ダークマターの土佐日記
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 私が見て歩いた、高知県の四季と風土とお祭りや文化そして
星空などを自由気ままに記憶する映像日記です。
消えゆく文化・美しい瞬間を、動画や写真などで残しています。

宗安寺の柴燈護摩供養参加者たち

 

2026年2月28日 高知市宗安寺にて
『宗安禅寺の柴燈護摩供養の皆さん』

 高知市宗安寺「川上不動尊」の柴燈護摩供養を訪ねて
高知市中心部から北西へ車を走らせると、緑豊かな山々に抱かれた宗安寺地区に到着します。

 ここにある臨済宗妙心寺派の古刹・宗安禅寺は、地元では「川上不動尊」の名で深く信仰されており、毎年2月の終わりには、一年の無病息災を祈る勇壮な行事が行われます。

 

 

過去の動画です。

 

 

 精神を浄化する「柴燈護摩供養」とは
2月28日、境内に響き渡る法螺貝の音とともに、柴燈護摩(さいとうごま)供養が始まりました。

 柴燈護摩とは、もともと山岳修行を行う山伏(修験者)たちが、屋外で柴(しば)を積み上げて焚いた護摩に由来します。

 堂内で行われる通常の護摩祈祷とは異なり、空の下、巨大な火柱を立てるのが特徴です。

 立ち昇る煙は天に届き、諸願を成就させ、燃え盛る炎は私たちの心にある迷いや煩悩を焼き尽くすと信じられています。

 この日も、山伏姿の行者たちが厳かな儀式を執り行い、参拝者の願いが書かれた添護摩(そえごま)が次々と火の中に投じられました。

 パチパチとはぜる木の音と、天を突くような熱気。
その迫力に、集まった人々は静かに手を合わせ、一年の平穏を祈っていました。

 地域に愛される「宗安禅寺(川上不動尊)」の魅力
宗安禅寺は、鏡川の上流に位置し、豊かな自然と調和した美しい寺院です。

 本尊である不動明王は「川上不動尊」として親しまれ、特に厄除けや交通安全、家内安全にご利益があるとされています。

 今回の行事でお会いした方々は、皆一様に温かく、撮影をお願いすると快く応じてくださいました。

 凛とした行者姿の方々や、長年この寺を守り続けてきた地域の方々の笑顔からは、この場所が単なる祈りの場であるだけでなく、地域コミュニティの心の拠り所であることが伝わってきます。

 柴燈護摩のもう一つの楽しみは、参拝の帰り際、私は川上不動尊名物でおなじみの「お餅」と「チラシ寿司」を買い求めました。

 お昼に現場で餅つきをして、女性陣が仕上げていました
柔らかなお餅は、まるで春の訪れを告げるような優しい歯ごたえ。

 そして、チラシ寿司は、どこか懐かしく、お腹も心も満たしてくれる絶品でした。

 こうした地元の味を家族へのお土産に持ち帰るのも、このお祭りならではの醍醐味です。

おわりに
 今年は初日の出も見に行かず、車は車検NGだったり、部分入れ歯になったり、良いことがあまりなかったのですが。
 2026年2月28日、宗安寺に舞った護摩の煙は、きっと新しい季節にたくさんの福を運んできてくれることでしょう。

 炎の熱気を肌で感じ、地元の方々の温かさに触れ、美味しい郷土の味を堪能する。そんな充実した一日は、まさに「川上不動尊」のお導きだったのかもしれません。(あくまで個人の意見です😊

高知県四万十市、菜の花畑と星空の軌跡

2026年3月 高知県四万十市入田ヤナギ林にて
『満天の星空の下、闇夜に浮かび上がる菜の花畑』

〜四万十市・入田ヤナギ林が奏でる、星屑と花のシンフォニー〜
高知県四万十市、入田ヤナギ林。

 昼間は一面に咲き誇る菜の花の絨毯と、暖かな陽光に包まれる長閑(のどか)な風景が広がっています。

 しかし、太陽が西に沈み、深い群青のヴェールが空を覆い尽くすと、そこは息を呑むような魔法の空間へと姿を変えるのです。

2026年3月のとある夜。
 気温は10℃。厳しかった冷え込みのピークは過ぎ、春の夜風はひんやりとしながらも肌に心地よく、身を刺すような冬の寒さはもう遠のいていました。

