民主主義のコスト?企業献金と自民党の根深い関係 46年間の自民党への献金総額と企業一覧 | 渾沌から湧きあがるもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自民党への献金総額、46年間で1億円超248社

最多はMUFGの73億円

経団連首脳「そのとおりやってくれるかどうかをきちっと見る」

 

 

 

いくら大企業が儲かっても、非正規雇用の人の待遇は悪いまま。

法人税率は引き下げられているのに、消費税は増税される。

東日本大震災で過酷な原発事故を経験したのに、原発を新たにつくる。

化学物質による公害が起きても大企業は責任を取らない・・・。

 

日本では今、市井の人たちにとって理不尽な状況が多々まかり通っています。なぜでしょうか。

自民党は「裏金問題」で醜態を晒していますが、より根深いのは、自民党が権力を長年にわたり維持してきた構図です。大企業と業界団体から献金を受け、その意向を政治に反映させてきました。実際、政治資金規正法の改正では、企業・団体献金の禁止に手をつけませんでした。

 

今の政治は過去の政治の延長線上にあります。Tansaは、自民党への企業・団体献金を過去にさかのぼって検証することにしました。

 

検証にあたっては、国民政治協会の政治資金収支報告書記載の情報を収集し、データベース化しました。国民政治協会は、自民党への企業・団体献金を受け入れる政治資金団体です。

 

政治資金規正法では、政治資金収支報告書の保存期限は3年です。総務省は、保存期限を過ぎた国民政治協会の収支報告書は廃棄したといいます。政治資金の透明化を阻む法律と言わざるを得ません。

 

このためTansaは、官報から政治資金収支報告書のデータを入手しました。官報には1976年分から、報告書が掲載されていました。

 

記事は随時、掲載していきます。初回は、この約半世紀の献金総額が1億円を超える企業を明示するとともに、自民党と企業献金の歴史をたどります。

 

 

60以下の続きは上記サイトでご覧ください

 

 

 

◆「企業献金禁止」を掲げた三木首相(1974年)

 

企業献金を禁止しようとする動きは、かつて自民党でもあった。

 

1974年7月の参議院選挙で、自民党は与野党逆転の危機にあった。「企業ぐるみ選挙」を展開し、資金提供と選挙運動を大企業グループに担わせた。総理総裁は田中角栄氏である。

 

この選挙は「8億円使えば当選し7億円だと落選」という意味で、「8当7落」と表現された。世論から「金権政治」への批判が起こる。さらにジャーナリストの立花隆氏が文藝春秋で「田中金脈問題」を追及。この年の12月に田中首相は退陣した。

 

田中氏の退陣を受けて、首相に就任したのが三木武夫氏だ。

 

三木氏は1937年に30歳で衆院議員に初当選した。戦前は米国との戦争に突入していくことに公然と反対した。戦後は協同民主党という政党に参画。労働者や零細事業者、農民らによる協同組合を活用する政治を実現しようとした。自民党には1955年の結党時から参加した。

 

三木氏が1974年12月に首相に就く直前に掲げたのが、「企業献金の禁止」だった。翌1975年1月の国会での施政方針演説では次のように語っている。

 

「政治全体の信頼回復のために、今日の選挙のあり方、政治資金のあり方にもメスを入れようではありませんか。われわれとしても、これに必要な法案をこの国会に提出すべく準備を進めております」

 

しかし、三木首相はトーンダウンしていく。1975年の政治資金規正法改正案で企業献金が禁止されることはなかった。企業の規模に応じた献金限度額が設けられただけだった。

 

1976年には「ロッキード事件」が発覚する。米国・ロッキード社からの航空機の売り込みをめぐり、田中氏が5億円の賄賂を受け取ったことなどが裁かれた。三木首相は真相究明を掲げたが、自民党内から反発されて退陣を迫られる。「三木おろし」だ。結局、この年の選挙で自民党が大敗したことを機に、三木氏は首相の座から降りた。

 

 

 

*以下詳細はリンク先で

 

 

 

リクルート事件(1988年)、初の自民党下野(1993年)

 

経団連・土光会長、田中首相に献金斡旋取りやめを申し入れ(1974年)

 

経団連・平岩会長が「企業献金廃止」検討(1993年)

 

経団連・奥田会長就任で「政策評価」導入(2004年)

