コロナ禍の中、人ごみを嫌って始めたバードウォッチングですが、動きのある被写体を止めて撮るのが楽しくて思わず知らずハマってしまい、そのせいで視野が狭まってきたのでは?と感じる今日このごろです。

 

以前は花ばかり撮りに行っていた芸北八幡でも、今はクマタカが飛んでいないか、鳥の鳴き声は聞こえてこないかなどと耳をそばだて、視線は目線より上を泳がせるばかりです。

 

足下に咲いている花や周囲を飛んでいる蝶には目もくれず、ひたすら鳥!鳥!鳥!ばかりというのにもちょっと飽きて来たかもしれません。

 

お天気のよかった土曜日と日曜日、二日続きで芸北を巡ってみましたが、夏鳥たちはペアリングが済んですでに抱卵しているようでレンズを向ける気にならず、目線を変え周囲や足下をぐるりと眺めてみました。

 


荒れ放題の白樺林

ここの白樺は冬場の雪が積もっているときに林の中に入って撮影していたものですが、もう何年もレンズを向けたことがありませんでした。晩春のこの時期は下草は伸び放題で、マダニが怖くてとてもではありませんが、中に踏み込んでいく勇気はありません。

 

路傍に咲くミヤコワスレ

キバシリやゴジュウカラが出る林のすぐ下、道路沿いにひっそりと咲いています。

鳥屋が何人かいてもみんな上を向いてキョロキョロするばかり、『花ですか?』と問われ『ハイ!』と応えました。

 

ミヤコワスレの近くに停まっていたヤマキマダラヒカゲ

昔同じ八幡でも尾崎沼や長者原の湿原でトキソウやサギソウの写真を撮っていたころは、周囲をこの蝶が無数に飛び回っていて、ときどきは写真に収めておりました。この前ヤマキマダラヒカゲにレンズを向けたのはいつだったか思い出せず、いかに鳥に専心していたかを思い知るところで、反省しきりということです。

 


牧野富太郎さん縁のカキツバタ

県指定の天然記念物だった当地のカキツバタ野生地は、水田開発のために川床を掘ったことなどにより地下水位が下がって消失してしまいました。写真は後年休耕田を利用して作られたカキツバタ園で撮影しました。

 

昔の光?の黄菖蒲

少し前までは杉林に囲まれた溜め池、この時期にはサンコウチョウが周辺を飛び回り、かつてはヤイロチョウが滞在するユートピアのようなところでしたが、ウッドショックで杉は皆伐され、ヤイロチョウのいた谷は埋められてキャンプ場になりました。農業用のこのため池だけ昔のままですが、以前ここで見かけたカワセミ、ブッポウソウ、イカル、サンコウチョウほか各種ツバメの水飲みはまったく見られなくなり、ただしーんと静寂のみが広がる廃墟にいるようで、どこにでもある自然の破壊地のひとつです。