収穫期を迎えたトマト・ハウスに木漏れ日が差して
お猿の電車のような長い車両が

ゆっくりと横切ってゆく

だが、車両の先端には誰もいない
「自走式」なのだ


広角に据えられたカメラの一点透視の消失点は

画面の空間を越えて

こちら側に座るわたしたちの
食卓のテーブルまで鋭く突き刺さってくる


輝くようにきれいな赤いトマトの房も

3mの贅沢なカーテンのようなパプリカのツルも

大仏の螺髪のような数学的な模様を描いて
丘に植えられた木も

みんなみんな、人工美なのだと気付く


_どのような時も、一定で均一な結果が得られる_

ように

干ばつも、冷害も、天敵もない
補食の心配も、生殖の苦労もない世界

その世界の主役はモンスターのように巨大なマシン

その世界の神の名は、「経験科学」という


ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
・・それでも

大地との共生や収穫の喜びを実感できる仕事・などと

勝手無邪気なイメージを
酪農や農業に抱いていたわたしは


いまだ
「蒲鉾板に乗ったまま、海で泳いでいる魚がいる」
と信じているほどに無知だった

__つづく
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