 

民主党政権誕生、経団連が献金呼びかけ中止(2010年)

 

安倍政権下、経団連の献金呼びかけ復活(2014年)

 

経団連・十倉会長、自民への献金は「社会貢献」(2023年)

 

 

 

 

 

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自民に毎年24億円献金

「何が問題なのか」と経団連・十倉雅和会長 「社会貢献の1つ」

 

 

 

経団連の十倉雅和会長は4日の会見で、自民党安倍派による政治資金パーティーでの裏金づくりの疑惑について「政治団体の責任者が処理についてしっかりと(事実関係の調査を)やるべきだ」と述べ、疑惑解明のために説明責任を果たすべきだとの考えを示した。

 

一方で、国からの政党交付金制度があるにもかかわらず経団連が毎年約24億円の政治献金を自民党側に続けていることについては「民主主義を維持していくにはコストがかかる。企業がそれを負担するのは社会貢献の1つだ」と説明した。

 

しかし、日本の政治献金は米国に比べて透明性が著しく低い。企業団体献金が税制優遇に結び付くなど政策をゆがめているとの指摘に対しては「世界各国で同様のことが行われている。何が問題なのか」と正当化した。

 

 

 

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自民党への政治献金は本当に「社会貢献」で「問題ない」のか 

経団連会長発言、実は全然唐突じゃなかった

 

 

 

経団連の十倉雅和会長は、自民党への政治献金について「企業がそれを負担するのは社会貢献だ」「何が問題なのか」と語った。社会貢献という言葉の使い方が根本的に間違っている上、そもそも企業団体献金を禁止する代わりに、毎年300億円以上の政党交付金が配られているはずでは。政策をカネで買うかのような財界・企業と政治献金の関係を見直すべき時が来ている。

 

十倉会長の発言が出たのは4日の記者会見。企業による政治献金の目的を問われた際に「民主主義の維持にはコストがかかる。政党に企業の寄付(献金)をすることは一種の社会貢献だ」と言ってのけた。

 

企業献金には、政策的な減税額が大きい業界ほど自民党への献金額が多い傾向があるなど、「政策を金で買う」との批判が付きまとう。しかし、十倉氏は「政策提言とか言っちゃいけないんですか? 希望とか要望とかどこの国でもやってる」と批判を一蹴した。

 

政策誘導の危険をはらむ献金が「社会貢献」という考え方は、およそ一般の市民感覚からは違和感しかないが、経団連にはそうではないらしい。20年も前から主張しているからだ。

 

その考えが初めて示されたのが、奥田碩(ひろし)会長時代の2003年5月。政党活動に要するコストの負担を社会貢献の柱の一つと位置付け、応分の支援を行うべき」との見解を出し、約10年前に廃止されていた企業献金を04年から再開する足掛かりとした。

 

なぜ社会貢献と言い出したのか。「政治献金」(岩波新書)を著した茨城大の古賀純一郎名誉教授(メディア論)は「当時、企業不祥事が頻発し、企業の社会的責任が問われていた。『政策をカネで買う』という評判を打ち消すために『社会貢献活動の一環』という意味合いを押し出した」と振り返り、こう続ける。

 

「本音としては早急に復活したかったのだろう。廃止直後は、自民党から全く相手にされず、経団連は相当焦っていた。自民党はカネでないとなかなか動かないから。別の経済団体幹部が当時、自民党の有力政治家から『カネを出してくれる方の言うことを聞く』と言われ、悔しがっていた」

 

以来、経団連は「社会貢献論」を繰り返す。09年の民主党政権の発足で一時中断した期間を経て、安倍政権下の14年に復活させた際も「企業の政治寄付は、社会貢献の一環」とした。その後も会員企業に献金を呼びかける文書には毎年「社会貢献」という主張が展開されている。

 

しかし、この主張はかねて批判されてきた。政治資金オンブズマンなどは04年1月、経団連が各政党の政策を評価して各社に献金を促す形で関与を再開した際に「対価を公然と要求する寄付は、『企業の社会的貢献』ではない」と指摘。「カネも口も出す」(当時の奥田会長)という姿勢に、「対価を求めないからこそ評価されてきた社会貢献の概念をはき違えたもので、その概念をおとしめる」と批判した。

