マンガンはアルギニン分解酵素、乳酸脱炭酸酵素、マンガンスーパーオキシドジスムターゼの構成成分であり、また、多くの酵素の反応に関与している。


実験的に0. 11 mg/日の低マンガン食を39 日間与えられた7人の若年男性中5人において、皮膚炎の一種である水晶様汗疹の発生が観察されている。


この皮膚炎は1. 53 mg/日と2. 55 mg/日のマンガンをそれぞれ5日間ずつ投与することで消失していることから、マンガン欠乏によるものと推定できる121)。


マンガンは、生体内組織及び臓器にほぼ一様に分布しており、成人の体内には12~20 mg 存在している。


経口摂取されたマンガンは胃酸によって+2価として溶け、腸管細胞の酸化機構で+3価となって吸収される。


吸収されたマンガンは門脈を経て肝臓に運ばれ、胆汁から腸管に分泌されてそのほとんどが糞便中に排泄される。


通常の食生活ではマンガン欠乏は起こらないと考えられている。


マンガンの食事摂取基準(mg/日)
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       目安量    耐容上限量
       男性 女性   男性 女性
18歳以上 . 4.0  3.5    11   11
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マンガンの目安量


マンガンの平衡維持量を大幅に上回っていると考えられる日本人のマンガン摂取量を用いて目安量を算定することにした。


日本人におけるマンガン摂取量の報告をまとめた総説では、成人男性と成人女性のマンガン摂取量(平均±標準偏差)の算定値を、それぞれ3. 8±0. 8 mg/日と3. 8±1. 4 mg/日と見積もり、陰膳法で収集した成人の食事(病院食を除く)の分析に基づくマンガン摂取量を3. 6±1. 1 mg/日とまとめている。


これらの値の平均値(3. 7 mg/日)を日本人のマンガン摂取量の代表値として採用した。


そして、総エネルギー摂取量の性差を考慮して、男性4. 0 mg/日、女性3. 5 mg/日をすべての年齢階級に共通の目安量とした。


マンガンの耐容上限量


穀類、豆類、木の実などを中心とした食事では、マンガン摂取量の最大量は10. 9 mg/日程度に達し得ると推定されている。


同様に、菜食主義者の食事では13~20 mg/日程度が最大量であろうと報告されている。


また、アメリカ人における健康障害非発現量は11 mg/日と推定されている。


完全静脈栄養施行患者に2. 2 mg/日のマンガンを23 か月間投与すると血中マンガン濃度の有意な上昇とマンガンの脳への蓄積が認められ、パーキンソン病様の症状が現れる。


これらより、健康障害非発現量を11 mg/日と推定し、不確実性因子を1として、11 mg/日を成人の耐容上限量とした。



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