代貸の太一くんは親分(陽之介座長)に話をしますが、最初はやはり聞く耳を持たず。しかしながら代貸の説得に折れて、小政に会うことを承諾します。金を返す話をうまい具合にはぐらかし、せっかく来てくれたんだからと、この日の祭りを見物してはどうかと提案する親分。

その時に、祭の儀礼として腰のものは持ち込みを禁じられている、と嘘をつきます。

ドスを持たずに出かける小政。入れ違いに、武家の姉がやってきます。妹がこちらで世話になっていると告げ、奥へ入って行くときに、護身用のピストルを落としてしまう姉娘。

そこで、親分は姉娘に、小政をその銃で殺してくれたら妹を返してやると人質作戦を繰り出します。しかし、姉娘は暗殺に失敗。親分は自ら子分を連れて小政に襲いかかります。

一方、笹屋一家に小政の刀が置き去りにされていることで全てを悟り、三公にそれを小政に届けるようにと命ずる代貸。

で、追いついた三公は、ごくごく自然に小政に刀を返しますが、そこで親分が「お前、なにやってんだ」と、なりますよね。

するとゆっくん。「小政さんにこれを届けにきました」と。

「すぐに取り上げてこっちに来い。さもなければお前との盃は自らにするぞ」と親分。すると、ゆっくん「やったー\(^o^)/」と、大喜び。

「あんたにはもう愛想が尽きたんだよ。そっちから盃水にしてもらえるならありがてえ」みたいな感じ。そこから頭髪の応酬になりましてw

パパ「お前もいつかこうなるんだよ!」

次男「なりませんー。フサフサですー」

パパ「俺だってお前の歳にはフサフサだったの!40過ぎたら来るからな」

次男「大丈夫ですぅー」

パパ「DNAでそうなってるんだよ!」

次男「フサフサの方のDNAだから大丈夫ですー」

フサフサの方ってwwwそんなに違うんかw

そんな応酬のあと、親分が「ええい、お前らやっちまえ」となりますが、小政は強い。最終的に、小政と笹屋の親分の一騎打ちになります。と、そこに駆けつける代貸の政吉。

「二人とも、ドスを収めてくれ」

と頼みますが、両者引きません。

そこで、長ドスを自分の腹に突き立てる代貸。

 

暫くぶりに見たお外題だったので、すっかり結末を忘れていた私、びっくりしました。

まさかまさかの展開。

親分に、自分の命と引き換えに改心してほしいと懇願する政吉。

そして、わかった、すまなかったと詫びる親分。

政吉の手から小政に三十両の金が返され、親分の腕の中に倒れ込む政吉。気遣う小政に

「ここのことは気にせず、行ってください。私の目黒いうちに清水の小政の粋な背中を見せてくれ」みたいなことを言ったかな。

そして去って行くその姿を見ながら、親分の腕の中で嬉しそうに息を引き取る政吉。

やだもう。代貸ったら親分のこと好きすぎてる。

とにかく、その急展開の衝撃と太一くんの真心こもった迫真の演技に、また魂を抜かれてしまう私でした。

 

【第三部 舞踊ショー】
「やくざ若衆祭り唄」、「大江戸ディスコ」と続き、祥太郎さんソロで男性ボーカルによる「雪深深」。ちょっと新鮮。そして、太一くんで「夢の海峡」と続きます。あら。昼の部はゆっくんが棒だったのに、夜の部では太一くんが棒! 昼の部をご覧になっていないゆっくんファンのお友達に「ゆっくんの棒、期待してて」と言ってしまったので、そこはごめんなさいでしたが、いやいや、その気迫と色気とかっこよさよ。そしてゆっくんは「赤と黒のブルース」でした。こちらもまた色気駄々洩れ。なんなの、この兄弟。(褒めています)これぞまさしくDNAじゃないですかね。
そして舞姫俳優陣による「絶体絶命」のあとは、DNAの源流、陽之介パパで「夢のままで」。
さてさて、ここで話題の「竹とんぼ」です。待ってました!

まずは、客席入り口から太一くんが陽ちゃんの遺影を持って登場。「遠い昔に 親父にねだり」の歌詞に合わせて、遺影を指し示す太一くん。ステージに上がると、今度は下手に置いて手を合わせたり。この遺影を用意したのは太一くんだったそうで(;^ω^) 親子だから許される、なかなかのブラックジョークでしたが、そういうネタも大衆演劇ならではですよね。
さて、問題の竹とんぼ問題。昼の部ではまったく飛ばなかったゆっくんの竹トンボに、みんなの視線が集まります。まあ、うん、さっきよりはうまく飛んだよね?と、思って居たら、今度は太一くんの竹とんぼが飛ばす側から壊れていくではないですか!挙げ句の果てには袂から出したのが最初から壊れていたりして。どんどん壊れていくので、ゆっくんも自分が飛ばすよりもお兄ちゃんに渡す方が多くなって、最後の一本もゆっくんから太一くんへ。それも飛んだはいいけど空中分解してしまいました。どゆこと?
曲が終わると、陽ちゃん出てきて
「まだ生きてるわ!」とクレーム。

ありゃりゃ、こりゃもしかして、遺影にされちゃった陽ちゃんの祟りだったかな?
「さっき踊ってたろうが!」と訴えるも、クールな兄弟はさっさとはけていかれましたとさ。

兄弟の出番はここでおしまい。このあとは、祥太郎さんで「Gang★」好太郎さんで「
おんな道」。そしてラストショーの「決闘!高田馬場」にて終幕となりました。

つづく