広島というところは、天災が少ないとても住みよいところだと思っているawakinです。



気をつけないといけないのは台風の強風と高波くらい、地震は少なくて津波などは江戸時代から到達した記録もまったくないところです。



従って防災に関してはまったく危機感がないというか、県内に一個の原発もないためか、たとえば大津波による原発事故の被害を受けている東北のニュースを見ても、どこか遠いところでの話、何となく上の空で聞いていたような気がします。
 
 
たとえば…。
 



『島根原発は広島市まで何キロ離れている? 上関原発ができたら何キロ?伊方原発は?』



『松江市の人口は何人?』『松江市は島根原発から何キロ離れている?』



『福島第一原発の事故により帰還困難地域になっているところは、メルトダウンした原子炉から何キロ離れている?』



 
といったようなことは、これまで頭の中の片隅にもあったことはなく、何ひとつ知らなかったし、まったく答えられないのです。



 
先週の土曜日、朝早くに美保基地を訪ねたあと島根半島東端の美保神社を皮切りに、日本海に面した浦々を繋いでいる県道37号線を、戦前に宮本常一さんが民俗採集のために二日滞在した漁村、片句まで走ってみました。(宮本さんがかつて歩かれた道で、その道を辿ること自体が目的でありました。)



最後に訪ねた片句は島根原発がある村(と言っても今は鹿島町、後から松江市と合併して島根原発は松江市内にあることになるのですが)で、巨人が歩いた岬や尾根を通る道からもたびたびその姿を眺めることになりました。
 



昔原発の見学会に参加して、青い水が満たされた原子炉の真上に立ったこともあるawakinですが、現実を今更ながらに感じ、再び島根原発の広報施設である「島根原子力館」を訪ねることにしたのです。



          *          *          *



『片句へ下りる途中で子供を負うた老婆といっしょになった。片句の山の上にある大師堂へ参ってのかえりであるという。』(宮本常一著作集25巻 土と共に・「親切な人々」)



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老婆がお参りしたという大師堂から約400㍍のところに造られた「島根原子力館」にやって来ました。



awakinがこの場所に来るのは二度目、前回は1999年8月のことでしたが観光バスに乗って、仕事(企業見学会の一環でこちらへ来る前は木次のホシザキの工場見学、大山へ移動して一泊し翌日は大山山麓でゴルフ)でありました。

大人数の団体だったためか観光バスでそのまま原発敷地内に入って行き、係員の案内で原発建屋内の原子炉の真上に立って、説明を聞いた記憶があります。



20年近い昔のことですからはっきりとではありませんが、覚えているのは防護服など着ずに背広のままで青い水が満たされた大きなプール様の施設の上に立ち、小さな窓から下を覗いたときに数多くの丸い区画が見え、その場所に制御棒を自動で出し入れする仕組みであると説明されたような…。



それよりそのとき気になったのは施設警備のことで、陸上はサブマシンガンと狙撃銃を携行して警備し、海上は海保の巡視船が監視しているとの説明で、他国が本気で攻めてきたら危ないのではないかと思ったのは今でも憶えています。



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原子力館内部の展示物で、原子炉の内部の模型。



ジェットポンプがあるので沸騰水型原子炉(BMR)、現在審査準備中の二号機に設置される原子炉の模型でしょうか。



awakinが昔その上に立った原子炉(多分二号機)を逆に下から見あげている図と言ってよく、見覚えのある青色と多くの丸い構造物がちょうど40歳の若かった当時のことを思い出させてくれます。

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建設中の三号機の津波対策に関する展示物(防波壁の模型)です。



暗いうえに黒い字で印刷されているのですが、一番上の緑色のラインが防波壁の高さ、二番目の青色と白色の二重線がそれぞれ想定の津波の高さと発電所敷地の高さ、その下の茶色のラインは越波排水路の高さ、そして一番下の青線は何の説明もありませんが通常時の海面の高さでしょうか。



あと想定される津波の高さが書いてありません。それ故防波壁の高さもわかりません。



日本海で発生した津波については、日本海中部地震(1983)のとき最大14㍍の高さで沿岸を襲い、100名超の犠牲者が出たことくらいはド素人のawakinでも知っていることです。



読み難い表示や不十分な説明を見ると、これはもしかすると伝えたくない内容なのかなと無用の不信感を与えるのではないでしょうか。



awakinは原発に関しては反対派でも推進派でもない、どちらかといえば無関心派といった感じですが、一事が万事、表に出す資料はやはり、不信感を与えないためにもキッチリと根拠を示して、わかり易く説明するべきだと思うのです。



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島根原子力館の展望ロビーからの眺望です。



静岡県御前崎市にある浜岡原発では広報施設からの撮影もNGだそうですが、こちらでは何も書いてありませんでした。



建設中の三号機は左手の山に遮られて見えませんが、廃炉が決まった1号機建屋と制御棒などの放射性固体廃棄物を一時的に貯蔵・保管するための建屋(サイトバンカ建物)、および運転休止中の2号機建屋が見えています。



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こちらは同じ島根原子力館の展望ロビーから、陸地側を眺めたときの景色。



右に宍道湖が見え、左にチラッと見えている街並みは松江の市街地でしょうか。



『 近いのう。 』



そんなふうに思って調べてみると…。



松江市街地までは約9㎞、awakinが泊ったバタ電の終点近くの温泉旅館だと約8㎞ほどの距離でありました。
  



最初の質問の解答。



広島市から島根原発までの距離  約140㎞



広島市から上関原発予定地まで  約80㎞



広島市から伊方原発まで       約100㎞



松江市の人口  203.965人(平成29年4月末)

現在帰宅困難地域に指定されている飯館村の一部の地域から、メルトダウンした福島第一原発までの距離  約30㎞



 
  
やはり原発で事故など、絶対にあってはならないと思うのです。