Artist:
Album:
Bärlin
Track List:
01. Pristina
02. Sins
03. Lilian Marks
04. Sleepwalker
05. Morphine
06. City Of Quartz
07. Indigo Notes Of Love
08. Dreams
09. Two Sides Girl
Members:
Clément Barbier (Male Vocals, Basses)
Laurent Macaigne (Drums, Percussions)
Simon Thomy (Tenor Saxophone, Baritone Saxophone)
Guest Members:
Jonathan Testart (Cello)
Website:
フランス、リール出身、ロウ・ロック・バンドである、Bärlinが2012年にリリースした、1stフル・アルバムにあたる『Bärlin』。
ロウ・ロックというと、先駆者にあたる、アメリカ出身のMorphineが思い浮かべる音楽リスナーが一番多い事とは思います。
インディ・ロックとジャズの融合された音楽、要はジャズ・ロックなのですが、ベース、ドラム、パーカッション、バリトン・サクソフォーン、テナー・サクソフォーンなどといった生楽器を配した、華やかさとは一切無縁の、ダークな、それでいて艶やかなサウンド・スケープが、ロウ・ロックという音楽ジャンルの特徴の一つとして挙げられます。
しかし、男性ヴォーカリスト兼ベーシストとして在籍したMark Sandmanがこの世からご死去してしまい、Morphineというバンド自体も解散してしまい、結局のところ、一部のフォロワーを除き、ロウ・ロックという音楽ジャンルは、世間一般的には浸透する事はありませんでした。
ところが、ダーク・ミュージックの宝庫であるフランスという地にて、このBärlinというバンドのような若手のロウ・ロック・バンドが精力的に活動していらっしゃるという事実を知り、最初は驚きと喜びを隠す事が出来ませんでした。
因みに、現在では、Bandcampにて、ロウ・ロックというタグで検索を行うと、数多くの若手のバンドを発掘する事が出来ます。
その音楽性は、低音域から中音域にかけての妖艶な芳香を放つ男性ヴォーカルをフロントに、ベース、ドラム、パーカッション、バリトン・サクソフォーン、テナー・サクソフォーン、そしてゲストとして一部の楽曲にチェロなどといった生楽器を配した、何処までも深い混沌とした夜を思わせる、オーソドックスなロウ・ロックが、CDアルバムの全編に渡り展開されています。
Morphineと比較すると泥臭さは無く、フランス出身であるという事、そして若手のバンドであるコトが関係しているのか、洗練された、何処かお洒落なそのサウンド・スケープは、コアなロウ・ロッカーの間では賛否両論に分かれてしまうのかも知れません。
事実、Last.fmではリスナーの人数が56人と、たいへん不人気です。
あくまでも私個人としては、このBärlinというバンドの立派な個性であると思いました。
ロウ・ロック界に属するバンドは、その多くがギタリストが不在の状態であるが故に、良くも悪くもロックとしての重厚さを求めると少々肩透かしを喰らってしまうと思いますが、これ程までにクリアな、そして濃密な音質であれば、満足する事が出来ます。
若手のバンドならではの、現代的なプログラミングを最大限に駆使したそのサウンド・スケープは、Morphineが提示した夜の音楽の、更なる拡張解釈であると捉えても良いのかも知れません。
知的な、複雑な楽曲の構成力よりも、非常にストレートな表現力である事から、聴き手は思う存分に、退廃的な夜のムードに浸る事が出来ると思います。
男性ヴォーカリストとして在籍する、Clément Barbier による歌唱は、粗野の中にも大人の男性としての色気と繊細さの見え隠れするものであり、Mophineに男性ヴォーカリストとして在籍したMark Sandmanのようなカリスマ性はまだまだありませんが、十分に及第点です。
Morphine亡き今、このBärlinというバンドの出現は、たいへん嬉しく思いました。
全九曲四十三分と、楽曲の一つ一つが比較的コンパクトに纏められている事からも伺えるように、良い意味で敷居の高さを感じさせない、極上のロウ・ロック・アルバムへと仕上がっています。

