明けましておめでとうございます。
今年も長文駄文が続きます。
手がすいたときにでもお目を通していただければ幸いです。
昭和101年にあたる2026年(令和8年)の最初のお題は、「需要の拡大」です。
元旦の新聞は年頭所感であふれています。
花産業唯一の業界紙、花卉園芸新聞の2026年1月1日号も恒例の年頭所感。
花関係、各種団体のトップがそろい踏み。

画像 花卉園芸新聞2026年1月1日号
共通するのは「新たな需要の創出」
花産業のバブルが崩壊した1990年代後半から30年間、花のマーケットが縮小。
需要があって供給がある。
需要がないから供給(生産)が減る。
これが市場経済の鉄則。
マーケット(需要)の縮小を止めない限り、
国内生産が減りつづけ、
花屋が減りつづけ、
市場の取扱高は減りつづけ、
輸送業者が運ぶ花ケース数は減りつづけます。
2026年も「いす取りゲーム」が続きます。
花産業のチーム員が、生産者リーグ、花市場リーグ、仲卸リーグ、花屋リーグ、輸入業者リーグなどで戦っています。
残念ながら、2025年もいすの数は減ったようです。
今年は、それぞれのリーグで、だれがいすに座れなくなるのか?
この状況を打開するには、いすの数を増やす=需要の拡大しかありません。
花産業は、主食のコメ産業を批判する立場ではありませんが、まちがいなく反面教師です。
需要は政府が拡大してくれるものではありません。
生産・流通・小売が協働して自分たちで拡大するものです。
その活動を、手助けするのが行政や研究の役割です。
さて、花卉園芸新聞の年頭所感。
各種団体の共通目標「新たな需要の創出」で期待するのが「若年層へのアプローチ」。
SNSなどで盛り上がっている、成人式、卒業式での花贈り需要。
Z世代に代表される若い世代の花消費が増えているという調査結果。
成人式の売上が母の日を超えた花屋さんもあるそうです。
需要拡大の問題は、目標の立て方ではなく、目標に向かってどのように活動をするのか、です。
若年層へのアプローチとしては、15年の活動実績があるフラワーバレンタインがあります。
「花の国日本協議会」はフラワーバレンタイン推進をきっかけに発足した一般社団法人。
参加者が「資金」をだし、「バレンタインに男性が女性に花を贈る」文化を醸成しようと、「汗」をかいています。
汗をかいた都会の花屋さんでは、それなりの成果をあげているそうですが、地方では熱気をあまり感じられません。
風が吹けばそれに乗りたいとは考えているでしょうが。
やっかいなことは、若者を対象とした活動では、成果を数字で表現しにくいことです。
なぜならば、政府の公的な統計で若者世代の消費行動をとらえにくいからです。
唯一頼るのが、総務省家計調査の切り花、園芸植物の29歳以下世帯の消費金額。
家計調査の単身世帯が若者世代とイメージしやすいですが、誤解。
家計調査の単身世帯の平均年齢は58.7歳で、ひとりぐらしの高齢者とみていいでしょう。
2025年3月16日「総務省家計調査の「単身世帯」って誰のこと?」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12890072797.html
ですから、成人式や卒業式(都道府県が開設の老人大学にも卒業式はありますが)とは無縁のひとびと。
そのため、二人以上世帯の若年世帯(家計調査では世帯主年齢が29歳以下)を参考にしています。
29歳以下世帯は、総額は少ないものの2020年から5年連続で前年比プラスが続いています。
このことから、花産業では若年層の切り花購入額が伸びていると期待しています。
しかし、成人式や卒業式の花贈りは、花産業が汗をかいて、開拓した需要ではありません。
若者のあいだで、SNSなどを通じて風が吹いただけ。
吹いた風は、いつかは止む。
2025年の29歳以下世帯の切り花購入額を1月~10月の購入額から推定。
悲惨な結果が予想されます。
2025年は前年比65%減(図1)。
なにかの間違いであってほしい。
世帯主の年齢が29歳以下で、構成員が二人以上の世帯
2025年は1月~10月の実績から年間消費額を推定。政府の公式データではありません。
家計調査は、総務省統計局が統計法という法律に基づく、国の施策を左右する基幹統計。
しかし、29歳以下世帯の購入額はあてになりません。
それは、家計調査そのものは、全国の7,237世帯(2024年)を調査していますが、29歳以下世帯はわずか98世帯。
1~2世帯の特異な購入行動によってすぐに変動します。
法律に基づく統計調査としてはおそまつ。
家計調査の29歳以下のデータには一喜一憂しないほうがよいでしょう。
そもそも花産業が汗をかかず、若者のSNSまかせの風頼みでは、持続的な需要が得られません。
需要拡大の最前線にたつのは、政府ではなく花屋さん。
花屋さんには「JFTD(花キューピット)」があり、「フジテレビフラワーネット」があり、「ジャパンフラワーネットワーク」があります。
3者が協働すれば、若者世代へのアプローチは簡単。
一方、夫婦二人で営む多くの街の花屋さん。
「新たな需要の創出」よりも、「目の前にあるのにつかみ損ねている需要をとりもどす」アナログな「どぶ板活動」が本命。
「未来の需要」ではなく、「目の前にある需要」を確実につかむ。
顧客は、花の岩盤支持層高齢者、すなわちお婆さん。
花の岩盤支持層高齢者には、SNSではなく新聞折り込みチラシの相性がよいことはいうまでもありません。
年代別新聞購読額は、切り花購入額と双子の姉妹(図2)。
(総務省家計調査、二人以上世帯)
若年層は新聞を読まない・購読しないが、高齢者は購読率が高い。
その目的は、テレビ欄とスーパーの折り込みチラシ。
高齢者をターゲットにするなら折り込みチラシの一択。
折り込みチラシのメリット。
・この町に花屋があるという存在を知ってもらえる
・顔写真をも載せることで、夫婦経営の安心感を伝えられる
・仏事需要との相性が良い
・なにかあったらあそこに頼もうといいう記憶の定着
正月早々、夢のないはなしで申し訳ありません。
しかし、お金に色はついていません。
若者世代の千円も高齢者の千円も価値はおなじ。
それならば、無理をして苦手なSNS活動よりも、手慣れたアナログどぶ板活動で確実に需要を回復(来店者が増加)させるほうがよい。
まわりは年寄だらけなのですから。
待ちの商売から攻めの商売へ。
花屋が儲かれば花農家も市場も儲かる。
国内生産が増え、輸入も増え、花市場の取扱高も増える。
こんな夢のあるはなしはありません。
2026年の目標は「需要の拡大」。
「新たな需要の創出」は、それぞれの全国組織、団体に任せ、街の花屋さんは「いま目の前にある需要」をアナログ手法で確実につかむことに専念すべきです。
では、生産者はどうすればよいのか?
次回報告します。
宇田明の『もう少しだけ言います』(No.513. 2026.1.4)
2015年以前のブログは(http://ameblo.jp/udaakira)でご覧頂けでます。
農業協同組合新聞のweb版(JAcom 無料)に、
コラム「花づくりの現場から」を連載しています。
https://www.jacom.or.jp/column/





