2月26日に、ドイツで放送されました。
日本人全員、必見です。
ZDFハーノ記者による「フクシマの嘘」の続編です。


※動画の中に、牛の謎の白斑のことがでてきますが、千葉から九州に移住した知人のお子さんも、やはり白斑症状がでて、医者から被爆が原因という診断書をもらっています。




【フクシマの嘘 其の弐(隠ぺい・詭弁・脅迫)】



日本語書きおこし
http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-1624.html

福島第一原発事故発生から三年が過ぎたが、今でも緊急事態である
2020年日本はオリンピックを開催する
日本政府は世界を安心させようとした
「みなさんに保証しましょう 事故はコントロールされております」
首相の宣言がどこまで信用できるのか、われわれは調べることにした
調査はわれわれを犯罪社会の心臓部に導く…
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣しています」
われわれは惨事の真の大きさが隠ぺいされていることを突きとめた
事故現場から遠い場所の調査を科学者に見せてもらった
「高濃度に汚染されたホットスポットや放射能が集積する場所を発見しました」
すべてコントロールされているのか?
「残念ながらアウト・オヴ・コントロール…」
「…ですから放射能は環境に漏れ、汚染が毎日広がっている状況です」

双葉町は 福島第一原発と目と鼻の先にある
特別許可を得て 数時間だけ滞在が許される
いわゆる“閉鎖区域”だ
ここに住むこととは、おそらく永遠に誰にも許されない
町のキャッチフレーズは、「原子力 明るい未来のエネルギー」
それは別の時代のことだった

元双葉町町長 井戸川克隆さん
古いサムライの家系出身だ
五百年以上この地に続いた家系である
名誉 誠実 責任感が、家訓として代々伝えられてきた
「子孫の私は井戸川家の墓守です」
「ご先祖様の墓を守り世話をする義務があります」
「そして次の世代に伝えなければなりません」
「しかしこの状態では引き継ぐ人は誰もいません」
「一生の間 ご先祖さまに妻としての誇りを伝えたいと思ってました」
「それができないなんて胸が引き裂かれる思いです」
戦争、地震、津波を乗り越えた井戸川家の歴史が、今 双葉で終わろうとしている
「誰も原発事故の責任を取らない恥知らずばかりだ…」
「電気会社がこんなに勝手にふるまえるのは日本だけです」
「彼らは自分のことしか考えていません」
「政府はやりたい放題やらせ政治家は原発ロビーのいいなりです」
「それを世界中の人々に知っていただきたい」

京都大学の原子炉実験所
小出裕章と会える約束だ
40年間 原子力物理を研究している小出氏は、事故発生当時から福島の状況を見守っている
なぜ福島がコントロールされていないか彼は説明してくれた
「一号基から三号基の溶けた燃料がどこにあるのか誰もわかりません」
「けれど冷却は必要なので建て屋に送水を続けています」
「溶けた燃料のせいで水は汚染されます」
「建て屋は割れ目だらけなので地下水が流れ込みます」
「東電はこの水を循環させると言ってタンクに一時貯蔵しています」
「けれど全部の水は回収できません」
「原発敷地一帯が放射性の泥沼のような状態になってしまいました」
「周辺の井戸水からは高濃度の放射能が検出されました」
「もちろん一部は海に流れています」

全面水浸しのフロア
どこかこの下に溶けた燃料がある
最新ニュースによれば 井戸水から500万ベクレル/リットルのストロンチウムを発見していたことを東電は半年間隠していた
今でさえ毎日200トン以上の高濃度汚染した地下水が海に流れている
さらに回収される汚染水40万リットルを毎日タンクに貯蔵しないといけない
総量は今では四億リットルを超えたひどい事故も多い
東電が経費を削減したタンクは放射能に耐えられず、始終水漏れをするからだ
「政府は これまで放出された放射能は、広島原爆たった168発分だと言っています」
「チェルノブイリの五分の一です」
「しかし福島からは常に汚染水が海に流れています」
「私はこれまで環境に放出された放射能は、チェルノブイリと同じ量だと思います」
「しかも福島は現在も進行中です」
しかし何故ここまで放っておかれたのか?
われわれは東京で馬渕澄夫を訪ねる
事故当時の大臣で事故応対担当官だった
事故発生後すぐ 東電が事故の大きさを隠ぺいしていると疑った
「汚染水が流出しているかと聞くと東電はしていないと答えました」
「地下水は? と聞くと心配する必要ないと東電は答えました」
「私は疑惑をもったので専門家に地下水の調査を命じました」
たちまち東電の嘘は明らかになった
馬渕が集めた企業や科学の専門家チームは、一日に10万リットルの地下水が、原発に向って流れることを突き止めた
原発で放射能汚染したその水が太平洋に流れる恐れがある
「早急に阻止しなければなりませんでした」
「時間がない」
「すぐに遮水壁を建設しなければ…」
事故発生から3ヵ月後の六月十四日
馬渕氏は記者会見を行なって、計画を発表する予定だった
原発地下に粘土製の遮水壁を建設する計画だ
しかし東電が反対した
ZDFは記者会見の前日に書かれた東電の機密書類を入手した