 四万十川の穏やかな水音を遠くに感じながら、足元から仄(ほの)かに立ち昇る菜の花の甘い香りに包まれる。

 見上げれば、そこには今にも零れ落ちそうなほどの満天の星空が広がっていました。

 暗闇の中、三脚を据えてレンズを大空へ向けます。

 狙うのは、一瞬の輝きではなく、悠久の時を刻む星々の軌跡。
20時43分、静寂のヤナギ林に最初のシャッター音が鳴り響きました。

 

 

 静かな夜の森だからこそ、愛機である1DX特有の大きなシャッター音が、より一層辺りに響き渡ります。
(最近のカメラは静かなので、特に競馬場のパドックではひけ目を感じます)

 そこから始まるのは、星と地球が織りなす壮大な時の流れを、静かにカメラへと収めていく地道な作業です。

「カシャッ……カシャッ……」

 等間隔で鳴り続けるその音だけが、この夜のBGM。カメラはただひたすらに、一筋一筋の星の光をセンサーに集め続けます。

 21時42分までの約1時間、計170枚の画像を重ね合わせる「比較明合成」を使って、時間の流れを一枚の写真に仕上げました。

 そうして生まれたのが、この一枚です。

 風に揺れるヤナギの木々のシルエットと、春の息吹を感じさせる黄色い菜の花畑。

 その頭上を、無数の星々がまるで光のシャワーのように流麗な軌跡を描いて駆け抜けています。

肉眼では決して捉えることのできない「時間の可視化」。

 それはまるで、宇宙の鼓動を直接一枚の絵に描き出したかのような、圧倒的な美しさでした。

 実はこの夜の撮影は、この170枚では終わりませんでした。
星たちの織りなす圧倒的な光景にすっかり魅了された私は、その後もカメラのバッテリーが完全に力尽きるまで、トータルで290枚ものシャッターを切り続けたのです。

 その時の様子をタイムラプスにしてYouTube動画にも収めていますので、よろしければそちらもぜひご覧ください😊

 暗闇の中でひとり、星の動きに合わせて自分自身も巨大な宇宙船「地球」に乗って回っているのだと実感しながら過ごした時間は、何にも代えがたい至福のひとときでした。

 心地よい春の夜の空気と、満開の菜の花(本当は少しピークが過ぎていましたが笑)、そして無数の星々。

 四万十の自然が魅せてくれた奇跡のような一夜が、この写真の中に永遠に閉じ込められています。

四万十入田の星空、菜の花畑と機材

『四万十入田の春の夜を丸ごと閉じ込めた、珠玉の星空』

 これは、2026年3月に高知県四万十市入田で撮影した一枚です。

 まず目を奪われるのは、天頂から地平線へと広がる息を呑むような満天の星空。

 中央に燦然と輝くシリウス、その下に鎮座するオリオン座など、冬から春へと向かう夜空の主役たちが鮮明に捉えられています。

 この描写は、マルチロウパノラマ撮影による恩恵です。

 ワンショットの円周魚眼レンズでは得られない圧倒的な高画素・高精細さにより、星の一つ一つがシャープな点像として描かれ、夜空の深淵なグラデーションが表現されています。

 撮影地である四万十市入田地区といえば、春を告げる四万十川沿いのヤナギ林と菜の花が広く知られています。

 
 私が訪ねたときには、残念ながら菜の花はピークを過ぎていましたが、画面右下の暗闇に浮かび上がる黄色い絨毯は、まさにその菜の花畑です。

 また、「入田地区」の文字が見える緑のテントや、左側の白い車。これらを「あえて」構図に残したことで、この場所がどこであるかという「証(あかし)」になります……というのは、ちょっとした負け惜しみも入っていますが(笑)。(隠しようがありません。)

 そして、画面右側に静かに佇む、赤と青のLEDインジケーターを光らせた撮影機材。

 通常であれば画角から外すであろうこれらの機材をそのまま写し込んだ点に、この作品の最大の面白さとストーリー性があります。赤ランプはキヤノンのデジタル一眼カメラの証、青ランプはレンズヒーターの温度調整ランプです。

 果てしない宇宙と大自然の中で、ただ一人機材と向き合い、シャッターを切り続ける「私」がそこにいるという存在感。

 暗闇の中で点滅する機材の光は、まるで私の心臓の鼓動や、星空に向けられた熱い情熱のようにも見えます。

 風景と私が一体となった、非常にポエティックな表現……と。
かっこいいことを言ってみましたが、実際のところ、これも!円周魚眼風の表現だと周囲のものが全部写り込んでしまって、隠しようがないんですよね(笑)。

