世の中のあらん限りやスエコ笹

 

『この ”スエコ笹” は当時竹の研究に凝っており、ちょうど仙台で笹の新種を発見してそれを持って来ていた際なので、早速に亡妻寿衛子の名をこの笹に命名して永の記念としたのでした。この笹はいまだにわが東大泉の家の庭にありますが、いずれ天王寺の墓碑の傍に移植しようと思っています。』(牧野富太郎自叙伝)

 

NHKの朝ドラ『らんまん』の主人公・牧野富太郎、以前に一度同じNHKの『歴史秘話ヒストリア』(2019.1.26放映・’私は植物の精である’ 牧野富太郎 夢の植物図鑑)で取り上げられ、高知にその名を冠した植物園があることも知って一度訪れてみたいものだと思ったもののそのままになっている植物学者です。

 

連続ドラマに取り上げられたことで一躍メジャーになった?ためか、県内各所で関連資料の展示が行われており、広島市立植物公園の『牧野富太郎と広島』を皮切りに、3日には千代田で『稙物学者牧野富太郎と芸北』(伝承館)と『樽床峡北館を訪れた人々』(まちづくりセンター)を訪れ、その足で植物公園の展示で知った芸北八幡の千町原に植えられているスエコ笹まで足を伸ばしてわが手に取ってみました。



芸北八幡・千町原にある句碑(撮影日:2023.5.3)

 

昭和8年にこの地のカキツバタ群生地を見て感動した博士がとった行動をそのまま表現した句が刻まれている碑です。これまでちいとも気がつかなかったのですが、石碑の周囲には確かに笹が植えられています。この笹こそ博士の奥さんの名を冠したスエコ笹、そうと知らなければただの笹もしくは雑草に過ぎませんが、知れば知るほど人生が楽しくなり、幅が広がるのを感じます。

 

死ぬまで勉強、臨終の際には静かに本を読んでいたいと思っているawakinですが、天王寺にあると聞く牧野家の墓所には、博士が希望したとおりにスエコ笹が植えられているのでしょうか。