会社でコロナに感染したら、損害賠償を請求できる? | 渾沌から湧きあがるもの

 

 

 

会社でコロナに感染したら損害賠償を請求できる?

厚労省は労災保険を適用へ

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200415-00173431/

 

 

現在、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEや連携団体である総合サポートユニオンへは、いわゆる「3密」状態の下で働くなど、職場で新型コロナウイルスへの感染防止対策がなされていないことに関連する労働相談が増加している。

 

「3密」とは、密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、密集場所(多くの人が密集してい)、密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)のことだ。

 

このような感染リスクの高い環境で働いたり通勤をしたりすることによって、実際に新型コロナウイルスに感染してしまった場合、労働災害には当たるのだろうか。

また、感染防止対策を取っていなかった会社に対して、損害賠償請求はできるのだろうか。

 

新型コロナウイルスと労災の関係を考える上での一例として、韓国ではソウル市のコールセンターで働く労働者が、新型コロナウイルス発症と業務との因果関係が認められ初の労災認定がなされている。

 

同国の担当機関は、「人が密集する空間で勤務する業務の特性上、反復的に飛沫など感染の危険にさらされていたため、業務と感染との間に相当の因果関係があると判断した」と説明している。

 

日本でも、上記のような密集空間で反復的に飛沫感染のリスクを抱えて労働をしてる労働者は少なくない。コールセンターや学校、保育園などでは、労働者が「3密」の状況で働き、高い感染リスクに晒されている。

 

今回の記事では、そのような感染リスクが高い状況で働いている労働者の実態や厚労省の労災認定への見解などを踏まえつつ、業務が原因で新型コロナウイルスに感染してしまった労働者が救済される方法を紹介していきたい。

 

 

 

◆感染リスクに晒される相談事例

 

NPO法人POSSEや総合サポートユニオンへ寄せられている感染リスクが高いままに労働を強いられているという相談事例は以下のようなものだ。

在宅勤務等を求めても認められず、感染リスクに晒されて出勤を強いられている実態がわかる。

 

 

(1)アルバイト、コールセンター

職場にアルコール消毒液がない、マスクをしていない人がいる、「3密」が揃っている。

感染する不安を感じて、毎日仕事をしている。テレワークをしたいと伝えると、「給料

が下がるよ。連携が取りづらいし、サボってしまう人も出る可能性があるから」と断ら

れた。

 

(2)個人事業主、コールセンター

職場が密閉された空間で、従業員同士の距離も近く、「3密」状態で働いている。

同じ部署の正社員は全員、在宅勤務になっているが、フリーランスには認められない。

職場で陽性患者が出て、消毒はされたが働き続けている。

 

(3)契約社員、自治体相談員

往復3時間の通勤で、感染リスクが高い。プライバシーの問題もあり3密状態になること

が多い。在宅勤務を求めたが認められなかった

 

(4)正社員、営業職

同じ部内でコロナ感染者と思われる社員がいるにも関わらず、出勤を強要されている。

ノートパソコンが7割普及し、在宅勤務可能なのだが、長期で在宅にさせてくれない。

週2日は出勤しなければいけない。どうしても休む場合は有休を消化しなければならず、

特別有休はない。密室での会議・打ち合わせが多く、満員電車での通勤にも、日々恐

怖を感じている。会社は「ロックダウンしない限り出社するように」と言っている

 

 

 

◆新型コロナウイルスに関する労災の認定基準とは?

 

では、労働者が業務や通勤に関連し新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険の給付対象になるかどうか、厚労省は現時点でどのように考えているのだろうか。

 

厚労省が出している「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」を見ると、以下の

記述がある。

 

 

(問)労働者が新型コロナウイルス感染症を発症した場合、労災保険給付の対象となりますか。

 

(答)業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、労災保険給付の対

象となります。詳しくは、事業場を管轄する労働基準監督署にご相談ください。

*太字は引用者

 

 

まず、厚労省は、業務又は通勤に起因して新型コロナウイルスを発症した場合に労災保険の給付対象となること自体は認めている。

しかし、上記の記述では抽象的すぎて判断基準がわかりづらい。

 

そこで、具体的な判断基準やその実務について、もう少し突っ込んで示しているものが、今年2月3日に、厚生労働省の労働基準局補償課長から、労働行政の実務現場を担う都道府県労働局労

働基準部労災補償課長へ出された内部通達だ。

 

この資料は、社民党の福島瑞穂議員が厚労省に開示させた資料(参考:関西労働安全センター、「基補発 0203 第1号 新型コロナウイルス感染症に係る労災補償業務の留意点について」)であり、すでに労働弁護士など専門家の間では広く参照されている。

 

同資料では、ウイルス一般でも労働災害が認められることを指摘したうえで、労働行政の窓口に、新型コロナウイルスに感染したケースの場合にも、業種や業務に予断を持たずに適切に制度について説明するように求めている。

 

そのうえで、より具体的には「(別紙)新型コロナウイルス感染症に係る労災補償の取扱いについて Q&A 」で、窓口で説明すべき内容の詳細を示している。

 

 

(問)海外出張中において、新型コロナウイルス感染症を発症した場合、労災保険給付の対象と

なるか。

 

(答)海外出張中に感染症にり患した場合は、出張行程全般にわたり事業主の支配下にあり、業

務遂行性があることも勘案し、個別の事案ごとに感染経路、 業務との関連性等の実情を踏まえ、

業務に起因して発症したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となる。

 

【業務上と考えられる例】

新型コロナウイルス感染症が流行している地域(武漢)に出張し、商談等の業務で新型コロナウイ

ルスの感染者等と接触、業務以外(私的行為中など)に感染源や感染機会がなく、帰国後発症

 