最後に。
 数十枚に及ぶ緻密な撮影と、それらを上手く繋ぎ合わせる(ステッチする)マルチロウパノラマは、手間のわりに上手くいかないことが多々ある表現方法ですが、この夜はバッチリまとまりました😊

 天候や月齢の条件が揃い、これほどの満天の星空に出会える機会は、多そうに見えて実は少ないものです。

 だからこそ、「この場所の、この夜のすべてを残したい」。
その思いが一番の原動力でした。

 全天球というキャンバスの中に、空間の広がりだけでなく「物語」をも描き切った、こだわりのパノラマアートです。

四万十の菜の花畑と冬のダイヤモンド

2026年3月 四万十市入田にて

『菜の花畑に沈みゆく、冬のダイヤモンド』

 春の足音が日に日に大きくなる四万十市。
昼間の暖かさが夜になっても心地よく残り、気温は10℃。星空撮影につきものの「厳しい寒さ」からようやく解放され、春らしいナイトフォトの季節がやってきました。

 今回は、高知県でも有数の春の絶景スポット、四万十市入田(にゅうた)の菜の花畑を舞台に、名残惜しい冬の星空を一枚の絵に収めるミッションに挑んできました。

 撮影の原動力は、なんといってもサニーマートの「半額うなぎ弁当」! 星空撮影は体力と忍耐の勝負です。

 夕方、買い出しに立ち寄った地元でおなじみのスーパー「サニーマート四万十店」のお惣菜コーナーで、運命の出会いがありました。ひと際光り輝く「半額シール」が貼られたうなぎ弁当です。

 孔明の罠か!? 1200円だと絶対買わないのに、半額の600円となると、なぜか自然と買い物カゴへ吸い込まれていく不思議(笑)。

 撮影地に到着したのは18時過ぎ。辺りには誰もおらず、時折、河原を地元の漁師さんらしき車が通るくらいでした。

 黙々と撮影の準備を進め、完全に暗くなる前に戦利品のうなぎ弁当をいただくことに。

 しかし、ここで痛恨のミス! スーパーの電子レンジで『チン!』しておくのを忘れていました…。

  味は美味しかったのですが、実は私、3/9に「部分入れ歯」デビューをしたばかりでして。

 悲しいかな、食感の楽しみは半減してしまいました。
みなさん、歯は本当に大切にしてくださいね!

 おっと、ついでに髪の毛もね!(『お前が言うな』というツッコミが聞こえてきそうです 笑)。

  話は大きく逸れましたが、長丁場の夜間撮影に向けた最高のエネルギーチャージになりました。

 心なしか、この後の撮影もうまくいくような確信めいたものを感じながら、いよいよ夜の帳が下り、撮影開始です。

 四万十川の河川敷に広がる「入田ヤナギ林」。
ここは毎年春になると約1,000万本とも言われる菜の花が咲き乱れ、鮮やかな黄色の絨毯が圧巻の風景を作り出します。写真の左端に写っている緑色のテントは、まさに「菜の花まつり」の賑わいの名残ですね。

  実は訪れた3月中旬、菜の花のピークは少し過ぎてしまっていました。

 昼間に見ると少し緑の葉が目立っていたかもしれませんが、そこは「夜の撮影」の素晴らしいところ。

 暗闇が花のピーク過ぎをうまくごまかし、美しい黄色の部分だけを闇夜に浮かび上がらせてくれました。

 そして、メインの被写体である星空。
写真を見上げてみてください。南西の空に向かって、冬を代表する豪華な星々が、まるで春に場所を譲るかのようにゆっくりと沈んでいく見事な光景が広がっています。

 この写真の最大のハイライトは、画面いっぱいに広がる
「冬のダイヤモンド(冬の大六角形)」です。

冬のダイヤモンドとは、冬の夜空を彩る6つの1等星を結んでできる巨大な六角形のこと。ぜひ、写真の中で探してみてください。

シリウス(おおいぬ座):左下の地平線近くで、全天で最も強烈に青白く輝く星。

リゲル(オリオン座):中央やや左、オリオン座の右下で輝く青白い星。

アルデバラン(おうし座):中央右側、「すばる」の下あたりで

オレンジ色に輝く星。

カペラ(ぎょしゃ座):画面の右上高くで輝く星。

ポルックス(ふたご座):画面の上部中央付近の星。

プロキオン(こいぬ座):シリウスとポルックスの間にある星。
 そして、このダイヤモンドの中心付近には、オリオン座の赤い1等星ベテルギウスが鎮座しています。

さらに、六角形の中でひと際明るく存在感を放っているのは、実は木星(ジュピター)です。

 この巨大な冬のダイヤモンドは本当に大きいため、地上の風景と一緒に1枚の写真に収めるには、超広角レンズが必要になりますが、今回もパノラマ撮影しました。

 

