モリブデンの推定平均必要量・推奨量
実験的にモリブデン摂取22 μg/日を102 日間継続させた4人のアメリカ人男性において、モリブデン出納は平衡状態が維持され、かつモリブデン欠乏の症状はまったく観察されていない。
この22 μg/日に、汗、皮膚などからの損失量を加えた25 μg/日を成人のモリブデン推定平均必要量を求めるための参照値とした。
この参照値から、4人のアメリカ人の平均体重76. 4 kg と性及び年齢階級別の基準体重に基づき、性及び年齢階級別の推定平均必要量を体重比の0. 75 乗を用いて外挿した。
性及び年齢階級別の推奨量は、モリブデン必要量の個人間変動を10% とし、当該の性及び年齢階級別の推定平均必要量に推奨量算定係数1. 2 を乗じて求めた。
モリブデンの食事摂取基準(μg/日)
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推定平均 推奨量 耐容
必要量 上限量
男性 女性 男性 女性 男性 女性
18~29(歳) 20 20 25 20 550 450
30~49(歳) 25 20 30 25 600 500
50~69(歳) 20 20 25 25 600 500
70 以上 20 20 25 20 550 450
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モリブデンの耐容上限量
人のモリブデン中毒に関する研究は極めて少ない。
食事からのモリブデン摂取量が0. 14~0. 21 mg/kg 体重/日、銅摂取量が0. 07~0. 14 mg/kg 体重/日のアルメニア人に、高尿酸血症と痛風様症状を観察したという報告が1961 年に公表されている。
アメリカの環境保護局は、この報告に基づいて、5 μg/kg 体重/日をモリブデン慢性経口曝露の参照値としている。
WHO もこの参照値を採用している。
モリブデンは穀物や豆類に高濃度に含有されており、日本人は、平均的に225 μg/日、大豆製品を豊富に含有する献立の場合は容易に300 μg/日を超えるモリブデン摂取量となるが、健康障害を起こしていない。
モリブデンの耐容上限量は、以上に述べたことを総合的に判断して策定することとした。
以上より、9μg/kg/日をモリブデンの耐容上限量の参照値とし、これに性及び年齢階級別の基準体重を乗じたものを成人の性及び年齢階級別の耐容上限量とした。
なお、この耐容上限量は日本人のモリブデン摂取量を明らかに上回るものである。