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「要介護1と2」の人たちへの在宅介護サービスを
国の介護保険から総合事業(市区町村の地域支援事業)に
移さないでください!
次期介護保険制度についての要望書
私たちは、地域で介護を必要とする高齢者を支える団体・個人と介護家族、住民、介護・医療にかかわる専門職です。
現在、社会保障審議会では、来年の通常国会への介護保険法改正案の提出を予定し、制度の見直
しが検討されています。
社会保障審議会のテーマには「給付と負担」があり、それが介護保険サービスの低下と負担の増加につながるのではないかと、懸念しています。
「給付と負担」のなかでも、とくに気になるのが「軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方」というテーマです。
ここで「軽度者」と呼ばれているのは、「要介護1と2」の認定を受けた人たちです。
「生活援助サービス等」はホームヘルプ・サービスの「生活援助」だけでなく、他の在宅サービスとも大きくかかわっています。
国が新たに「軽度者」と位置づけようとしている「要介護1・要介護2」の人は、専門性を持った介護者による生活支援を含めた適切なケアが提供されることで「いまの状態を維持できている人たち」です。中重度化しないために、介護サービスがもっとも必要な段階の人たちでもあります。
介護保険は「地域包括ケアシステム」を掲げ、「住み慣れた地域で最後まで」と呼びかけています。介護保険サービスが必要と認定された人の多くは、自宅のほか、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどの「高齢者向け住まい」で、ホームヘルプ・サービスに代表される在宅サービスを利用ながら暮らしています。ひとり暮らしや高齢夫婦世帯が多い認定者にとって、介護保険による暮らしの支援はなくてはならないものです。
ホームヘルプ・サービスの「生活援助」がこれまで以上に減らされた場合、介護生活の質が下がるだけでなく、家族など介護者への負担が増え、高齢者虐待や介護離職を加速される危険性が高くなります。
私たちは、高齢になっても介護保険が必要になっても、安心して暮らすことができるよう、介護保険の在宅サービスがこれ以上後退しないよう、次のように要望します。
◆要望
「要介護1と2」の人たちへの在宅介護サービス(給付)を、国の介護保険から総合事業(市区町村の地域支援事業)に移さないでください!
現在、社会保障審議会では、「要介護1と2」の認定を受けた人たちを「軽度者」と呼び、「生活援助サービス等」を見直すことが検討されています。今年6月、政府が発表した『骨太の方針2019』では、「新経済・財政再生計画の着実な推進」を掲げています。
「新経済・財政再生計画」は経済財政諮問会議がまとめたプランで、「軽度者に対する生活援助サービスやその他の給付について、地域支援事業への移行を含めた方策」を検討することを「関係審議会」に求めています。
社会保障審議会では検討中ですが、財政制度等審議会では、すでに「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行」を打ち出しています。
総合事業は基盤がぜい弱です。
介護保険のサービスを利用するには認定を受ける必要があります。
現在、656万人が認定を受けていますが、「軽度者」とされる「要介護1と2」の人はその約4割の245万人を占めています。そのため、今回の見直しの方向性は介護が必要な人たちと介護する家族に対して大きな影響を与えることになります。
すでに、要支援認定(要支援1と2)の人へのホームヘルプ・サービスとデイサービスは、給付費削減を目的に介護保険の給付からはずされ、市区町村の総合事業(地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業)に移されました。
総合事業は市区町村が運営する事業ですが、これまで介護保険サービスを提供してきた指定事業者が、そのまま委託事業を担当しているケースがほとんどです。
しかし、委託事業では採算があわないため、指定事業者の撤退が続き、事業者や介護職員の疲弊を招いています。
今後の対応策としては、短時間研修で養成された生活援助ヘルパーや有償ボランティアなどが担当する、安価な「多様なサービス」に移行することが期待されていますが、全国の市区町村の約7割は、その「多様なサービス」をつくることができない状態にあります。
こうした状況のなかでは、「要介護1と2」の人たちへのサービスを総合事業に移そうとしても、市区町村には支える基盤がありません。
「要介護1と2」の認定を受けた人は、専門職による支援の必要な方たちです。
