蓮田でクロハラアジサシに出逢った日は曇っていました。

 

それ故飛んでいるところを撮影しても、白抜けの暗い写真ばかりになるので、カエルを咥えて食べる瞬間とか2羽を同じ画角に入れて、それぞれ個体の意思を感じさせる構図を狙うことになります。

 

色つきの画を撮ろうとすると、「沼アジサシ」の名のとおり、彼らが狩りを行う淡水に生えるハスの葉を画角に入れると、目に優しい緑が映える写真となります。

 

と言っても今ほとんどの蓮田では、びっしりとハスが人の背の高さまで育っていて、そんな所では獲物が見えないので、彼らは苗を植え付けて間もない水面の露出面積が広い場所を狩場にします。

 

狩りのシーンを間近で観察しようとすると、車を隠れ場所にして車窓からということになりますが、蓮田の道路は狭隘で、長時間駐車すると農家の方の迷惑になるので、クルマを広い場所に停めた後、車から降りてその近くから撮影することになります。

 

椅子に座っていても、人間がいる近くに彼らは飛んで来ませんから、狩りをしている現場の撮影は無理な話、遠くを飛んでいるのをハスの葉と一緒に、運がよければ獲物を咥えているのが撮れるといった塩梅でしょうか。

 

そんな風に百㍍超離れたところから、一生懸命飛ぶ彼らを捕えた写真を載せてみたいと思います。

 

クロハラアジサシの狩場

 

むこう左端に見えているのは岩国基地の管制塔、クロハラアジサシは200m離れた道路に停まっている緑色の重機のすぐ上を飛んでいますが、500mmではやはり小さすぎでしょうか。ちなみに高いところをホイストに荷をぶら下げて飛んでいるのは海自の輸送ヘリCH-101で、南極観測隊に物資を運ぶための専用機、今現在は南極を目指して南進している観測船「しらせ」の艦上にいます。

 


ほとんど単独で狩りをする彼らですが、ときには2羽が同一の画角に入って狩りをしているシーンが撮れることもあります。

 


比較的近くで狩りに成功したシーンが撮れました。

 

小さなカエルを捕まえた直後で、獲物から雫が垂れているのが見えています。

 

もう一つ、興味深い生態写真が一連写中にあったので載せてみます。

 

海岸で魚を捕えるユリカモメは足に水かきがついているので、獲物を足指で掴むことが出来ません。それ故魚を捕まえると嘴に咥えて運ぶことになるのですが、獲物がフグだと身体を膨らませて逃げようとします。そうして獲物を落としてしまうことがあり、驚いて『しまった!』と目が口ほどにものを言っている写真が撮れたりします。

 

クロハラアジサシの獲物は、ほとんどが蓮田に棲んでいるカエルでしたが、カエルも食べられたくないので暴れたのでしょう。咥えていたカエルを思わず嘴から放してしまい、慌てて回収しに行く様子が写っておりました。

 

 

 

 

狙って撮れるものではなく、偶然の産物に過ぎませんが、撮れて嬉しい写真です。

 

これからもなるたけ自然に圧をかけず、ドラマ性のある写真に挑戦していきたいと思うところです。