 

こちらは今年のタイムラプス動画です。

 

こちらは数年前のタイムラプス動画です。

 

 手前には春を象徴する菜の花畑と雄大なヤナギの木々。
そして頭上には、去りゆく冬を惜しむように輝く冬のダイヤモンド。アングルを少しでも間違えれば、星が見切れてしまったり、地上の景色が窮屈になったりしてしまいます。

 夜空を見上げ、構図を微調整し、何度もシャッターを切りました。

 寒くない春の夜風に吹かれ、サニーマートのうなぎ弁当の余韻でお腹を満たし、静寂の中で星の瞬きと四万十の風を浴びる。

 
 これこそ、風景写真を撮る者にとって至福の時間です。
 季節の変わり目である3月だからこそ撮れた、「春の足音」と「冬の名残」が同居する一枚。まさにこれを狙っていました。

 皆さんもぜひ、春の夜の少し暖かくなった風を感じながら、沈みゆく冬の星々を見上げてみませんか?

 もうすぐ『冬のダイヤモンド』は、しばし見えなくなりますよ。

長谷地蔵尊の撮影者と支援者の笑顔

2026年3月 芸西村にて

 

『長谷地蔵尊の皆さん』

 3月とはいえ冷たい風が吹く中、高知県安芸郡芸西村にある「長谷地蔵尊(ながたにじぞうそん)」を訪れました。

 数年前からこちらのお祭りの撮影に通わせていただいていますが、今回もカメラのレンズ越しに、お祭りを支える皆さんの素敵なスマイルをいただきました。ありがとうございます。

 お堂の前に並んだ皆さんの温かい表情からは、この場所がどれほど地域に愛されているかが伝わってきます。

【800年の時を超える「一夜戻りの地蔵伝説」】
 長谷地蔵尊(正式名称:長谷地蔵堂)には、古くから伝わる少し不思議で心温まる言い伝えがあります。

 公式サイトの記録によれば、その昔この地には「長谷寺(ちょうこくじ)」というお寺がありました。しかし今から800年ほど前、突然の大きな竜巻に見舞われ、本尊の十一面観音さまはお寺もろとも、遠く離れた羽尾(現在の香南市夜須町羽尾)まで吹き飛ばされてしまったそうです。

 村人たちは、境内にポツンと取り残されていたお地蔵さんを不憫に思い、夜を徹して羽尾まで運び安置しました。ところが翌朝、長谷に戻ってみると、なんと羽尾にいるはずのお地蔵さんが元の場所にスッと立っているではありませんか。

 驚いた村人たちはさっそく地蔵堂を建て、自分たちの守り神としてお祀りするようになったといいます。

 ご本尊は、空海(弘法大師)の作と伝えられる木造の「延命地蔵菩薩」です。

 安産や失せ物、養蚕に霊験あらたかであり、また境内にある立派な「夫婦杉」は縁結びのご利益があるとして、今も多くの人々が祈りを捧げに訪れる心の拠り所となっています。
 

 

過去の動画です。

 

 

過去の動画です。

 

 

 

【形は変われど受け継がれる地域の絆】
 長谷地蔵尊では毎年、春と夏にお祭りが行われており、お寺としては珍しくお神輿(みこし)も出ます。

 ここ数年は、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの影響により、神輿などが練り歩く『おなばれ』は残念ながら中止となっており、お祭り自体は境内で静かに執り行われています。

 しかし、地区の方に昔のお話を伺うと、今から50年前のお祭りはそれはそれは賑やかだったそうです。お寺から先の橋の所まで、道の両側にはずらりと出店が並び、多くの人が訪れるほどの盛況ぶりだったとか。当時の熱気や、綿飴やりんご飴を片手にはしゃぐ子供たちの歓声が目に浮かぶようです。

 そんな伝統ある長谷地蔵尊を裏方として力強く支えているのが、地域の皆さんです。芸西村には全部で36の部落があるそうですが、そのうちの6部落がこの長谷地蔵尊を護っています。

 お祭りの際には、1つの地区から2名ずつ、合計12名の方が集まり、協力してお手伝いをしているとのこと。連綿と受け継がれてきた信仰は、こうした地域の方々の深い絆と手仕事によって、大切に守り継がれているのです。

