『三江線は、中国地方では最大の流域面積を有する江川と徹底的につき合う線である。(中略)豊かな水をたたえて蛇行する江川とともに三次までいくのだが、いい川なので飽きることはない。』  
  




「時刻表2万キロ」を書いた宮脇俊三さんが「鉄道旅行の楽しみ」の中で、三江線に乗ったときのことを書いた文章です。
  


国鉄の営業路線を全部乗り尽くしたという宮脇さんが可部線に乗ったときに書いた文章は「時刻表2万キロ」にあり、『太田川は大きなS字型で蛇行する。可部線はそれに忠実に沿って敷設されているので、太陽が右窓からさしたり左窓からさしたりする。おなじような集落と駅がくりかえし現れ、おなじ川がどこまでもつづいて、解放感と退屈とがいっしょにやってくる。』とあります。




可部線は宮脇さんの本の表題にもある、国鉄の営業キロが2万キロを突破した記念すべき線であり、記念碑は廃止になった現在でも残されているほどですが、そのことは何の記載もなく、盲腸線の故か退屈したとの記述があるためにがっかりした記憶があります。


   
   


先日、awakinも宮脇さん同様三江線に乗ることを目的としたバスツアーに参加してまいりました。



108.1㎞(35駅)のうちの江津~石見川本間32.6㎞(9駅)を乗っただけですが、目的地のない旅はやはり退屈なもので、一時間も経つと江の川沿いの風景に飽きてしまった自分がいるのに気づき、同じような旅をずっと続けていた宮脇さんの気持ちが少しわかったような気がしました。



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三江線を走るキハ120形 315 の先頭からの眺め。



発車前の江津駅で、満員の客車の中を遠慮しいしい最前列まで進み、3~4人が陣取っている先頭部分から一枚だけ撮らせてもらいました。



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江津駅を発車後まもなく山陰線とお別れです。



点滅している信号機は何となく角ばって見え、見慣れたまんまると違うので、新鮮に見えます。



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車窓から外に向かってカメラを構えていると、当然ながら列車の姿を写真に撮ることはできません。



唯一のシャッターチャンスは、駅に設置されたミラーに映る車両でしょうか。



千金駅には、運よく目の前にミラーがありました。



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千金~川平間の車窓風景。



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川平~川戸間にて。


マイカーを運転しながら眺める江川とはひと味違う眺めと言ってよいでしょうか。



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旧桜江町の踏切では、地元の高校生?がにっこりして出迎えてくれました。

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戦中、戦後と何度となく大きな水害に襲われた川沿いの土地は、長大な堤防に守られています。(鹿賀~因原間)

耕作されている田畑は何となくですが疎らな感じで、川沿いには荒れ果てた竹藪や雑木林、あるいは何の利用もされていない荒地が多いようでした。



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降車した石見川本駅で見かけたラッセル車。



 
スタッドレスタイヤを履き替えないといけないことを思い出しました。