廃止まで一年を切ってしまったJR三江線、awakinが子供の頃にはまだ三次と江津は結ばれておらず、三次始発と江津始発の二線がそれぞれ三江南線と三江北線と呼ばれていました。



中学生のころ一度、まだ当時は三江南線だった鉄路のそばの江川で泳いだ記憶があるのですが、その場所がどこだったか思い出そうとしてもまったく霧の中なのです。



そのとき近くで汽笛が聞こえ、通り過ぎていったのが蒸気機関車だったことと、とてもきれいな水の中を泳いだことが記憶に残っています。



個人的な接点はそれくらいしかない三江線ですが、文学作品では宮本常一さんの「中国山地民俗採訪録」、宮脇俊三さんの「鉄道旅行の楽しみ」、あるいは松本清張さんの「夜が怕い」などの作品を読むと、沿線の地名や景色などの描写があって、列車に乗って旅する雰囲気を少しですが感じることができるでしょうか。



と言っても、実際に乗ってみないとその文章を書いたであろう作家たちがその目で見、耳で聞いた景色や沿線の音はわからないだろうと、江津駅から石見川本駅まで三江線を走る列車に乗車したのは今年の三月のことでした。



ところが、切符の手配を旅行会社のツアーに申し込んで行ったため、(車窓から撮った写真は多数あるものの)切符など乗車の記念になるようなモノが何一つないことに気がつきました。



がっかりしていたのですが、きのうのこと、よく使っているデイパックの中身を整理しているとそれが出て来たのです。



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そう。石見川本駅の入場券です。



忘れていたのですが、この日、三次から54号線経由で古の銀(しろがね)街道である赤名・沢谷間の県道166号線沿いにある、酒谷のオロチカツラと前川桜を訪ねた後、三江線の沢谷駅で石見川本行きの上り電車に出会い、そのまま石見川本駅まで追いつ追われつの撮影行となったのでした。



そして最後の石見川本駅に列車より早くついたawakinは、他の人たちが改札を無視してホームに走るのを横目に、入場券を購入して改札を潜ったのでありました。



 



調べてみると、三江線には駅が35あり、うち駅員がいる有人駅は他線と連絡のある三次駅と江津駅のほかは、この石見川本駅と粕淵駅の二つだけのようです。



ということは、三江線所属駅である石見川本駅の日付けが入った入場券は、正に想いでの品になるのでは…。



 
そんなふうに思い、大事に取っておくことにしました。