街灯の照明も無い暗い世界のなかで見上げる程の猫の影が覆い一段と闇の世界になった今の現状を沙織と翠はどう切り抜けるかと考えるより先に腰が抜け動けない状態にあった。
「どうしよう~、化け猫さん“しゃぁーーー”って言っているわよ」
沙織が言う様に巨大な猫は毛を逆立て地響きがするほど口を大きく開き威嚇してきた。
「よーし、よしよし・・」
翠は何処にあったのか長いモップで巨大な猫に向かって振り回した。
「翠・・、あなた大丈夫・・。おかしくなってない・・」
沙織が心配して声を掛けた。
「変になってなんかないわよ!猫じゃらしよっ!化け猫と仲良くするのよ!」
翠はモップを巨大な猫の遊びがてらにあてがった。
“しゃぁーーー”
巨大な猫にとっては逆効果だったらしい。また鋭い爪が奮い立った。
「また地面がエグられたわよぉーーー!」
沙織が泣きべそをかき出した。
「由香っ!あなたこの化け猫の主(あるじ)だったらなんとか穏やかにさせなさいよっ!」
翠はよほど腹が立ったのか、ぼんやりと光りながら無表情に佇む由香にあたった。
「化け猫じゃないわ。それは輔清よ。それにあなた達が悪いのよ」
由香はテレパシーの様に話しかけてきた。
「えっ・・」
沙織と翠の動きが止まった。
「私はあの学校から離れたくはなかった。好きなひともいたんだから・・」
「えっ!」
由香のその一言に沙織と翠の止まった動きが固まった。
「そう言えば由香・・。好きな先輩がいたよね・・。もしかしてわたし達が恋の行方を引き裂いちゃった・・」
沙織が罪悪感を感じた。
「そんなもの!由香のただの一途な片思いの話よ!由香だってオカルトに興味持ってついて来てくれたんだから!失恋したってへっちゃらよっ!」
翠は勝ち気である。
「私は冷静に判断する懐疑主義派よっ!」
由香は奮発した声を上げた。
そんなやり取りをしているなか、闇の包まれた世界が猛烈な光を浴び眩しいほど照らされた。
「あれはっ!超音速ヘリ“エアーウルフ”!」
爆音のする頭上を沙織が見上げた。
「あなた達!もう就寝の時間でしょ!こんな処で何やってんのっ!」
軍用ほどの大きさのヘリコプターのスピーカーからすみれの声が轟いた。
「こんな処で何やってんのっ!って!この状況みて分かんないのっ!」
翠が渾身の声を上げた。
「仕方ないわね。ミサイル発射!」
すみれは無感情的に発射ボタンを押した。巨大なミサイルは巨大な猫に向かって鋭く勢いよく飛んでいった。
「なにしてんのよっ!何もそんな事までしなくてもいいじゃないっ!」
翠が腹の底から喚いた。
「大丈夫よ安心して。マタタビ爆弾よ」
すみれの声がスピーカーから流れた瞬間、巨大なミサイルは噴煙を出した。途端に巨大な猫は地面に倒れお腹を見せた。
「喉を撫ぜたらゴロゴロいっているわ」
沙織が巨大な猫の大きな喉元を撫ぜている。
「由香は何処にいったのっ!あんなに大勢いた猫たちも何処かにいったわ」
翠は由香のいた場所に駆け寄ったが痕跡は跡形もなくなくなっていた。
「もうこんな時間、早く帰るわよっ。ハシゴを降ろすから登ってらっしゃい」
すみれの声がスピーカーからどよめき立ち、ハシゴが投下された。
「ところですみれは何故わたし達の居場所が分かったのかな?」
沙織が巨大な猫と戯れながら翠に聞いた。
「わたし達の身体のどこかににマイクロチップが埋め込まれているのよ!」
翠は物思いな表情で答えた。・・・「夜歩く」おわり
オリジナル「オカ研の旗の下(もと)」は“小説家になろう”で読むことができます。
是非、ご参照ください。作者・淡太郎