 今年も『おなばれ』を見ることは叶いませんでしたが、お地蔵さんをお守りする皆さんの笑顔は、昔も今も変わらない村の最高の宝物だと感じました。心温まる撮影のひとときを、本当にありがとうございました。

「元気なうちは、また写真を撮りに行きたい」――そんな思いを胸に、静かな里山に佇む長谷地蔵尊を後にしました。

 いつかまた、あの橋の先まで出店が並んだような賑わいが戻り、皆さんの笑顔がいっそう輝くお祭りになることを願ってやみません。

【参考・引用元】
宗教法人 長谷地蔵堂 公式サイト:http://www.neconote.jp/nagatani-jizouson/

佐川富士の麓に咲く桜と青空

2026年3月14日 佐川町にて
『私に春本番を知らせる桜』

 私に「春本番」を告げる、小富士山(佐川富士)の麓に咲く
名も無き一本桜、澄み渡るような青空と、春の陽光に照らされた山の緑。
 その麓で、まるでそこだけ光を集めたかのように圧倒的な存在感を放つ一本の桜、周りではまだモクレンやトサミズキ?も咲く中。

 名前のついた有名な桜名所というわけではない、「名も無き一本桜」ですが、堂々と枝葉を広げ、全身で春の喜びを謳歌しているかのようなその姿は、見る者の心を惹きつけてやみません。
 国道からもすぐ見えるので、ついつい寄り道してしまいます。

 高知県内には、ここよりも早く咲き始める桜はいくつもあります。
 それでも、私にとっては昔から、この佐川町の一本桜が満開になるのを見届けるのが毎年の大切なルーティーン。
 
 この見事な咲きっぷりを目にして初めて、「ああ、今年もいよいよ春本番がやってきたんだな」と心のスイッチが入るのです。
 

 

こちらは以前撮影した、タイムラプス動画です。

 

■ 背景にそびえる佐川町のシンボル「小富士山(佐川富士)」
桜の後ろでどっしりと構えているのは、地元で「小富士山(こふじやま)」、あるいは「佐川富士」と呼ばれて親しまれている山です。

 標高は約204〜207メートルと可愛らしい里山ですが、その名の通り、富士山を思わせる秀麗な山容が特徴です。山頂には展望所があり、歴史ある佐川町の美しい町並みを見渡すことができます[。春には桜やツワブキなどの季節の草花が彩りを添え、手軽なハイキングコースとして地元の人々に深く愛されています。

 濃緑の針葉樹が広がる小富士山をバックにしているからこそ、手前の桜の淡く優しいピンク色がよりいっそう際立ち、まるで一枚の絵画のような風景を作り出しています。

■ 季節は巡る。次なる主役「ひょうたん桜」へのバトンタッチ
春のうつろいは早いもので、満開のピークはあっという間に過ぎていきます。

 この小富士山麓の桜が見頃を過ぎ、花びらが風に舞って瑞々しい葉っぱが目立つ葉桜へと姿を変える頃。高知の春は、また次の桜へと美しいバトンを繋ぎます。

 次に私が見頃を楽しみにしているのが、お隣・仁淀川町にある「ひょうたん桜」です。

 こちらは樹齢約500年を超えるエドヒガンザクラの古木で、県の天然記念物にも指定されている名木。つぼみの根元がふっくらと球状に膨らみ、横から見ると「ひょうたん」の形に似ていることからその名が付けられました。

 年によって開花状況にばらつきはありますが、小富士山の麓の桜が葉が目立つようになると、仁淀川町のひょうたん桜が満開のピークを迎えることが多いのです。

 名も無き桜から、樹齢500年の名木へ。
町から町へ、山から山へと春色のリレーが続いていくのを追いかけるのも、この時期ならではの贅沢な楽しみ方です。

 今年も無事に「私だけの満開宣言」を済ませることができました。

 暖かな日差しに誘われて、皆さんも自分だけの「春を告げる風景」を探しに出かけてみませんか?🌸

追伸
 小富士山の山頂には、聖神社があり その裏から足場を通して絶景が見えます、高所恐怖症の私は除くだけでしたが。。。。
数年前の話ですが。。。。

文殊堂の桜と満天の星空

2026年3月 高知県幡多郡黒潮町小黒ノ川にて。

『幾万の絵馬が見上げた、文殊堂の桜』

 国道56号線沿いにある小さな赤い鳥居を目印に小高い丘を登ると、知恵の神様を祀る「文殊堂」がひっそりと建っています。

 2026年3月半ば。
この日、私は文殊堂の境内に咲き誇る見事な一本桜、「文殊堂の桜」にカメラを向けていました。

 見上げれば、こぼれ落ちそうなほどの満天の星。
この桜の品種については諸説あり、役場の案内では「台湾桜」とされていますが、地区の方曰く樹木医によると「エドヒガン」とのこと。