“現在有価証券報告書の監査期間中であり
会計監査人が建設の見積もりの記載を
求める可能性が高い“

さらには:

“…市場が厳しい反応を示すことになりかねない。
市場は当社が債務超過に一歩近づくと評価するだろう。
これは是非回避したい。“
裏で工作が行なわれ記者会見は立ち消えた
原発には今も遮水壁はない
「金を出したくなかったのですね」
「私はうるさく要求を続けたので間もなく解任されました」
「私を切れば 私だけでなく専門家チームも全員いなくなりますから」
舞台裏で糸を引く目に見えない強大な原発ロビーとは
企業、銀行、政治家、官僚、科学者、そしてマスコミから成る
この“原子力ムラ“に反抗すると首相でさえ退任に追い込まれる
彼に浴びせられた中傷は、後にすべて嘘だったことがわかった
事故から3年たった今、彼は批判の声をあげる
「背景にあったのは原子力ムラの要求です」
「菅直人を早急に首相の座からおろせという」
「陰謀でした」
「そう思っています」
そして原子力ムラは、この男を担ぎ出した
現在の首相安倍だ
2020年オリンピック開催地を選考する会場で、安倍は日本の新たな信条を世界に向けて宣言した
「福島の心配をされる方もいらっしゃるようですが」
「現場はコントロールされていると保証させていただきましょう」
「現政権は原子力ムラの人員を諮問委員会に登用しています」
「新しい原発の建設を推進する人たちです」
「彼らは今 反撃を始めています」
とあるホテルで放射能汚染の専門家に会えることになった
大きな研究所の責任者だ
しかし大学やホテル、町の名は極秘だ
研究内容も放映できない、素性がバレる手掛りは、いっさい放送しない約束だ
「去年の十月初旬までは普通に話すことができました」
「ところがその後 行政からの指示で、テレビに出たり マスコミと接触することを禁じられました」
「オリンピック開催地の選考で、安倍首相は宣言しました」
「“福島はコントロールされている”と」
「その後に出た指令で私たちは調査結果をマスコミに発表することを禁止されたのです」
「どのような調査なのですか?」
「福島第一原発事故後の現場のあらゆる基礎データです」
「私たちは現場でサンプル採取し汚染を検査しています」
「本当はコントロールなどされていません」
指示に従わなければ 予算は停止し同僚はみんな失業する
それを恐れている
「どっちみち日本のマスコミは、このテーマを避けてます」
と彼は言い足した

われわれを案内するのは、京大防災研究所の山敷庸亮氏
山敷氏たちは海や河川の放射能汚染を調査している
東電や政府の主張では 汚染は原発に隣接する水域に限定されている
山敷氏たちは仙台湾の海水と土を採取する
福島第一原発からは、80キロ離れている
原発から遠い場所の取材は、われわれにとって初めてではない
調査結果は衝撃的だった
「汚染は直接フォールアウトがあった所や原発が水漏れしている所だけだと最初は考えていました」
「しかし阿武隈川流域一帯が、汚染していることがわかったのです」
「私たちの試算では毎年10テラベクレルのセシウムが川から海に運ばれています」
「事故当初に原発から海に流出した量とほぼ同じです」
阿武隈川は原発から遠いだけに、この結果は衝撃的だ
それでも河床は高濃度のセシウムに汚染されているのだ
原因は 雨や雪が降下した放射性物質を洗い流すことだ
それが小川や支流に運ばれて、阿武隈川に集積する
そして川から海に注ぐ
つまり食物連鎖は 今後何十年もセシウム汚染され得るということだ
誰も注意しない汚染源から…
「この二、三年誰もこのテーマに注目しませんでした」
「国や地方行政は市町村の除染に夢中です」
「でも海に汚染が流出してることには、注意を払いません」
「この事実は無視されてるわけです」
日本政府は原発周辺の海では、漁業を禁止した
しかし80キロ北の海域は関係ない
一週間後 京都近畿大学で河口の泥土サンプル分析結果を山敷博士が見せてくれた
海流や地形に応じて太平洋のセシウム汚染レベルは異なるが、場所によって汚染値は、はっきり上昇している
「状況はコントロールされてるのですか?」
「難しい質問ですね…」
「調査結果はいったん置きましょう」
「これは許容基準値の問題だからです」
「日本政府は基準値を改定しました」
「新しい基準値では8000Bq/Kg 以下は危険ではないんですよ」
「でも事故前の基準値は、100Bq/Kgでしたから驚きです」
「調査結果をもう一度確かめましょう」
「どれも8000ベクレル以下でしょう?」
「するとみんな大丈夫だと安心して、忘れてしまうのです」
「でも私とってこれは、とても高い汚染値です」
「人々はもっと注意するべきですね」
「誰もこの結果に注目しなければ、政府は何もしません」
こんな簡単なトリックで政府は窮地を脱しているのだ
許容基準値さえ引き上げれば、問題は解決し 対策もいらない
“臭いものにはフタ”というわけだ

