「読まれる新聞」三つの条件とは

読者に読まれ親しまれる新聞とは…
(1)読者の要求・関心にこたえ、その半歩前をいく企画とWHY(なぜ)・HOW(どのように)を重視した突っ込んだ取材。
(2)CLEAR(明瞭に)・CORRECT(正確に)・CONCISE(簡潔に)の「良い記事の条件・三つのC」を満たした読みやすい記事。
(3)いまの時代にふさわしく、読者の感覚に見合った読みやすく美しいレイアウト。
……以上の三つの条件を満たしたものといえます。

やっぱり“押えて流す”が新聞の基本

 「押えて流す手法なんて、もう過去のものだ。時代は大きく変わっているんだ」という声が聞こえてきます。そして「内容が形を決めるんだ」「内容がないからレイアウトでゴマかそうとしてるんだ」として、レイアウトが軽視される傾向や「泥くささ」と「読みにくさ」が混同される傾向もありました。
 たしかに、「内容が形を決める」ものですが、いまの時代の読者の感覚にマッチしたレイアウト、読みやすさを第一に追求したレイアウトをもっと重視する必要があります。そのためにも、日本の新聞編集のながい歴史のなかで生みだされ、定着している新聞の紙面レイアウトの技法を学んだうえで、これを出発点にして「新しい型の新聞」を生みだしていこうという声が、再び大きくなってきています。

 

 



■紙面レイアウトの《定石》とは

 最近、横書の文章がひろく普及してきていますが、新聞はまだまだ縦書が主流です。縦書の日本語の文章は、上から下へ、右から左へと行をかえて読んでいく「きまり」になっています。読者の視線も習慣的に、このように流れるため、紙面の上では「右から左さがりの対角線」上が一番めだち、この対角線外=つまり、紙面の左上と右下は《死角》といってめだちにくい場所です。
 日本の新聞編集のながい歴史のなかで生みだされ、定着している紙面レイアウトの〈定石〉とは、この「死角」に《カコミ》《タタミ》などの「ハコもの」、写真・イラストを配置して、「死角」を生かし、右上から左下の対角線上に見出しが配置できるよう考えながら記事を流していき、最も重要な記事、読ませたい記事を、そのつぎに配置して左下でまとめる…という流しかたです。
 読者は、必ずしもトップ記事から順に読んでくれるとは限りません。どの記事から読みはじめても、その記事の流れは自然であり読者を迷わすことなく導いていかねばならないのです。「ハコもの」や写真、毎号連載しているものを、それぞれの位置と形・大きさをきめて固定した間を、右から左へ、上から下へと、見出しを配置しながら、水が流れるように記事を流していくのです。これを「押えて流す手法」といい、これが紙面の〈定石〉=基本となっています。



■紙面の割付作業をすすめる順序

 実際に割付(レイアウト)をする順序は、集められたそれぞれの素材(記事やイラスト、写真など)をしっかりと頭のなかにたたきこむことです。数多くある素材のなかから、どの記事と写真をどの面に入れるか、つまり「面割」をします。

 つぎに、どの記事を一番強調するかなどの記事の価値を評価しながら、紙面の構図をスケッチしましょう。そこでは思いきって「形」を優先させてみることです。

 毎号連載しているものは、できるだけ同じ面の同じ位置に、同じような形で、最初にきめてしまいます。

 構図ができたら、いよいよ計算です。連載ものや《カコミ・タタミ》の大きさを正確に計算し、位置と大きさを書き入れてから、流し記事を流していきます。

 見出しは天地何段でどの位置に入るのかがきまったあとで、それにあわせて見出しの文章や形を考えます。つまり、見出しの文章や形は一番最後に…。見出しの字数も多くならないよう配慮しましょう。

 見出しや写真、イラストなどのスペースを充分に、記事の本文をバッサリと削る心づもりでおこなうことです。そして、右上から順番にきめていくようなことはしないように…。「死角」にあたる部分を先に始末してしまうこと、「押える」ことが先なのです。

 上の実例をみてください。このような紙面の場合は、実例の中に示した番号の順、つまり、「ハコもの」を先に固定させ、その間に流し記事を流していきます。

 



■大切にしよう! 紙面のバランス

 紙面構成にも美しさという要素のなかにある均衡感覚・均りあいという視覚的なものを無視することはできません。

 見出しが紙面の右側ばかりにかたよったり、大きな写真が下段の方にだけあると、この視覚的バランスがくずれ、不安定な感じをあたえます。見出しは左右にだいたい平均して配置し、大きな見出しはできるだけ上の方において、紙面のポイントを中央からやや上の方におくように心がけましょう。

 また、《カコミ》や《タタミ》の左右が大きくて流し記事が、これらに邪魔されて窮屈なものになったら紙面が死んでしまいます。《カコミ》や《タタミ》の左右の大きさは、紙面の三分の一以上にならないようにし、縦長か横長の形にすると安定します。

 また、二~三面、四~五面のように、新聞を広げたときの左右の紙面が、全体としてバランスがとれていないと、チグハグな感じを与えますから、左右の紙面の均りあいを考えながらレイアウトしましょう。各面のレイアウトを、それぞれ手わけしておこなう編集部では、とくにこの点での調整が必要です。



“逃げ道”の確保が必要に…ブロック組みの紙面

 いままで述べてきたのは「押えて流す」手法で、紙面構成の基本として一般化しているものですが、週刊や旬刊で、タブロイド判の新聞では、《カコミ・タタミ》などのいわゆる「ハコもの」をふんだんに利用した紙面=「ブロック組み」によって美しく読みやすい紙面をつくりだしていくことも大切です。

 しかし、こうした紙面をつくるときには、なによりも組版のいろいろな約束ごとに慣れるとともに、カコミ手法に慣れることです。

 また、字詰や行数の計算、飾りケイの天地・左右の空白の計算などを厳密にし、正確でわかりやすい指定が要求されます。

■大きなブロックで大胆に

 ブロック組みのレイアウトには定型というものはありません。読みやすさと紙面全体のバランスに注意していくことが大切で、あまり小さなブロックにすると逆に読みにくくなりますから、写真を大胆につかい大柄なブロックにしたほうがすっきりとします。

 企画もの、特集ものなどに効果を発揮します。

 また、使用する飾りケイの種類にも充分注意し、できるだけ統一するか、同じ傾向の飾りケイにしましょう。

 割付作業の順序は、上の実例の場合では、《1》の記事の幅を最初に計算して割り付けし、つぎに《2》の記事の幅を計算して割り付けます。《1》は6~7段目の図版を組み上がったあとで変えないため最初に固定しています。《2》は見出しの天地が組み込みになっていますから、これも組み上がったあとで変えないようにしています。そして《A》《B》《C》の記事を流し組みの要領で割り付け、行数計算の狂いを簡単に調節できるようにしています。

■行数計算を厳密にすること

 こうした紙面をつくる場合に気をつけたいことは……

(1)ケイのスペースを必ず計算に入れることです。左上の実例では、最上段の記事《A》の下に飾りケイが入っているため、この記事の字詰は基本字詰より一字へらしてあります。また、最下段の記事《C》も一字へらしています。

(2)一つひとつのかたまりについて、見出しのスペースも含めて、左右の行数計算を厳密にすること、そしてタテに入れるケイのスペースも充分にとることです。

(3)厳密な行数計算と一つひとつのかたまりの正確な形の指定をしたうえで、紙面の左右どちらかに必ず「逃げ道」をつくることです。万一、計算した寸法よりも幅が一~二行大きくなっても、あるいは小さくなっても、どこかで調整できる場所をつくっておくことです。