 どちらにしても、高知県内でも早く満開を迎えることで有名な桜です。

 濃く鮮やかなピンク色の花びらが、時おり通る車のヘッドライトに照らされ、暗闇の中で圧倒的な存在感を放ちます。

 お堂の周りには、受験シーズンを戦い抜いた学生たちの「合格祈願」の絵馬がずらりと飾られ、夜の静寂の中でカラカラと微かな音を立てていました。

 しかし、春の夜の撮影は過酷です。
気温はわずか5℃。春とは名ばかりの強烈な風が容赦なく吹き付け、寒さが身に沁みます。

 かじかむ手で三脚を立てながら、私は一つの賭けに出ることにしました。いつものことですが(笑)。

 夜桜の撮影では通常、自分で持参した強力なライトやストロボで花を照らします。

 しかし、私自身がライティングをあまり得意としていないこともあり(汗)、今回も当然のように自前の照明は使わず、「他力本願」な魔法を待つことにしたのです。

 頼みの綱は、すぐ目の前の国道56号線をたまに走り抜けていく、見知らぬ方の車のヘッドライト。

 それは想像以上に過酷なミッションでした。
この日は特に風が強く、桜の枝が大きく揺らされています。

 風がほんの一瞬だけピタリと止むタイミング。
そして、そこへちょうど車が通りかかり、絶妙な角度で桜を照らし出してくれるタイミング。

 この2つの奇跡が重なる瞬間を、寒さに震えながらただひたすらに待ち続けました。

 通り過ぎる車によって、光の強さも、当たる角度も全く違います。

 大型トラックの強烈な光で真っ白に飛んでしまったり、逆に光が弱すぎたり、せっかく良い光が来ても風で花がブレてしまったり……。

 二度と同じライティングにはならない、まさに一発勝負の連続でしたが、これがまた楽しい。

 何度も失敗を繰り返し、寒さで心が折れそうになった時。
ふっと風が凪ぎました。そして遠くから近づいてきた一台の車のライトが、まるで舞台のスポットライトのように、闇夜から文殊堂の桜をドラマチックに浮かび上がらせたのです。

 ヘッドライトの強い光を浴びて輝く、生命力に溢れたド派手なピンク色。

 背景で静かに瞬く無数の星々そして、光の端でふわりと見事に浮かび上がった絵馬たち。

 それはまるで、「知恵の文殊様」に託された若者たちのたくさんの願い事までをも明るく照らし出してくれるような、暖かく力強い光でした。

 荒削りで、どこか暴力的なまでのストーリーを感じさせる光。
見知らぬ誰かの通りすがりの灯りが、この夜一番の素晴らしい演出をしてくれました。

 凍える寒さの中で粘った甲斐がありました。
満天の星空と強い風、人々の願い、そして偶然の光が重なり合って生まれた、一期一会の一枚です(個人の意見です)。

天空の菜の花畑とスタートレイル

2026年3月 香美市有瀬にて
『誰も知らない、真夜中の天空の菜の花畑』

 満天の星空が描く幾重もの光のリングと、暗闇に浮かび上がる鮮やかな黄色の絨毯(菜の花畑)。春の足音が聞こえ始めた3月の夜に撮影した一枚です。

■ 舞台は標高約約300m、「天空の菜の花畑」
 この美しい風景が広がるのは、高知県香美市香北町有瀬地区。標高約300メートルの山間部に位置するこの場所は、のどかな段々畑(棚田)が広がる自然豊かな里山です。

 本格的な農繁期を迎える前、例年3月頃、この棚田には一面の菜の花が植えられます。

 空に最も近い場所で咲き誇るその姿から、いつしか「天空の菜の花畑」と呼ばれるようになりました。石垣が幾何学的な美しさを生み出す棚田と、春の訪れを告げる菜の花のコントラストは、昼間に見ても息を呑むほどの絶景です。

 

 

■ 北極星を中心に回る「スタートレイル」
 夜空を見上げると、星々は静かに止まっているように見えますが、実は地球が自転しているため、時間とともにゆっくりと動いて見えます。