【業務外と考えられる例】

私的な目的で新型コロナウイルス感染症が流行している地域(武漢)に 渡航滞在した場合や、私

的行為中に感染者等と接触し感染したことが明らかな場合で、帰国後発症

 

 

 

これは非常にわかりやすい説明である。

労働災害の判断においては、「業務遂行性」と「業務起因性」が判断の基準となるが、出張中の業務で感染者に接触しており、それ以外に感染の疑いがない場合には、業務起因性が認められ、「業務上災害」と判断されるというわけだ。

 

 

 

次に、国内のより一般的ケースについても次のように示されている。

こちらの判断基準が特に重要だ。

 

(問) 国内において、新型コロナウイルス感染症を発症した場合、労災保険給付の対象となる場合があるのか。

 

(答) 国内において、新型コロナウイルス感染症を発症した場合についても、業務又は通勤における感染機会や感染経路が明確に特定され、感染から発症までの潜伏期間や症状等に医学的な矛盾がなく、業務以外の感染源や感染機会が認められない場合に該当するか否か等について、個別の事案ごとに業務の 実情を調査の上、業務又は通勤に起因して発症したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となる。

 

【業務上と考えられる例】

接客などの対人業務において、新型コロナウイルスの感染者等と濃厚接触し、業務以外に感染者

等との接触や感染機会が認められず発症

 

【業務外と考えられる例】

業務以外の私的行為中(流行地域(武漢)に最近渡航歴がある場合も含む)に感染者と接触したこと

が明らかで、業務では感染者等との接触や感染機会が認められず発症

 

 

国内の場合にも、業務に関連して感染している可能性が明瞭であること、そして、「業務以外の私的行為」で感染機会が認められないことが要件となってくる。「業務外と考えられる例」には、武漢への渡航が挙げられているが、感染が広がった現在では、感染者が発見された飲食店への入店歴なども、「業務外」とされる要因になってくるだろう。

 

 

 

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https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200415-00173431/

 

 

 

 

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コロナにおびえて出勤「いっそ閉めてほしい…」

もし感染したら労災になる?

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/bengoshi/life/bengoshi-topics-11091

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務が広がっています。一方、医療系やインフラ、小売

店など在宅勤務ができない職種の人は、感染リスクに怯えながら働いています。

 

ツイッターでは、仕事に出ざるを得ない人から「感染リスクがある中で出勤したくない」、「いつ感染するか分からない恐怖と戦って疲れて来ました」と休業を求める声が複数みられます。

会社や店に対して「いっそ閉めてほしい」と一時休業を求める声もありました。

 

仕事により新型コロナウイルスに感染した場合、労災の給付は受けられるのでしょうか。

労働問題に詳しい太田伸二弁護士に聞きました。

 

 

◆新型コロナ、労災認められる可能性は?

 

ーーどのような場合に、労災の給付が受けられるのでしょうか

 

労災保険の給付が受けられるのは「業務災害」と「通勤災害」に当たる場合です。

このうち、「業務災害」は「業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」とされています(労災保険法7条1項1号)。そして、「業務上」に当たるといえるのは、ケガや病気が業務によって発生した場合(業務起因性がある場合)です。

 

一方、「通勤災害」に当たるのは「通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」です(労災保険法7条1項2号)。「通勤による」といえるのは、ケガや病気が通勤に通常伴う危険が発生したといえる場合(通勤起因性がある場合)です。

 

 

ーー新型コロナウイルスに感染したことが業務や通勤によるものかは、どう判断されるのでしょうか

 

厚労省は「新型コロナウイルス感染症に係る労災補償業務の留意点について」という通知を出し

ました。

 

ここでは、 

(1)業務または通勤における感染機会や感染経路が明確に特定されているか、 

(2)感染から発症までの潜伏期間や症状などに医学的な矛盾がないか、

(3)業務以外の感染源や感染機会が認められない場合に該当するか否か、 

などについて、個別の事案ごとに業務の実情を調査した上で、業務または通勤に起因して発症し

たものと認められる場合には、労災保険給付の対象となるとしています。

 

このような3つの観点から考えるのだとすると、いわゆるクラスターが発生した状況で勤務していた場合など、感染経路が特定されたケースでは労災と認定されそうです。

 

ただ、病気が業務によるものかどうかは相当因果関係があるかどうかの問題です。

そして、相当因果関係があるというためには、100%明確であることまでは要求されておらず「高度の蓋然性」(≒高い可能性)があれば良いと考えられています。

そうだとすると、感染経路が完全に特定されなくとも、人と接する機会の多い業務に従事し、業務以外では外出を控えていたような事例では、業務によって感染した高度の蓋然性が認められる場合もあるのではないかと考えます。

 

なお、医師や看護師などは診察や看護の機会にウイルスに接することが多いため、感染した場合

に業務起因性が推定されることになっています。

 

 

 

◆今できることは「業務に関する記録を残す」

 

ーー今仕事に出ざるを得ない人からは、感染リスクに怯える声も出ています。万が一の労災申請

に備えてできることはありますか

 

緊急事態宣言が出ていても、業務に出ざるを得ない方が新型コロナウイルスに感染してしまう可

能性を考えて備えておくこととしては、業務に関する記録を残すことが考えられます。

例えば、

・どこで、誰と、どのような仕事をしたのか(特に、社外の人間と面談する場合)
・通勤の手段・経路(どの電車のどこに乗っていたのかなど)
・業務以外のプライベートでは、どんな過ごし方をしていたのか(いつ、どんな用件で、どこに出か

けたのか)
・仮に発熱等の症状が出た場合、いつからどんな症状が出たのか

などを記録することが考えられます。

 

 

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https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/bengoshi/life/bengoshi-topics-11091

 

 

 

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