 

経団連は長年、資金面で自民党を支えてきた。1950年代から、各社に献金額を割り当ててあっせん。自民党にはピーク時、年間約100億円もの金が集まった。これが金権政治の温床となり、国民の批判も受けて経団連は平岩外四会長時代の93年、あっせんを廃止した

 

企業・団体献金の廃止を前提に、国民負担による「政党交付金」が導入された。だが、前出のように2004年に献金は再開。廃止の約束は果たされないまま、今も交付金との「二重取り」が続いている。

 

政党交付金は過去10年、年間約315億〜320億円交付され、うち自民党は約150億〜175億円を得てきた。これで企業・団体献金、パーティー券収入も受けているのだから、二重取りとの批判は当然だ。

 

もっとも企業献金の禁止を強硬に言い続けてきたのは政党交付金を受け取っていない共産党。5日には、企業・団体の寄付と政治資金パーティー券の購入を全面的に禁止する政治資金規正法改正案を参院に提出した。共産ほどではないが、立民、維新、れいわも、企業・団体献金を禁止する方針を打ち出している。

 

ただ、政治ジャーナリストの泉宏氏は「政界はいまだカネが全てにおいて潤滑油だ。今回は自民党の派閥のパーティー券に照準が当たったが、政治資金を巡る問題のごくごく一部に過ぎない」と指摘、自民党が二重取り批判など気にもとめていない実態を明かす。

 

11月下旬に公表された2022年分の政治資金収支報告書でも、企業・団体献金の総額は24億4970万円で、このうち自民が9割超の22億7309万円を政治資金団体「国民政治協会」などで集めた。

 

「自民と財界はずっと表裏一体の関係。自民党の経理局長が大企業でつくる経団連を回るのが慣例。経理局長は1年で交代せず5年も6年も担う。長年培ったリストを手に必死に献金を集めていた」と泉氏。「ようやく検察のメスが入った。これまでは安倍・菅タッグの強権政治で抑え付けてきたが、岸田首相では抑えきれず、ある種のパンドラの箱が開けられた状態と言える」と話す。

 

一方、中央大の中北浩爾教授(政治学)は「実際、有権者への国会報告の送付など政治にはお金がかかる。政治資金を汚いと決め付ける議論は、民主主義を危うくする」と話す。自民党5派閥によるパーティー券問題は「これは完全なアウト。パーティー券のキックバック分の不記載は明確な法律違反で、何のための裏金か疑問でならない」とするも、「法律違反の部分と、企業・団体献金の是非などの議論は切り分けるべきだ」と語る。

 

とはいえ、やはり企業・団体献金に対する国民の目線は厳しい。駒沢大の山崎望教授(政治理論)は「企業献金はカネというツールを政治に持ち込み、自身の利益につなげる単なるビジネスの手法だ。大企業が政治をカネで買うことと同義で、大企業に有利な政策ばかり居並ぶことになりかねない」と指摘する。

 

例えば、今夏のマイナンバーカード問題を巡る騒動もそうだ。岸田政権が来秋の保険証廃止を掲げていることに対し、経済同友会の新浪剛史代表幹事が廃止時期を「納期」とし、「納期を守るのは日本の大変重要な文化だ」と語り、波紋を広げた。同友会は献金廃止の立場だが、新浪氏率いるサントリーは自民に献金をしている。山崎氏は「多額の献金をしているために、政策を買って発注したという目線とも取れる」とし、「極論ではあるが、寄付や献金などの政治資金はこの際、全てなくすべきだ。本当に応援したい政党があれば政治資金ではなく、声を上げて正々堂々と選挙活動をすればいい」と続ける。

 

自民党と財界が一体化し、市民の声が反映されない構造は変わらないのか。

 

思想家で神戸女学院大の内田樹名誉教授は「対米自立という国家戦略を放棄した自民党は、今や対米従属による権力維持以外に目的を持たないただの利権集団になった」と指摘。一連の派閥のパーティー券の問題も「利権を求めて議員になった者にとっては当たり前の収益事業だ」と一蹴する。「長年続いた財界との癒着を断ち切るだけの自浄力が自民にない以上、制度の根本的改革には政権交代しかない。このまま米の属国でいるのか、再び対米自立をめざすのか、有権者も問われている」

 

 

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