 星々は全体としては東から西へ移動しますが、北の空にカメラを向けると、天の北極にある「北極星(ポラリス)」を中心にして反時計回りに円を描くように巡ります。

 この地球の自転による星の動きを、長時間の撮影によって美しい光の線として捉えたのが「スタートレイル(星の軌跡)」と呼ばれる写真表現です。

 この写真の中心で一点にとどまっている明るい星が、真北の空で輝く北極星です。(天の北極と完全に一致しているわけではないため、実際はほんの少し動いていますが)

 地球の自転軸の延長線上にあるため北極星だけはほとんど動かず、他のすべての星がこの北極星を中心にして大きな円を描いて夜空を巡っているように見えます。

 宇宙の壮大なスケールと、私たちが回る地球の上に立っていることを実感できる、天体ショーの記録です。

■ 気温0℃の夜空下、1時間半の魔法「比較明合成」
 この美しくも不思議な一枚は、シャッターを1回切って撮れたものではありません。

 撮影が行われた2026年3月の夜、気温はなんと0℃。冷たい北風が容赦なく吹きすさぶ、厳しい寒さの中での撮影となりました。

 手足が凍えるような暗闇の中、カメラを三脚でしっかりと固定し、約1時間半もの間、連続して星空を撮影し続けました。そうして撮り溜めた約300枚もの写真を、後から「比較明合成(明るい部分だけを残して重ね合わせる技術)」という手法で1枚に統合することで、途切れることのない美しい星の軌跡と、鮮やかに浮かび上がる菜の花を一枚のフレームに収めました。

■ おわりに
 3月なのに厳しい冬の寒さが残る夜空を巡る星々の永遠の営みと、その眼下で春の息吹を力強く放つ「天空の菜の花畑」。
凍てつくような寒さに耐え、1時間半という「時の流れ」を凝縮したからこそ出会えた、天と地が繋がる奇跡のような夜。

 そしてそこには『誰も知らない、真夜中の天空の菜の花畑』がありました😊

香美市有瀬の星空と菜の花畑

2026年3月 香美市有瀬にて
『冬のダイヤモンドと天空の菜の花畑』

  春の菜の花と「冬のダイヤモンド」がシンクロする夜
春の訪れを告げる黄色い絨毯と、名残惜しそうに夜空で瞬く冬の星々。

 その二つを一枚のパノラマ写真に収めるため、私は高知県香美市有瀬へと車を走らせました。

 目指すは、知る人ぞ知る絶景スポット「天空の菜の花畑」です。

 現地に到着したのは、太陽が山の稜線に沈みかける午後18時前でした。

 香美市有瀬地区は、美しい石垣の段々畑が山の斜面に広がる山間集落です。
 
 地元の方が大切に育て上げた菜の花が満開を迎えるこの時期、斜面一面が鮮やかなイエローに染まり、まるで空に浮かぶ花畑のような壮大なスケールから「天空の菜の花畑」と呼ばれています。

 私が到着した頃、畑にはまだ夕日を浴びて黄金色に輝く菜の花を楽しそうに撮影する家族連れや、寄り添うカップルたちの姿がありました。

 子供たちの笑い声が響き、誰もが春の柔らかな陽気と美しい風景に酔いしれている、とても心温まる光景でした。

 しかし、私の本当の目的はこれから始まります。
太陽が沈み、彼らが家路につく頃、この場所はまったく別の顔を見せ始めるのです。

 辺りが暗闇に包まれるにつれ、山の冷気が容赦なく牙を剥き始めました。

 3月とはいえ、ここは標高のある山間部。
吹き抜ける強風が体温を急激に奪っていきます。

 帰路の国道の温度計が「2℃」を示していたことを考えると、吹きさらしの現地は間違いなく「0℃」付近、体感温度は氷点下だったでしょう。

 かじかむ手でカメラを三脚にセットしながら、「なぜこんな寒い思いをしてまで……」と一瞬頭をよぎりましたが
『これは試練だ!』と勝手に思いながら 誰もいない『天空の菜の花畑』で、見上げた夜空がその迷いを一瞬で吹き飛ばしてくれました。

 息を呑むほどの満天の星が、天空の菜の花畑の上空に広がっていたのです。

 今回の私のミッションのひとつは、この広大な菜の花畑と「冬のダイヤモンド」を一枚のパノラマ写真に収めることでした。
「冬のダイヤモンド(冬の大六角形)」とは、冬の夜空を彩る6つの1等星を結んでできる巨大な六角形のことです。

 おおいぬ座のシリウスを起点に、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、そしてオリオン座のリゲル。

