もうだいぶ前のことですが、岩国の蓮田で2羽のダイサギが縄張り争いをしているのを観察したことがあります。

 

2羽の成鳥が何でもない水が張られた田んぼでしたが、彼らにとっては良い餌場だったのでしょう、闘いは生死を賭けているように見えるほど激しく、片方の頭部が水の中に沈んでいるのをもう一方が足で抑え込んだりして、真面目に命を奪おうとしているように見えました。

 

その岩国の蓮田、左の膝を痛めている身にはやさしい平坦な道路が縦横に伸びていて、電線の見えない広々とした空が楽しめるので、最近はリハビリがてらよく歩きに行っています。

 

先日のこと、堤防にクルマを置きカメラを手に海を見ながら歩いていると、海とは反対側の潮廻しに2羽のヘラサギと1羽のクロツラヘラサギが休んでいます。ヘラサギは成鳥と幼鳥が1羽ずつ、クロツラヘラサギは幼鳥で、ヘラサギは水の中、クロツラヘラサギは少し離れたところにあるわずかな陸地に足をついて寝ていました。
 

しばらくするとヘラサギの幼鳥が目を覚まし、ふわっと舞い上がってクロツラヘラサギが寝ているすぐそばに着地しました。どうするかと観察しているとやはり場所とり、クロツラヘラサギのすぐそばに寄って来てひとしきり羽ばたきしますが埒があかないとわかると…。

 

体当たりしました。

 

クロツラヘラサギの迷惑そうな顔が何とも言えません。

 

しばらくの間おしくらまんじゅうしておりましたが、とうとうクロツラヘラサギが押し出され、ヘラサギが狭い陸地を占拠してしまいました。

 

このまま争いは終わってしまうのかと思いましたが、そうではありませんでした。

 


怒ったクロツラヘラサギは猛然と突っかかっていき、何とヘラサギの両足に噛みつきました。

 

これにはヘラサギもたまらず、逃げるしかありません。

 

這う這うの体で逃げ去ったヘラサギの幼鳥は、元々いたヘラサギ成鳥が寝ているすぐ近くに舞い降りると、何事もなかったようにまた眠りについたという顛末です。