畜産農家吉沢正巳さん
牧場には350頭の牛がいる
視界には原発も見える
閉鎖区域の端だ
かつて畜産は繁盛していた
しかし2011年3月の原子炉爆発で、すべては終わった
牛はもう売れない
そのワケは…
「こういうところの草を食べてるから」
「放射能汚染した草を一年中食べている」
「そのせいで 皮膚に白斑が出るのだと思います」
「牛は外部被曝と内部被曝の両方をしてるんです」
「犬だって被曝してます」
吉沢さんは生き物を見捨てられず、外からエサを入手して与えている
-寄付金も寄せられるが牛には足りない…
牛たちを調査すれば、放射能の影響が突き止められる
すでに影響は確認できると、吉沢さんは信じている
「こんな風な…こういう斑点です」
「昔はなかったのですか?」
「40年牛を飼ってますが、こういうのは初めてです」
「原因は何でしょう?」
「獣医も皮膚病ではないと言いました」
「皮膚病ではないのに、こういう白斑が出るんです」
「どうしてなのか、私にはわかりません」
「昔から牛を飼ってますが…」
「こんなことは初めてです」
「放射能の影響を考慮せずには、原因は突き止められません」
近所の農家の家畜にも同じナゾの現象が現われている
行政から検査チームが派遣された
その結果 緊急指示が出た
「政府は 二度検査を行ないました」
「科学者がたくさん来て何もかも調べました」
「その結果 殺処分せよという指示が出たんです」
「生かしておくと困ることになるから、だから殺処分しろと」
「でも私は殺しません」
「政府が牛が生きていると困るのは、証拠が残るからだと思います」
「だから牛を処分しろと」
しかし汚染しているのは、牛だけではない

双葉町に戻る
かつては住民一万人
ほとんどが原発で働いていた
町は今では原発事故閉鎖区域だ
原子炉が爆発した時、多くの住民が高い被爆をした
井戸川町長もその一人だ
「ちょうど病院を避難中で、患者さんや職員が車に乗ろうとしてました」
「その時 凄まじい爆音がしたのです」
「最初の爆発です」
「直後に灰が降ってきました」
「とても強い放射能だったと思います」
「みんな死ぬのだと思いました」
事故後初めて井戸川夫妻は、双葉町の家に帰る
除草剤を持参した
二度とここに住めないと、まだ受け入れられないのだ
首都圏のこの学校が、つい最近まで二人の仮住居だった
原発事故被害者およそ千人と一緒に…
井戸川さんは死の灰を吸って以来、喉の痛み 頻発する鼻血 目や胃の痛み 疲労感に苦しんでいる
爆発後 行政は内部被曝の検査を実施した
放射性ヨウ素とセシウムが、何十万ベクレルも測定された
しかしその影響については、何も教えてもらえない
「福島医大は 事故の放射能で健康被害の出た人はいないと言っています」
「でも直接被ばくをした私たちは未だに何の検査も受けていないのです」
「真実を知り きちんと治療してほしいと私は思います」
2011年に福島で行なわれた説明会のビデオを見れば
日本政府が健康被害をどのように扱っているか はっきりわかる

福島の医療トップアドバイザー山下教授
彼を任命したのは日本政府
“放射能の被害はニコニコしている人には来ません“
“しかしクヨクヨしていると来ます“
“これは動物実験でも証明されています”
「日本政府は非人間的です」
「それがはっきりわかりました」
「私たちはバカにされているのです」
「色々な思いがありますが…非常に激しい怒りを持ってます」

