コレステロール 目標量(下限)は設定しない


コレステロールを少なく摂取した場合、血中総コレステロール値が減少し、脳出血の罹患増加が危惧される。

しかし、日本人を対象とした3つの観察研究では、コレステロール摂取量と脳卒中(または脳出血)との関連は認められていない。


また、欧米男性を対象としたメタ・アナリシスでは、血中コレステロールを低下させる治療を行っても、脳卒中の罹患の増加は認められていない。


このため、コレステロール摂取量の目標量(下限)は設定しなかった。


コレステロールの目標量(上限)の設定


アメリカ男性を対象とした卵の摂取量と20 年間の疾病の関連を調べた最近の研究でも、心筋梗塞と脳卒中の罹患率のあいだに有意な関連は認められていないが、卵の摂取量の多い群で総死亡率の軽度な増加が認められている。


日本人を対象とした研究も存在する。ハワイ在住の日系中年男性(45~68歳)を対象とした観察研究では、コレステロール摂取量が325 mg/1, 000 kcal 以上で虚血性心疾患による死亡率の有意な増加を認めている。


この値は、同集団の平均エネルギー摂取量(2,299 kcal/日)を用いて計算すると、325×2,299÷1, 000=747 mg/日となる。


しかし、近年の卵の摂取量との関連を調べた研究では、血中総コレステロールの高い人は、薬物治療を行ったり、卵の摂取を控えるようになり、因果の逆転(卵の摂取が少ない人に冠動脈疾患が多い)が生じ、近年の疫学研究の結果をそのまま使用することは困難になってきている。


NIPPON DATA 80139)では、女性において、卵を2個/日以上摂取する群(総対象者の上位1. 3%)では卵を1個/日の群に比べ有意ではないが、がん死亡の相対危険が約2倍になっていた。


最近欧米で発表された症例対照研究でも、コレステロール摂取量と卵巣がんや子宮内膜がんに正の関連が認められている。


肺がん、膵臓がん、大腸/直腸がんにおいても、用量依存性の正関連を認めた報告が多くあり、注意が必要である。


@@以上より、コレステロールを多く摂取した場合、虚血性心疾患やがん罹患の増加が危惧される。


このため、ハワイ在住の日系中年男性の結果から、30歳以上において、747mg/日(丸め処理を行って750 mg/日)を男性の目標量(上限)とした。


女性(妊婦、授乳婦を含む)についてはエネルギー摂取量の違いを考慮して600 mg/日とした。