<エカキ之カキモノ_檜山 巽


「見せたい映画がある」などと、珍しくSがいい
「なになに?」「ナイショ!」などといいながらウキウキと家を出た

_けど、歩き出して伏線ヒントをちょっと聞いたら
すぐ解ってしまいました・・

「なんだぁ、サイドウェイズ?」
「あれ、知ってた?」
「あれは、4~5年前に公開されたアメリカ版のリメイクなんだよ」

サプライズどころか結局
わたしが視聴前の簡単な前口上をさせられる形で
小さなスクリーンの前方座席に座る、小劇場も久しぶりです

カリフォルニアを舞台に
・留学経験者
・在住20年
・現地就労者
・日系ネイティブ

という微妙に感覚の異なる日系人が操る英語や日本語
言動・行動パターンの描写が細やかで面白く

ニューヨークやカリフォルニアでお仕事した時の自分や
通訳の人の主張や所作との共通点を思いだしてしまいました

特に、慣用句の微妙な使い間違い!

「昔の日本人に育てられた外国人」みたいな日系ネイティブの彼等は
たまに使う日本語が、妙に時代が交って仰々しいことがある^ ^

「割れ鍋に綴じ蓋!」
ミナが悪気無く何度もいうシーケンスなどは

突然放り込まれたギャグマンガのような言語的非日常感
が可笑しく、思わず声をだして吹き出してしまいます


「異国で生きる日本人」は、劇中に大きく流れるテーマのひとつですが

このように「本当は不確かな言葉」を通して紡ぎだされる

しっくりしない感覚や行き違いを、悩まず、考えすぎず
楽しくスルーできる鈍感力が外国暮らし向き

・・いや、そうではなくてむしろ

言葉に寄りかかりすぎない、言葉を信じすぎないことこそが
場所を選ばない真の生き方上手と、いえるのかもしれません


4人の俳優さんの会話劇が、劇中の「道雄のシナリオ」
少しずつ重なるように進行してゆくプロットは巧みで

なかでも洒落ているなと思ったのは

彼の「盛り上がりに欠ける(らしい)シナリオ」が
いつのまにか年月をかけてしたためた長い手紙のようになり

ちょうど、無理をすれば台無しのワインの熟成のように
実は最も大切な時が満ちるのをゆっくりと待つ人生の手引書
のようになっていた(?!)ということ

サイドウェイならぬ、サイドストーリーとして
「道雄のシナリオ」が小説として、書けそうです・・