わたしのからだを見てごらん
みにくく片がわが焼かれてしまったけれど
それでも青々と葉がしげり
秋になると、数千の実をつけて
人間たちが忘れてしまっても
忘れてはいけない、忘れてはいけない
声にならない声で伝えているんだよ
ことし1月にNHK広島が放映したコネクト「被爆樹木と生きる Autumn & Winter」のエンディングで、広島市内に残る被爆樹木のすべてを管理している樹木医の方が朗読された紙芝居の一節です。
この番組、坂本龍一さんの『Aqua』がバックグラウンドに使用されているだけでも涙ものですが、これまでawakinが大して意識していなかった被爆樹木について、深く考えさせてくれるよい番組でありました。
たとえば広島城址、これまで年に一二度訪ねはしてもそのたび鳥を追うばかりで、周りの風景は何ひとつ目に入っておりませんでしたが、城内にユーカリ、クロガネモチなど数本の被爆した樹木が生き残っていることを番組で知りました。
それとほとんどの被ばく樹木は、原爆の熱線と爆風を浴びた側が、焼かれてしまって傷んでしまい、反対側より生長の速度が遅くなったために爆心地に向けて傾いて立っていることも紹介されました。
身をもって原爆の被害を受けたことを証言しているわけで、そのことを知らなかった自分は恥ずべきことであったと感じ、先日爆心地近くに残る一本の被爆樹木を訪ねてまいりました。
本川河畔のシダレヤナギ
むこうに見えているのは米軍が原爆の投下目標に利用した相生橋で、この柳の木は爆心地からわずか370mのところで被ばくしました。
「コネクト」でも紹介され、樹木医の方が幹を叩いたときに出る音を聞き、中に空洞がかなり広がっていて『たいへん老木に近づいている。』と紹介された樹木です。
こちらは昔、柳のすぐ近くにあった広島市民球場の2階にあったレストランに通じる階段の壁に掲げてあった写真です。
右端に相生橋と原爆ドームが見えており、左端に昭和31年完成の広島県庁舎と真ん中少し右に昭和28年に完成した円形の広島市児童図書館が見えるので、原爆投下後10年ほどが経過した爆心地周辺ということになります。
現代と比較したら面白いのではないかと思い、グーグルアースを利用して画像を作りお借りしてみました。
多くのビルが広島の市街地を埋め尽くし、柳の木とくらべると格段に大きい原爆ドームでさえ建物の陰に隠れて先っぽのドーム部分しか見えておらず、目を凝らして探さないとわからないようになっています。
被ばくしたシダレヤナギは相生橋の左手にある白い建物(広島市青少年センター)のそばに立っているのですが小さすぎてまったく見えません。でもその存在意義はずっと大きくて世界遺産になっている原爆ドームに比しても決して劣らないと思うところです。
今現在130本が残っている被爆樹木について深く洞察する機会を与えてくれたNHK広島のコネクト「被爆樹木と生きる Autumn & Winter」ですが、明後日日曜日の朝8時25分からのDearにっぽんで、「被爆樹木と生きる」として放映されるようです。
放映時間はコネクトと同じ25分間で、広島のものを再放映するだけだとは思いますが、今度は全国放送なので多少は編集が為されているかもしれず、観るのを楽しみにしているところです。