 これら夜空のトップスターたちが手をつなぐように描く巨大な宝石は、通常のカメラの画角(レンズ)では到底収まりきらないほどの大きさです。

 だからこそ、パノラマ撮影の出番でした。
身を切るような寒風の中、慎重にカメラを振り、複数枚の写真を撮影していきます。

 手前には、暗闇の中で香美市(旧香北町)街灯りの影響で自然と浮かび上がる菜の花畑。

 そして見上げれば、冬の夜空の象徴である巨大なダイヤモンドが輝いている。

 さらに左手前では、まるで蓑(みの)をまとったような、モデル(案山子)さんが二人、私はひとりではなかったんです!

 私と一緒にこの絶景を見上げているかのようでした、とても物静かな、二人の乙女でしたが、この寒さのなか最後まで付き合ってくれました(笑)。

 完成した写真を見たとき、あの寒さもすべて報われた気がしました。

地上は生命力あふれる「春」、空は澄み切った「冬」。

 二つの季節がこの天空の菜の花畑で静かにシンクロした瞬間を、余すところなく切り取ることができたからです。

 ちなみにこの夜、私はもう一つの目的として、北極星を中心にした星の軌跡を追うタイムラプス動画も撮影していました。

 冷たい夜なので、バッテリーの持ちも悪く、枚数は思うように撮れなかったのが残念でしたが、カメラが捉え続けた星々の光跡は、また別の機会にお披露目できればと思います。

追伸
 この日の月の出は0時過ぎてからでした、私は22時過ぎに撤収をしました。

 物静かなな二人のモデルさんは、ずっといますというような表情でしたので 私はひとり天空の菜の花畑を後にしました、撤収する頃には風もやんだのですが寒さはあいかわらずでした。

今回もまた目には見えない何かの経験値がひとつ上がったような来ました😊

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#香美市
#てんくうのなのはなばたけ
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#ダークマターの土佐日記 

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桜の下のお遍路さん、ドイツ人女性

『一期一会の出会い~春遍路』  2026年3月

 高知県黒潮町には、ひと足早く春の喜びが満ちていました。
抜けるような青空の下、見事に咲き誇る濃いピンクの桜を見上げていると、微かに「チリン、チリン」と、金剛杖の鈴の音が風に乗って聴こえてきました。

 現れたのは、菅笠に白衣姿の一人のお遍路さん。
春とはいえ、ここ最近は冷たい風が吹く日もある四国路を歩き続けてきたであろうその姿には、凛とした美しさがありました。

「あ、お遍路さんだ」

 私はふと、この美しい桜を背景に彼女の姿を写真に収めたい衝動に駆られ、思い切って声をかけました。

「あの、すみません。お写真、一枚撮らせていただけませんか?」

 振り返った彼女は、彫りの深い顔立ちをした外国の女性でした。
(しまった、言葉が通じないかもしれない。英語?いや、私は英語なんて全く話せないぞ……)

 一瞬パニックになった私に向かって、彼女はふわりと微笑み
撮影させて頂きました😊

 彼女ははるばるドイツからやってきたこと。
日本語が通じたので良かったです😊
 言葉の壁、国境の壁。そんなものは、この四国路には存在しないのかもしれません。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、彼女は再び歩き出そうとしました。

 その時、私はハッと気づきました。何か彼女を応援できるものを渡したい。しかし手元には、たまたまカバンに入っていた「カロリーメイト」の箱が一つあるだけでした。

「あの……これ、たいした物じゃなくて申し訳ないんですが。道中のお供にしてください。『お接待』です」

 恥ずかしそうに差し出した私に、彼女は少し驚いたような顔をした後、満面の笑みを浮かべました。

 まるで宝石でも受け取るかのように両手でそれを受け取ると、彼女は自分のカバンをごそごそと探り、一枚の真っ白な「納札(おさめふだ)」を私に差し出しました。

 「道中、お気をつけて。無事の結願(けちがん)をお祈りしています」

 彼女は深く一礼し、再び黒潮町の道を西へと歩き始めました。
チリン、チリン……。

 手の中にある一枚の納札。
もう二度と会うことはないかもしれない、遠いドイツから来た名も知らぬ巡礼者(納札には書いてあったが😊)。

 しかし、この黒潮町の桜の下で交わした言葉と笑顔は、間違いなく私にとっての一生モノの「一期一会」となりました。

 遠い異国の空の下で、今日も彼女が元気で歩いていることを祈って。

この納札は、私の一番の宝物です。