(テロップ)仙台駅 福島原発から100Km
仙台駅
除染作業員がここで集められていると聞いた
ようやく接触に成功するまで三晩かかった
取材を受け付けてもらうのはとても難しい
身の危険につながるからだ
「もちろん危険ですよ」
「ヤクザの儲けにかかわるから」
「彼らの商売に影響を与えるから…」
地方一帯を除染するという作業は、何十億という利権にかかわる
福島県の大きな面積がフォールアウトで、居住が不可能になってしまった
政府は除染をして、住民を帰還させようとしている
そのために何百万m3 もの土を除去するのだ
県内いたる所で土が掘り返される
多くの労働力が必要だ
しかし仕事は危険だ
そこでヤクザの出番になるのだ
「どういうビジネスなんですか?」
「ヤクザは現場の仕事には関係ない」
「ヤクザの手先が人を集めて福島に派遣するんだ」
「どこで? どうやって?」
「借金のある人や失業者が相手だ」
「稼ぐ口があると声を掛けてくる」
「だが実際に給料をもらってみるといくらもない」
「どれくらい?」
「日当四千から七千円」
「その10~20%がヤクザにピンハネされる」
ホームレスは特に好んでターゲットにされる
それにはワケがあると、今井誠司牧師が教えてくれた
彼は昔から仙台のホームレスの面倒を見ている
震災後ホームレスの数は、明らかに増えた
震災と原発事故で何十万人が、家財一切を失ったからだ

(テロップ 今井誠司・牧師・ホームレス支援者)
「ホームレスは住所も定職もないので、普通の仕事につけません」
「ところが原発産業では働けるのです」
「除染ですとか 原子炉の収束作業です」
「危険で誰もやりたがらないので
一番弱い人間が使われるのです」
ヤクザに雇われた彼らは、下請け会社を通して
危険地域に送られそこで単純作業をさせられる
住所不定で 家族もなく、次の仕事を逃してしまう不安から
福島で働いたことを彼らは隠す
つまり原発産業にとって、これほど好都合なことはない ―
― と今井牧師は言う
「実際に病気になっても何の証拠も残りません」
「“福島には行ってない”と彼らは言いますから」
「嘘をつかざるを得ないのです」
「福島にいたという証拠は何もない」
「ひどいです」
「金が一番大事で、人はどうでもいいんです」
「金だけの世の中です」
われわれの情報提供者も、ヤクザの手先として働いていたが、福島での仕事をやめたくて足を洗った
しかし情報を洩らしたことは、非常に危険だ
「声や顔を出すのは、ものすごく危険だ」
「どんなことが起こりますか?」
「恐ろしい目に遭わされます」
「殺されなかったとしても ―
酷いミセシメに遭うでしょう」
「身柄拘束して拷問とか…」
危険な仕事を請け負ったホームレスは、後に癌で死んでも闇に葬られる
原子力ムラに逆らった首相や大臣は 辞任に追い込まれる
事故の本当の規模は、科学者に圧力をかけてごまかす
何故こんなことが起こるのか?

(テロップ 新潟県 福島から西方220Km)
われわれは答えを求めて、福島の隣 新潟県に向った
世界最大の原子力発電所がここにある
日本が自慢する施設で、町の中心とは目と鼻の先の距離
福島事故の後は停止されているが、政府と東電は再稼動を望んでいる
ふたたび原発を推進する
最も重要な拠点だからだ
われわれは県知事に会った
これまでは与党自民党の支持を受けていたが、いつまで続くのか?
彼は再稼動を拒否しているからだ
「現在の再稼動プランでは事故が起こった場合、銀行も株主も責任を取らないことになっています」
「そのようにプランで決まってます」
「事故が起きたとき犠牲になるのは、またもや住民なのです」
「銀行や投資家が、被害を受けないのならば、彼らはまた危険をおかし、安全確保はないがしろにされます」
「これはモラル・リスク・プランです」
ここでも何千憶単位の利益が、かかっている
東電社長は泉田知事の懐柔をこころみた
“福島の事故はコントロールされている”
つまり事故が起きても、原発は制御できるというメッセージだ
「東電は真実を話しません」
「しかも今まで一切責任を負っていません」
「“コントロールされている”というセリフは、まったく意味を持ちません」
「嘘を繰り返してるだけでなく対処しなければいけない問題とまったく向き合っていません」
「原発ロビーによる嘘や隠ぺいには、理由があります」
と泉田知事は言う
「日本には安全神話がありました」
「日本の原発は絶対安全で、他国のような事故は絶対起こらない」
「それが神話でした」
「今再稼動のための議論を聞くと彼らが新たな安全神話づくりをしている気がします」

新たな安全神話づくり
双葉町元町長を怒らせる政策だ
「再稼動を言っている人々は、この風景を見ていません」
「特に安倍首相は何も見ていません」
「恥知らずとはこのことです」
事故原発の持ち主東電は、現場をどのように評価しているのか?
本当に現場をコントロールしてるのか?
“ウソツキだ!”という非難にどう答えるのか?
これらの質問を取材のため、東電に事前送信したところ
インタビュー予定はキャンセルされた…