「軽度者」と呼ばれることになった「要介護1と2」の人たちは、要支援認定よりも介護の必要性が高い人たちです。とくに、要介護状態になる原因のトップである「認知症」の人は「要介護1・2」の段階で介護を困難にする行動(見当識障害による迷子、妄想や体調悪化による暴言・暴力など)が頻繁に起こりがちで、とりわけ、ひとり暮らしや高齢夫婦世帯での在宅での介護が突然に困難になる時期です。
さらに認定を受けた人は、年齢的にも若年性認知症の40歳から100歳代までの幅があり、さまざまな個別事情を抱えています。認知症状が重症化しないためには「要介護1・要介護2」の段階での、専門職による適切なサポート(生活支援)が必要です。
「要介護1と2」の人たちは、本人の体調や心の状態を理解し、尊厳を守りながら生きる意欲を維持・向上させるために、ホームヘルパーなど専門職による生活支援を必要としています。
私たちは決して安くはない介護保険料を毎月払っています。
また、自己負担割合が1割だけではなく、2~3割の人もいます。
しかし、介護保険料を払っていても、いざ必要な時にサービスが使えないのでは、介護保険制度への信頼は失われ、「介護の社会化」はさらに後退します。家族介護が再び強いられる社会になれば、高齢者虐待や介護殺人のリスクが増え、働く介護者ばかりか、疲弊した介護専門職の介護現場からの離職もこれまで以上に増えていくでしょう。
私たちは、手助けが必要な高齢者の支援を地域で担っています。
しかし、このままでは介護難民がまちにあふれるのは目に見えています。
そんな日本にならないよう、必要なときに安心して利用できる介護保険制度を求めます。
【呼びかけ人・団体】順不同
ケアコミュニティ せたカフェ(共同代表:中澤まゆみ、磯崎寿之)
市民活動団体ZUTTO-KOKO(代表:岩瀬はるみ)
三鷹介護保険を考える会(代表:成清一夫)
NPO法人三方よし研究会(代表:小串輝夫)
デイサービスすまいるほーむ(管理者:六車由実)
ユニットケアサービス(代表:村松誠)
介護サービスひとつ(代表・石原実)
ケアラーネットみちくさ(理事長:布川佐登美)
ケアラーズカフェCoもれび(代表:上野美知子)
あみけるひろば横浜(代表:杉本智穂)
若年性認知症家族の会「じゅりの会」(事務局長:浜井秀子)
NPO法人グレースケア機構(代表:柳本文貴)
袖ケ浦市認知症家族の会、のぞみの(代表:高安修蔵)
共に介護を学びあい・励まし合いネットワーク(代表:藤原るか)
若年性認知症カフェ caféマリエ(代表:中島珠子)
NPO法人 里・つむぎ八幡平(理事長: 高橋和人)
認知症わかりあいの会 和みかふぇ(代表:前澤弘子)
介護サービスひとつ(代表:石原実)
特定NPO町田市つながりの開( 理事長:前田隆行)
めぐろまちづくり交流会町会自治会分科会(座長:星埜俊昭)
みんなの保健室わじま(代表:中村悦子)
定年女子トーク実行委員会(副代表:勝木雪子)
特定NPO法人マイWay (代表:渡辺典子 )
株式会社ワーク&ケアバランス研究所( 代表取締役:和氣美枝)
こみゅけあnet( 代表:今成崇司)
わこう井戸端介護所(代表 :小林勝美)
NPO法人播磨オレンジパートナー(代表、丸尾とし子)
NPO法人ホームホスピス秋田(副理事長:中村順子)
市民と介護を考えるカフェ「オリーブの木」(代表: 脇濱由佳)
NPO法人ヒューマンシップコミュニティ(代表理事: 佐野幸子)
一般社団法人ハッピーネット(代表理事:堀容子)
せんカフェ実行委員会(共同代表:荒井裕江、大友浩平)
合同会社 鐵社会福祉事務所 (代表社員:鐵 宏之)
株式会社 隣家デイサービス隣家(代表取締役:西野 裕哉)
NPO法人ワーカーズえん千歳台(理事長:田名夢子)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ」(主宰:小竹雅子」
浅川澄一(福祉ジャーナリスト)
高室成幸(ケアタウン研究所代表)
南澤かおり(作業療法士、子ども食堂運営者)
早川景子(編集者・ライター)
小瀬有明子(市民)
宮下今日子(介護福祉士)
宮子あずさ(看護師)
北川郁子(編集者)
島木愛(社会福祉士)
小島操(主任介護支援専門員)
酒井大輔(介護福祉士)
松瀬啓祐(市民)
松本礼子(町田女子会世話人)
中山みずほ(市民)
野田真智子(Better Care編集人)
島村八重子(全国マイケアプランネットワーク代表)
服部満生子(みんなの保健室 陽だまりin 草加 代表)
上野千鶴子(認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長)
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