α-リノレン酸の目標量(下限)
心筋梗塞とαーリノレン酸
α-リノレン酸の摂取(1.8 g/日)により総死亡率が低下することが、フランス及びインドの冠動脈疾患罹患者を対象とした介入研究で報告されている 。
Nurses' Health Studyのアメリカ人女性において、α-リノレン酸を平均1. 4 g/日摂取した群は
平均0. 7 g/日摂取した群に比べて、心筋梗塞の死亡の相対危険は0. 55 に低下し、用量依存性を示
した。
その後の報告で、心室細動が原因と思われる突然死のリスク減少が心筋梗塞死亡のリスク減少の理由であることが示されている。
男性を対象としたHealth Professionals Follow-Up Study32)でも1% E のα-リノレン酸摂取の増加により、心筋梗塞発症の相対危険の0. 41 の低下が認められている。
このように、冠動脈疾患に関して、α-リノレン酸摂取量とEPA 及びDHA 摂取量とは関連することが示されている。
日本人でも、α-リノレン酸による冠動脈疾患の予防効果は期待できる。
このため、18歳以上では、平成17 年及び18 年国民健康・栄養調査のデータ・ベースから計算されたα-リノレン酸摂取量の50 パーセンタイル値(表1)以上の摂取が望まれる。
α-リノレン酸の目標量(上限)
日本人の高齢者を対象とした介入研究では、α-リノレン酸摂取量を3g/日、10か月間増加させ、1日の摂取量を4. 8 g にしても、LDL-コレステロール、酸化LDL の増加は認められていないうえ、その他の主要な血液検査での異常も認められていない。
α-リノレン酸の過剰摂取と前立腺がん
α-リノレン酸摂取量の増加が前立腺がんのリスクになることを示す欧米での研究報告がある。
血中α-リノレン酸または摂取量が多い群は少ない群に比べ、前立腺がんのリスクとなる研究が7つ、関連しないとする研究が2つ報告され、メタ・アナリシスを行うと相対危険が1. 7 で有意に多くなることが示されている。
一方、最近のα-リノレン酸摂取量と前立腺がんの罹患リスクを調べた観察研究では、リスクとなる報告とならない報告 があり、結果は一致していない。
このため、目標量(上限)は算定しなかったが、男性においては前立腺がんの罹患リスクのため、α-リノレン酸の過剰摂取には注意が必要である。