記憶というのは不確かなもので、長い間思い出しもせずに忘れていたことがある日突然何かのひょうしに頭の中に浮かび上がってくることがあります。

 

それは当然と言えば当然の話で、誰かに騙されたり苛められたこと、あるいは怒られたり喧嘩したことなど、つまらんことの全部をいつまでも克明に憶えているようだと、すぐに精神が詰んでしまって生きていられなくなるでしょう。

 

昔誰かが『人間は考える葦である』と言ったそうですが、人間は忘れる葦でもあるわけで、それは人間が生きていくための必然なのかもしれません。

 

そんな忘れていたことを思い出すのは、昔撮った写真を眺めているときに多くあり、写真には記憶が封じ込められていると言い換えてもよいでしょうか。

 

最近は気温が日中高すぎてほとんど外に出ず、涼しい自宅で昔の写真を整理したりしているので、必然忘れていたことを思い出す機会が多く、きょうはそんな忘れていた風景の中から「駅が見える風景」を抜き出してみました。

 


①JR可部線・三滝駅(撮影日:2010.1.24)

②広電・広島駅(撮影日:2011.8.10)

③旧JR可部線・飯室駅跡(撮影日:2012.6.2)

④広電・旧廿日市駅(撮影日:2012.11.23)

⑤JR可部線・可部駅(撮影日:2013.1.5)


⑥JR海田市駅(撮影日:2015.3.1)

 

桜とか紅葉など風景ばかり撮っていたころの写真で、撮影行や通勤の途中に立ち止まって撮ったものです。たかだか10年あまりしか経っていないのに、どの写真も時の流れを感じさせてくれるものばかりで驚いてしまいます。

 

①三滝駅に停車している上下の車両は国鉄105系電車広島色、今は亡き車両で2012年11月放映の「こころ旅」で火野正平さんが広島駅から上八木駅まで乗車し、車内でナンパしていたシーンが思い出されます。

②は同僚との飲み会で利用したアッセ内の居酒屋からの眺め、アッセはすでに亡く、広電ももうすぐ路線が変わって新しい駅ビルに乗り入れますし、対岸のパチンコ屋や銀行があるブロックも再開発で今は52階建てのビルが建っています。

③廃線後唯一木造駅舎が遺され周辺施設も手つかずで放置されていた頃の写真です。今はホーム等は大部分壊され、駅舎は改装されて当時の雰囲気は微塵もありません。

④⑤広電廿日市駅は新駅が別の場所に出来て今は亡く、JR可部線はこの後2駅ほど延伸されたこともあり、駅舎や駅周辺は新しくなって昔の雰囲気はなくなっています。

⑤ホーム脇に咲く寒緋桜の撮影のためにやって来たJR海田市駅ですが、こちらも高架化される予定で、2027年から工事が始まることになっています。何度も撮影に来たあの寒緋桜は伐られてしまうのでしょうか。気になるところです。