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さまざまに語られる「阪神・淡路大震災の教訓」のなかで一つ確かなのは、大規模災害からの復興の難しさだろう。現に、住宅・店舗・事業所などの生活圏全体が失われた被災地にあって、創造的復興の名の下に被害額の一・六倍もの巨費が投じられた復興事業が残したのは、閑古鳥のなく駅前高層ビル群と、孤島のような復興住宅、強制的な区画整理によるコミュニティの変貌(へんぼう)、いまなお生活再建の負担にあえぐ個々人、そして自治体の巨額の財政負担である。
 復興が体のいい都市再開発事業に傾き、多くの問題を残した阪神・淡路の苦悩の姿は、ひとごとではない。来る東海地震 、東南海 ・南海地震、首都圏直下型地震 で私たちが確実に直面する現実 である。とりあえず生き残ったあと、どうやって住宅や生活を再建するか。いかに再建の苦しみを減らすか。そのために必要な法整備はどんなものか。本書が訴えるのは自立再建のための公的支援 の拡充であるが、仮設住宅や復興住宅の建て方そのものの見直しも迫っている。綿密な調査 が暴き出した復興の現実の厳しさは、私たちをいま一度覚醒(かくせい)させて余りある。